診療報酬点数について学ぼう! #6 歯周病検査とは?

歯科医院の売り上げや業績に直結する、診療報酬点数。

毎年少しずつ内容や点数が改定され、二年に一度、大幅な改定が行われます。

算定項目によっては、算定条件や算定できる期間が細かく決まっているため、完璧に内容を覚えることがむずかしい項目も。

この連載では、算定する機会が多い項目や、複雑な条件が必要な項目について詳しく解説していきます♪

今回は、歯科衛生士なら毎日行っている人も多い「歯周病検査」について紐解いていきます。

前回までの記事はこちら

#1 診療報酬点数とは?
#2 初診料・再診料とは?
#3 歯科疾患管理料とは?
#4 小児口腔機能管理料・口腔機能管理料とは?
#5 歯科衛生実地指導料・歯周病患者画像活用指導料とは?

歯周病検査

歯周病検査とは?

歯周病検査とは、歯周ポケット測定やプロービング時の出血の有無、歯の動揺度、プラークの付着状況、歯肉の炎症状態など、歯周病の診断に必要な検査をする際に算定できる項目です。

成人に対する歯周病検査には、「歯周基本検査」と「歯周精密検査」があります。

歯周基本検査は、1点以上の歯周ポケット測定および歯の動揺度の検査を行った場合、歯周精密検査は、4点以上の歯周ポケット測定とプロービング時の出血の有無、歯の動揺度、プラークチャートを用いたプラーク付着状況を検査した場合に算定することが可能です。

残存歯数によって算定できる点数が異なり、歯内療法や根面被覆、キーパー付き根面板を行って積極的に保存している残根を除いて、残根歯は歯数として数えないこととされています。

それぞれの検査の点数は、以下の通りです。

歯数/検査 歯周基本検査 歯周精密検査
1歯以上10歯未満 50点 100点
10歯以上20歯未満 110点 220点
20歯以上 200点 400点

2回目以降の歯周病検査は、歯周基本治療の効果や治療に対する反応を把握し、治癒の判断や治療計画の修正、歯周外科手術後の歯周組織の変化を比較検討することなどを目的として行います。

ただし、前回検査を実施した日から起算して1ヶ月以内に実施した場合は、所定点数の100分の50に相当する点数で算定する必要があります。

また、在宅などで療養中の患者さんや、歯科診療特別対応加算または初診時歯科診療導入加算を算定している患者さんにおいては、歯周ポケット測定などを行えない場合、歯肉の発赤や腫脹の状態、歯石の沈着の有無などによって歯周組織の状態の評価を行った上で、歯周基本治療を開始しても良いとされています。
(参照:診療報酬点数について学ぼう! #2 初診料・再診料とは?

この場合、患者さんや歯周組織の状態をカルテに記載することが義務づけられています。

歯周病検査は一口腔単位で行い、内容については日本歯科医学会が提示している『歯周病の治療に関する基本的な考え方』を参考にして実施することとされています。

歯周外科処置後の再評価は「歯周病部分的再評価検査」を算定

歯周外科手術を行った部位に対して再評価を行う場合は、「歯周病部分的再評価検査」という点数を算定することができます。

歯周病部分的再評価検査とは、歯周外科手術を行った部位に対して、歯周病の治癒の状態を評価することを目的として行う検査のことを指し、手術後1回のみ、1歯につき15点を算定することが可能です。

たとえば、右上4〜7番までのフラップ手術(歯肉剥離掻爬手術)の再評価を行った場合は、15×4=60点を算定できます。

歯周病部分的再評価検査を算定する場合は、4点以上の歯周ポケット測定とプロービング時の出血の有無、必要に応じて歯の動揺度、プラークチャートを用いたプラーク付着状況を検査する必要があるとのこと。

ただし、前述の歯周病検査と同日に部分的再評価を行う場合は、歯周病検査と別に算定することはできません。また、SPT期間中も算定できない項目とされています。

歯周病部分的再評価検査

小児の患者さんには「混合歯列期歯周病検査」が算定可能!

混合歯列期または乳歯列期の患者さんに歯周病検査を行った場合は、「混合歯列期歯周病検査」という点数を算定することができます。

混合歯列期歯周病検査とは、混合歯列期または乳歯列期の患者さんに対して、歯肉の発赤や腫脹の状態、歯石の沈着の有無、プラークチャートを用いたプラーク付着状況、BOPの有無の検査を行った場合に、1回につき80点を算定することができる項目です。

患者さんの歯周組織の状態や年齢などを考慮し、混合歯列期歯周病検査以外の歯周病検査を行う場合は、永久歯の歯数に応じた歯周基本検査の各区分によって算定するとされています。

また、後継永久歯が先天性に欠如している乳歯については、永久歯の歯数に含めても良いとのこと。

永久歯が10歯以上萌出している患者さんにおいては、歯周基本検査を算定する方が点数が高いため、小学校高学年以降の患者さんの算定には注意しましょう。

混合歯列期歯周病検査

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いかがでしたか?

カルテやレセプトは、普段何気なく目に触れるものですが、その内容まで詳しく理解するには時間が必要です。

私たち歯科医療従事者が普段行っている治療について、“この処置は何点なんだろう?”という疑問をもつことや、“患者さんはこれだけの治療費をかけて通ってくれているんだ。”という実感を得ることは大切だと思います。

ぜひこの連載で、普段算定している診療報酬点数についてマスターしましょう♪

次回は、2022年度から新設された「口腔細菌定量検査」についてです。お楽しみに!

参考文献:歯科診療報酬点数表-厚生労働省

診療報酬点数について学ぼう!

#1 診療報酬点数とは?
#2 初診料・再診料とは?
#3 歯科疾患管理料とは?
#4 小児口腔機能管理料・口腔機能管理料とは?
#5 歯科衛生実地指導料・歯周病患者画像活用指導料とは?
#6 歯周病検査とは?