学会などが認定している認定歯科衛生士制度。
専門性の高い臨床を行ったり、多くの人の前で発表をしたりと、そのような姿に憧れている方も多いと思います。
dStyleでは、いろいろな学会の認定歯科衛生士をご紹介。
ベテランの方から復職した方、新人の方まで、みなさんとってもいい方なので、学会で会ったらぜひお声がけしてみてくださいね。
今回の認定資格FILE
PROFESSIONAL CAREER HISTORY1995年 2004年 2010年 2017年 2019年 |
DH PROFILE
歯科衛生士歴: 25年
SJCD歴: 15年
認定衛生士歴: 1.5年目
休職年数: 0年
Interview
30代になろうとした頃だったと思います。公私ともに時間に多少余裕ができはじめ、シンポジウムや講演会にもひんぱんに足を運ぶようになりました。
その当時参加した、ノーベルバイオケアのワールドシンポジウムにおいて、SJCDの山崎長郎先生と土屋賢司先生が、白熱したディスカッションをされていたのを、今でも鮮明に覚えています。
この講演で私が気づかされたことは、診査診断の重要性、そして時間軸で患者さんの口腔内を観るということでした。
歯科衛生士の立場としては、ついつい先に歯石やプラーク、歯肉の出血に目が行きがちです。患者さんの生活背景などを考えることはありますが、過去においてその患者さんをどのように診断し、どのような治療を施し、どのような治療過程をたどり、どのような理由でその最終補綴物がセットされたのか。といったことを軽視していたように思いました。
このシンポジウムを通して、治療経過を理解し、メインテナンス時の情報として活かしていくことで、さらに患者さんの口腔の健康を維持できるのではないのではないかと考えるようになりました。
そのような思いが頭の中をめぐっていたときに、タイミング良く土屋和子さんに出会い、SJCDの第一回合同例会にお誘いを受けました。そこに参加したことをきっかけに、同時にSJCDに入会を決めました。
症例を3ケース選んで提出するのが大変でした。
認定試験で提出する症例には、とくに分野などの規定はないのですが、せっかくの機会なので、SJCDで学んだことを生かした症例を選びたいなと思い、審美領域を含んだ治療を行った患者さんのケースを選びました。
SJCDでは「資料がきちんと採れているか」というところを重視しているので、その点に注意しながら選びました。しかし、すべての資料がきちんと揃ったケースが意外となく、写真がきちんと撮れていないことや、うっかり…といったことにも気をつけていかねば、と痛感しました。
また、3症例ともインターディシプリナリーアプローチを行ったケースを選んだため、矯正もあり、インプラントも補綴もあり…と、症例報告を書くのに2日くらいかかりました。
お付き合いの長い患者さんの場合、10年以上前に治療した箇所もありますので、当時の状況を確認しつつ、これまでに得た知識や技術を振り返りながら症例報告を作成することで、当時とはまた違った見方ができるいい機会でした。
SJCDは歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士が一緒の場で学べることが最大のメリットかと思います。歯科衛生士であっても、世界レベルの最新の歯科治療の知識と技術を学ぶことができます。
日常臨床においても、技工士さんがなにに気をつけて最終補綴物を作ったか、だからどういうメインテナンスをすべきか、といったように、さまざまな視点をもって、先生や歯科技工士の方、患者さんとディスカッションができるようになりました。
また、院内研修などでお伺いするクリニックの先生が当学会の会員であることもあります。そういった場合は情報共有をしやすいですし、資料採得の方法が統一されているので、逐一確認することが少なくなり、とても仕事がしやすくなりました。
SJCDは、補綴、保存修復、歯周治療、矯正治療等、歯科治療のあらゆることが学べる学会でもありますので、そのような学会の認定資格を取得できることは、自身の歯科治療においてさらなる向上心に繋がると思います。
SJCDでは、認定資格取得のために、3症例を提出する必要があります。症例報告を作製する際に、自分自身の臨床を振り返ることができます。
また、資格を取得することにより、歯科衛生士としての自信とさらなるやりがいを感じられると思います。
日頃の臨床に対する姿勢や努力を形にすることは、素晴らしいことです。ぜひ資格取得に挑戦していただき、ステップアップしていただけたらと思います。
わたしの診療スタイル
私は現在フリーランスとして活動させていただいております。個々のクリニックにおいて、診療形態や治療方針が異なるため、クリニックごとに私に求められていることが異なるのは当然かと思います。
その中で共通して心がけていることは、そのクリニックの専門性を活かした治療ができるように、相手を尊重して仕事をすることです。
院長をはじめスタッフの皆さんが気持ちよく仕事ができるよう、院内研修がはじまる前に何度か見学に伺って状況を確認したり、症例検討会などを設けて、先生とスタッフがコミュニケーションをとる場を作ったり…私自身にできることは惜しまず協力していこうという姿勢を大切にしております。
また、患者さんとの接し方には、とくに気をつけていることがあります。
患者さんにとって歯科医院はあまり快く行ける場所ではないと思いますが、それでも毎回足を運ばなくてはなりません。
そんな患者さんに少しでも心地よくクリニックにお越しいただきたいので、患者さんが来院されたときの雰囲気を瞬時に察知して、その状況にあわせたコミュニケーションを取り、リラックスして治療を受けてもらえるようにということを、常に心がけています。
FAVORITE TOOL
EMS社のプロフィラキシスマスターは、歯周基本治療からメインテナンスまで使用できるので、私の日常臨床においてなくてはならないツールのひとつです。
超音波スケーラーとパウダーが一体化されているため、バイオフィルムと歯石の除去を効率的に、より確実に行うことができます。
また、プロフィラキシマスターに使用するパウダーに配合されている「エリスリトール」という成分は、キシリトールよりもう蝕予防効果が高いことが明らかになっています。さらに、細菌のバイオフィルムの形成を阻害することなども示唆されており、バイフィルムを除去するだけでなく、細菌に対する予防効果も期待できます。
それから、メインテナンスやホームケアで、歯ブラシの次に欠かせない製品は歯間ブラシです。
中でもクラプロックスの歯間ブラシは、歯間部のサイズを測る専用のプローブがあることにより、適切なサイズを選び、患者さんと共に確認することができるため、新たなコミュニケーションツールのひとつとして活用しています。
また、クラプロックスの歯間ブラシは毛にハリがあり、歯間部に挿入した際に傘を開くように毛が開くため(パラソル効果)、歯根の凹みにフィットしやすく、歯肉溝直下まで毛先が届くことで歯間部の汚れを確実に除去できるところが、他社製品と大きく異なる特徴です。
これまで歯間ブラシを敬遠されていた患者さんも、「今までの歯間ブラシの感触と違い、柔らかく気持ちがいい」とよろこんで継続して使っていただける歯間ブラシです。