診療報酬点数について学ぼう! #5 歯科衛生実地指導料・歯周病患者画像活用指導料とは?

歯科医院の売り上げや業績に直結する、診療報酬点数。

毎年少しずつ内容や点数が改定され、二年に一度、大幅な改定が行われます。

2022年度はその大幅な改定が行われる年で、改定内容についての情報が続々と出はじめています。
(参照:2022年度診療報酬改定の個別改定項目についての答申結果を発表 中医協-WHITE CROSS

算定項目によっては、算定条件や算定できる期間が細かく決まっているため、完璧に内容を覚えることがむずかしい項目も。

この連載では、算定する機会が多い項目や、複雑な条件が必要な項目について詳しく解説していきます♪

今回は、「歯科衛生実地指導料」「歯周病患者画像活用指導料」について紐解いていきます。

前回までの記事はこちら

#1 診療報酬点数とは?
#2 初診料・再診料とは?
#3 歯科疾患管理料とは?
#4 小児口腔機能管理料・口腔機能管理料とは?

歯科衛生実地指導料

歯科衛生実地指導料とは?

歯科衛生実地指導料とは、主治医の指示を受けた歯科衛生士が、患者さんに直接15分以上の実地指導を行い、指導内容に関する情報を文書で提供することで、月1回算定することができる項目です。

う蝕または歯周病に罹患している患者さんにおいては、プラークチャートなどを用いたプラーク付着状況の指摘や、患者さん自身によるブラッシングを観察した上でのブラッシング指導を行うことが義務づけられています。

提供する文書には、以下のことを記載する必要があります。

  • 指導内容
  • 患者さんの口腔衛生状態
  • 指導した開始時刻と終了時刻
  • 保険医療機関名
  • 主治の歯科医師の氏名
  • 指導を行った歯科衛生士の氏名

上記の文書提供は、基本的に初回の指導時に行い、患者さん自身によるプラークコントロールの状況や指導内容に変化があったときにも行うとのこと。

少なくとも3ヶ月に1回以上は提供し、患者さんに提供した文書の写しはカルテに添付する必要があります。

また、主治医である歯科医師は、歯科衛生士に対して患者さんの療養上必要な指示を十分に行うとともに、歯科衛生士に行った指示内容の要点をカルテに記載します。

歯科衛生実地指導料を算定した歯科医院は、毎年、7月1日現在の歯科医院名や歯科衛生士数(常勤非常勤の内訳も含む)などを地方厚生支局長に報告しなければいけません

歯科衛生士実地指導料は80点?100点?

歯科衛生実地指導料には1と2があり、それぞれの点数は80点と100点です。

「歯科衛生実地指導料2」は、医科歯科連携を行い、著しく歯科診療が困難な患者さんにも対応可能な歯科医院が算定できる点数です。

具体的には、初診料に「歯科診療特別対応加算」や「歯科診療特別対応連携加算」を加算できる歯科医院のみが算定できます。
(参照:診療報酬点数について学ぼう! #2 初診料・再診料とは?

そのため一般的な歯科医院では、「歯科衛生士実地指導料1」の80点を算定することが多いかと思います。

歯科衛生士実地指導料は「訪問歯科衛生指導料」と同時に算定できないため、訪問診療を行っている歯科医院は注意しましょう。

歯科衛生実地指導料

歯周病患者画像活用指導料とは?

歯周病患者画像活用指導料とは、患者さんに歯周病検査を実施する際、継続的な管理を行うにあたって必要な口腔内写真を撮影し、必要な指導を行った場合に算定できる項目です。

歯周病に罹患している患者さんに対して、プラークコントロールの動機づけを目的として行うこととされています。

口腔内写真1枚の撮影で10点が加算され、2枚以上撮影した場合も1枚につき10点を加算することができます。

1回の算定では5枚分、すなわち50点を上限に算定することが可能です。

影した口腔内カラー写真はカルテに添付、またはデジタル画像を電子媒体に保存して管理する必要があります。

口腔内写真

***

いかがでしたか?

カルテやレセプトは、普段何気なく目に触れるものですが、その内容まで詳しく理解するには時間が必要です。

私たち歯科医療従事者が普段行っている治療について、“この処置は何点なんだろう?”という疑問をもつことや、“患者さんはこれだけの治療費をかけて通ってくれているんだ。”という実感を得ることは大切だと思います。

ぜひこの連載で、普段算定している診療報酬点数についてマスターしましょう♪

次回は、「歯周病検査」についてです。お楽しみに!

参考文献:歯科診療報酬点数表-厚生労働省

診療報酬点数について学ぼう!

#1 診療報酬点数とは?
#2 初診料・再診料とは?
#3 歯科疾患管理料とは?
#4 小児口腔機能管理料・口腔機能管理料とは?
#5 歯科衛生実地指導料・歯周病患者画像活用指導料とは?