ライオン株式会社は6月9日、コロナ禍におけるオーラルケアに対する意識や行動についての調査結果を発表しました。
この調査は、2022年3月に16〜79歳の男女2,259名を対象に、インターネットで行われたもの。
また、2,259名のうち207名が新型コロナウイルス感染症罹患経験者 (以下、コロナ罹患経験者)でした。中でも自身が罹患経験者である方は154名、家族が罹患経験者である方は53名だったとのこと。
今回の調査結果によると、コロナへの罹患経験がない方の51%が、歯磨きや舌磨きなどのオーラルケアが感染症予防につながる可能性があることを「知っている」と回答し、コロナ罹患経験者においては44%が「知っている」と回答しました。
また、コロナ罹患経験者で「知っている」と回答した方の38%は「罹患をきっかけに知った」と答えました。
一方で、歯磨きなどのオーラルケア行動に関しては、コロナ罹患経験の有無に関わらず、コロナ禍でもほとんど変化は認められなかったとのこと。
ただし洗口剤においては、他のセルフケア用品と比べて、使用頻度が上がった方が多い結果となりました。
感染症予防にオーラルケアが重要だということを知っていても、普段のオーラルケア行動には反映されにくいということが明らかになりました。
調査結果に対する考察
今回の調査によって、コロナ罹患経験の有無に関係なく、「感染症予防にはオーラルケアが重要」ということを知っている方はほぼ半数という結果がでました。
以前からオーラルケアの重要性については、テレビや一般の雑誌でも取り上げられる機会が増えてきていましたが、コロナ禍になってからはより一層加速したように感じます。
そういった認知が広がっているにも関わらず、コロナ禍前に比べても「オーラルケア行動はほとんど変化しなかった」という結果は、歯科医療従事者にとって少し残念な結果だったのではないでしょうか。
現時点では「歯磨き=感染症予防」というよりも、「口腔内をきれいにすること」を目的に行っている方がほとんどということなのかもしれません。
一方で、歯科医療従事者によって「オーラルケアが、実は免疫にも影響を及ぼす可能性がある」という事実を患者さんに伝えていくことで、オーラルケア行動を見直す人が増加する望みもまだまだ残されています。
「感染症が気になる時は、普段よりも歯磨きなどを積極的に行いましょう!」という声かけやアプローチを増やしていけると良いのではないかと思います。
目的やシーンに合わせて、自身のオーラルケア行動を柔軟に変えていくことが、感染症とともに暮らす時代の新しい生活習慣として重要なのかもしれません。
出典:「感染症予防に口腔内の清潔が重要」コロナ罹患経験者の約4割が罹患をきっかけに知ったと回答!目的やシーンに合わせた毎日のオーラルケア行動のススメ(ライオン株式会社プレスリリース)