歯科医院で働く職種のひとつである「歯科助手」。
法律で決められた業務がない反面、さまざまな役割を任される職業です。
dStyleでは、さまざまなシーンで活躍する歯科助手にスポットライトを当て、等身大の歯科助手ライフを語っていただきました。
このインタビューが、歯科業界で輝くきっかけになれば嬉しいです。
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今回は、歯科助手歴10年の片岡千晶さんにお話を伺いました。
一人目のお子さんを出産後、T&Rデンタルクリニックのオープニングスタッフとして働きはじめた片岡さん。
8年目となる現在は歯科衛生士を目指し、学校に通いながら3人の子育てと仕事の両立に励んでいます。
歯科で働こうと思ったきっかけ
歯科については前々から興味がありましたが、育児をしていく中で正しい知識を身につけたい、と思ったのがきっかけです。
これまではスーパーのレジやデスクワークなどのアルバイトをしていましたが、任される仕事内容は企業全体にかかわるものというよりも、個人単位で収束するような作業が多かったです。
その反面、歯科医院はドクターがいて、歯科衛生士がいて、それをサポートするアシスタントの仕事も大切で。チーム医療の中では、誰か一人でも違う動きをすると円滑に回らなくなるので、一人ひとりのパフォーマンスが重要なんですよね。
そういった面で頭を使いますし、その分やりがいも感じやすいです。自分がしている仕事の重要性を感じますね。
長く勤められる秘訣
今年で8年目になりますが、今の医院と出会う前は、長く勤めたいとか知識を深めたいという意識はあまりなかったです。
たまたまオープニングスタッフとして採用していただいたのですが、やはり人間関係が良好なことが、長く勤める秘訣のひとつかなと思います。
また、院長先生も歯科衛生士の奥様も、なんでも話を聞いてくださるので、そこは一番衝撃でした。お二人がスタッフの意見を尊重してくださるので、こちらも医院のためになにか力になれたらと思えるんです。
世の中にはそういった職場ばかりではないと思うので、そこで挫折してしまう方がいる中で、やりがいを持って働ける医院に巡り会えたことはとても幸運です。
歯科衛生士になりたいと思ったきっかけ
今の職場で尊敬できる歯科衛生士の方々に出会い、仕事を教わるうちに憧れの人に近付きたい!と思ったのがきっかけです。
以前勤めていたところの歯科衛生士は、業務として仕事をこなしているという感じがしていました。しかし、今の医院に勤めている方は、みなさん常に志が高くて、患者さん一人ひとりにあわせたトータルケアをしっかりしているんです。
私は歯科助手なので知識が限られていますが、私が気付かない所まで見えていらして。
治療の流れなど、全体を把握して働いているところに憧れますし、自分もそういう人間になって仕事をこなせるようになりたいと思うようになったんです。
オープニングスタッフとして働きはじめた当時は、育児で少しブランクがあったので、仕事をこなせるようになるのに時間がかかりました。
1年くらい働いて周りが見えるようになってきた頃に、もっと知識を深めたら、患者さん一人ひとりにもっと入り込んだサポートができるのではないかと思うようになって、衛生士を目指すようになったんですよね。
仕事・育児・学校の両立
いまは午前中に診療に入らせていただいて、午後から歯科衛生士学校の夜間部に通っています。
大変なことといえば、やはりスケジュール管理ですね。何かひとつでも予定外のことが起きると、どうしてもドミノ倒しのように他の予定が崩れていってしまう。
それでも診療は毎日行われていて、患者さんからすれば私が学校に通っていることは関係ないことなので、通常通りしっかりと業務をこなしながら、隙間時間を見つけて勉強したりしています。
授業でわからないところを院長先生や歯科衛生士の奥様や社員さんにちょっと聞いたり、学校で学んだことをすぐにアウトプットできる環境があることは恵まれているなと思います。
また、学校に通いはじめてからは、どうしても家庭の時間が減ってしまいました。特に子どもとの会話の時間が減ってしまったのは、ネックですね。
その代わりというか、休みの日は家族のために時間を作ろうと思っています。
この両立生活にもだんだん慣れてきたので、楽しみながらできたらいいなと思っています。
仕事をする上でこだわっていること
患者さん一人ひとりに寄り添いながら診療の補助をすることです。
たとえば歯科にトラウマがある方などは、なるべく緊張をほぐすような声かけをしたり。治療の前にリラックスしていただけるように、他愛もない会話をするようにしていますね。
嘔吐反射が強い方には、印象を採る時にもしっかり声かけをしたり、なるべく寄り添いながら接するようにしています。
それに、みんな同じように扱われたら、ちょっといやかなと思うんです。
そのため、自分が患者として病院に行った時などは、「この人話聞いてくれてるのかな?」「受付がそっけない…」と、気になったことを心に留めておき、それを反面教師にして自分の行動を改善するようにしています。
今までの人生の中で、やっておいてよかったと思うこと
育休中に勉強して、資格を取得したことです。現在は医療事務、調剤事務、色彩検定の資格を持っています。
色彩検定は高校の時にデザイン関係の学校に通っていたので、その時に取得しました。
院内の手書き看板を任されることもありますが、どうやったら医院のいいところをアピールできるかなど、ポイントをおさえて看板を作ることができるので役に立っているかなと思います。
また、色調がわかると、ホワイトニングの時など変化が目に見えてわかるので、患者さん以上に嬉しかったりしますね。
医療事務、調剤事務は育休中に予備校に通って取りました。
本当は歯科助手の通信講座などもあったのですが、どうしても家だと手につかなくて、がっつり通って取得することにしました。
医療事務の資格は、事務のことだけを学ぶのではなく、人体のことから掘り返して学んでいけるので、そういう知識を深められたのがよかったです。
医科と歯科って別々に考えがちですが、やはり全身のことを知っていないと、トータルケアにはつながらないのではと感じています。
また、調剤事務は、歯科でも薬を処方することがあるので、オールマイティにどんなことを聞かれても正確な知識を提供できるようになりたいと思い取得したんです。
資格を取ってからは、患者さんがお薬手帳をパッと出されても、慌てずに対応できるようになりました。
さまざまな知識を得ることで、仕事や会話の幅が広がったので、人生毎日が勉強なんだな、と感じています!
働く中で経験した、うれしい出来事
我が子に「ママかっこいい!」と言ってもらえたことです。
うちの家族は全員、勤め先のクリニックに通っているのですが、私が患者さんに接している姿を見て、家庭で見る私の姿とぜんぜん違うように見えたのだと思います。
オンオフの切り替えというか。子どもたちにはよく写ったのではないでしょうか。
歯科衛生士学校に通うことについても、特に長男が応援してくれていて、家事を手伝ってくれたり、勉強がんばってね、と声をかけたりしてくれるので、それだけですごく力になります。そこは本当に救いですね。
一緒に勉強しよっか!と、お互いの宿題を片付けることもあるなど、相乗効果も生まれています。
院内のお気に入りイベント
キッズクラブや院内旅行です。特にキッズクラブは、奥様がワーママDHということもあり、ここのクリニックでは力を入れているイベントです。
子どもって最初のとっかかりが本当に重要じゃないですか。
はじめて行く歯科医院にすごいこわい先生がいたり、塩対応のスタッフさんにあたってしまうと、歯科医院がもう二度と行きたくない場所になってしまって、むし歯が進行してしまう…という悪循環に陥ってしまいます。
なので、その手前の段階として、ただ歯科医院という場所がこわくない場所だという意識をもってもらうために、子どもたちにレクリエーションの場を提供しています。
イベントの内容としては、親子で一緒に楽しく歯科を好きになれるような取り組みをしていて。子どもたちにアルジネートや石膏などでちょっとした制作遊びをしてもらう他、歯についての知識を保護者や子どもたちにお伝えしています。
そのおかげか、幼児の頃から高校生、大学生になっても通ってくれている子もいるんですよね。それってすごいことかなと思います。
自分の子どもも通わせてもらっているのですが、毎回とっても楽しみにしていますね。子ども同士のコミュニティもできるので、うちの子は全員歯医者に行くのが好きだと言っています。
今後挑戦したいこと
仕事、家庭、勉学を両立させることです。
歯科衛生士の国家資格を無事に取得できたら、そこで満足するのではなく、その先のホワイトニングコーディネーターなどを目指すなど、どんどん上を目指したいですね。
また、これから患者さんに提供していこうと思っている施術などは、率先して体験していきたいなと思っています。
直近だったら、1ヶ月集中トリートメントケアの施術を受けるなど、自らが体験することで、より鮮明に伝えられるようになりたいです。
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dstyleでは、“歯科で働く希望と可能性をあなたに”をコンセプトに、さまざまなフィールドで活躍する歯科助手の方々へインタビューを行っています。
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