歯科医院で働く職種のひとつである「歯科助手」。
法律で決められた業務がない反面、さまざまな役割を任される職業です。
dStyleでは、さまざまなシーンで活躍する歯科助手にスポットライトを当て、等身大の歯科助手ライフを語っていただきました。
このインタビューが、歯科業界で輝くきっかけになれば嬉しいです。
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今回は、歯科助手歴20年目の松田由紀子さんにお話を伺いました。
高校在学中にアルバイトしていた歯科医院に正社員として就職した後、医療事務の資格を活かして、いくつかの歯科医院や調剤薬局などを経験。
現在は日本デンタルスタッフ学院にてクリニックコンシェルジュの専任講師をしていた経験を活かし、医療法人社団常緑会 やまむら歯科で、クリニックコンシェルジュのプロとして勤めています。
歯科で働こうと思ったきっかけ
もともと医療の分野に興味があり、高校在学中に歯科医院のアルバイトをはじめたのがきっかけです。
通っていた高校はデザイン学科だったので、有名デザイナーが講師を務める贅沢なカリキュラムで3年間、デザインを学びました。
そのため、クラスメイトの進路のほとんどは美大やデザイン専門学校でしたが、私は高校在学中から、医療系に進むことを決めていたんです。
さすがにクラスで一人だけでしたが(笑)、それだけ、当時から歯科の仕事が楽しいと思っていました。
普段の業務内容
受付業務やアシスタント業務の他に、院内掲示物、患者配布物、スライド動画などの作成、院内の5S(清潔・整頓・整理・掃除・習慣化)を行っています。
医院のブログ、Googleマイビジネス、Facebookの更新・管理なども私の仕事です。
他にも、スタッフのシフト管理や各種雇用手続きなど、人事の仕事を行ったり、新患数・メンテ数・中断数 ・キャンセル率といった経営基本数値の管理や各種届出、支払いなど…
歯科医師や衛生士しかできないこと以外は何でもやります。歯科助手は、医院の“何でも屋さん”だと思っています。
また、歯科は女性スタッフばかりの職場です。
独身、結婚、妊娠出産、小さな子供がいる中での仕事復帰、そして現在は中学生と高校生の母。女性のライフスタイルの変化と共に、歯科で仕事をしてきた私だからこそわかること、サポートできることも行っています。
仕事をする上でこだわっていること
「CIVILITY(礼儀正しさ)」です。
患者さん、院長、一緒に働くスタッフだけでなく、お取引のある業者さんやいつも配達をしてくださる郵便屋さんや宅配便の方などなど…
私が歯科で仕事をする上で関わるすべての皆さんに、礼節をもって接するようにしています。
それは笑顔であったり、言葉づかい、声のトーンやペースといった話し方であったり、所作であったり…
仕事や職場というのは、目的地(なりたい自分)へ行くための、目標(道しるべ)がたくさんある場所ですので、関わる人を大切に、大事にしていきたいと考えています。
働く中で、うれしかった出来事
これまで一緒に仕事をしてきた歯科助手さんや、講師を経験した際に出会った他院の歯科医療従事者の方に、「松田さんのようになりたい」と言ってもらえたことです。
また、高校生の患者さんが、私と同じ歯科の道に就職したと報告してくれたのも嬉しかったです。
経験や仕事内容よりも、仕事を好きになる、楽しむ、成長を続けられる場所だということが伝えられたのだと思いました。
また、高齢の患者さんから「いつものお姉さん」と呼んでいただいたり、なかなかお会いできなかった方に「しばらく見ないから辞めちゃったかと思った~いて良かった」と言っていただいたり。
お取引のある業者さんや担当者さんからも、「松田さんがいれば安心です」と言っていただけたり、年の功でしょうか?幅広い年代の方々と楽しくお話しできることが嬉しいです。
現在の職場の山村院長は、いろいろな仕事を任せてくださいます。
歯科の職種の中では、国家資格を持たない歯科助手、これまで劣等感や葛藤がたくさんありましたが、仕事を任されることが自信に繋がり、好きな仕事をさらに好きになりました。
院長には大変感謝しています!
今までの人生の中で、やっておいてよかったと思うこと
良いこともそうでないことも、すべてが今に繋がっていると感じますが…
少しでも気になっているセミナーへは、出かけて行って良かったです。その時すぐには必要ではなくても、後々かならず必要になる時がきます。
またセミナーの内容はもちろんですが、そこで出会う歯科医療従事者の方々と過ごした時間も、貴重な学びになりました。
あと「やっておいて」とは違うかもしれませんが、昨年父が亡くなりました。
遷延性意識障害という病気をご存じでしょうか?植物状態といえばお分かりになるかもしれませんが、父は6年間入院していました。
仕事を終えてから、入院する療養型病院まで顔を見に、声をかけに行く生活を6 年続けました。
そこで、患者家族として医療従事者に言いたいけど言えないもどかしい思いや、こうしてくれたらとても嬉しいのに、という経験をたくさんしました。
父の入院を通して、「患者に寄り添う」ということを実感しました。それは現在の私の仕事にとても役立っています。
やっておいて良かったこと=常に学ぶ姿勢でいることです。
院内のお気に入りイベント
当院は、患者さん向けのイベントなどは特に行っておりませんが…
4月1日の開業記念日は、毎年お誕生日のような気持ちで迎えています。
みんなの思い出になるようなプチプレゼントをサプライズで用意しています。自己満足ですが…(笑)
ここ数年は毎回、医院名や写真を入れたオリジナルのお菓子をオーダーしており、6周年はどら焼き、7周年はかっぱえびせんにしました。
これからの目標
院長は、経営者であり歯科医師です。
そんな院長の目の届かないところ、手の回らないところは、事務長的な役割として、受付やアシスタント業務のかたわらお手伝いさせていただいております。
今後はこんなこともあんなこともできる歯科助手の可能性や、この仕事の楽しさを何らかのカタチでたくさんの人に伝えたいと思っています。
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dstyleでは、“歯科で働く希望と可能性をあなたに”をコンセプトに、さまざまなフィールドで活躍する歯科助手の方々へインタビューを行っています。
ご興味をお持ちいただいた方は、ぜひご応募ください♪