2020年4月から算定可能!診療報酬改定で新設された「歯周病重症化予防治療」とは?

2月7日、中央社会保険医療協議会(中医協)より、令和2年度の診療報酬改定における答申が発表されました。

この改定によって、歯科においても初診料や歯科疾患管理料の点数が変更されることになりました。中でも、今回の改定で新設された「歯周病重症化予防治療」という項目は、歯科衛生士業務に大きく関わります。

今回は、歯科衛生士が関わる点数について変化があったものを、まとめて紹介します♪

1.初診料と再診料がアップ!

今回の改定によって、歯科の初診料は251点から261点と10点アップし、再診料は51点から53点と2点アップしました。

点数/保険項目 初診料 再診料
旧点数 251点 51点
新点数 261点 53点

同時に、院内感染対策の研修が条件として義務づけられました。昨今、歯科医院の感染対策が社会問題となったのが背景と考えられます。

2.「長期管理加算」が新設された歯科疾患管理料

毎月算定する歯科疾患管理料については、初診料を算定する月のみ100点から80点に減算。しかし、初診時から6ヶ月を経過した場合は「長期管理加算」という新しい点数が算定できるようになります。

これは、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)の場合は+120点、それ以外の診療所は+100点を加算できるようになるようです
(参照:かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)ってどんな歯科医院?

保険項目/歯科医院 か強診の場合 か強診以外の場合
長期管理加算 +120点 +100点

3.スケーリングと機械的歯面清掃の点数がアップ!

歯科衛生士が大きく関わるスケーリングについては、3分の1顎につき68点から72点と4点アップし、機械的歯面清掃も68点から70点と2点アップしました。

点数/保険項目 スケーリング 機械的歯面清掃
旧点数 68点 68点
新点数 72点 70点

4.新設された「歯周病重症化予防治療」

こちらは今回の改定から新設された算定項目で、歯肉炎を認める患者さんに対して月に1回算定できます

BOP(+)を認める部位があれば算定可能なため、今まで歯周病安定期治療(SPT)を算定できなかった患者さんに対しても、歯数に合わせて月に算定できる項目が増えます。

歯数/保険項目 歯周病重症化予防治療
1歯以上10歯未満 150点
10歯以上20歯未満 200点
20歯以上 300点

ただし、2回目以降の算定については、前回算定した月の翌月の1日から起算して2ヶ月経過しなければ算定できません。実質2ヶ月と1日〜3ヶ月の期間が必要ということですね。

もちろんSPT(Ⅰ)や(Ⅱ)と同時に算定することもできないため、注意が必要です。

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いかがでしたか?

他にも、3根管以上の根管治療をマイクロスコープを用いて行った場合は400点加算できるようになったり、条件がそろえば上顎6番にもCAD/CAM冠を装着できるようになったりと、さまざまな算定項目が増えています。

一方で、厚生労働省が募集したパブリックコメントによると、高騰しつづけている金銀パラジウム合金について考慮した診療報酬改定がみられないことに対する不満が多く寄せられていました。

2年ごとに発表される診療報酬改定の内容を知ることで、歯科医療の進んでいく方向が感じとることができます。改定された年は、かならず今までの算定内容を見返すようにしましょう!

出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会『個別改定項目について』