チェアサイドの栄養指導 はじめの一歩 第4回 サプリメントを効果的に使用するには?

みなさんこんにちは!歯科衛生士の山本典子です。

前回は、口腔内の症状と栄養素の関係についてお話ししました。

今回は、「栄養指導でも使われることのあるサプリメントは、本当に効くのか?」をテーマに解説します。

そもそもサプリメントとは?

サプリメントは医薬品と同じような形態をしているため、混同している人もいるかもしれませんが、サプリメントは医薬品ではありません

医薬品は、病気の治療を目的に開発されたものであり、薬事法で規定され、服用法が確立されています。

一方、サプリメントは特定の成分が凝縮された錠剤やカプセルなどを形態化した製品のことを指します。パッケージを見ると「dietary supplement」と書かれているはずです。

これは「食品を補うもの」という意味。つまり、サプリメントが、食事で不足している成分を補うことを目的とした「食品」であることを意味します。

医薬品と同じような形態のため、患者さんの中には、サプリメントと医薬品の区別がついていない人もいらっしゃいます。

また、鉄剤のように、病院で処方されているものでもサプリメントとして販売されていたり、イチョウ葉エキスなど、昔は医薬品として処方されていたものが現在はサプリメントとして販売されていたりする場合もあります。

先述したとおり、サプリメントには特定の成分が凝縮されているため、飲用することでその成分を簡単かつ大量に摂取できてしまいます。

ですから、食生活の偏りによって不足している栄養素がある場合は、サプリメントを利用することで補うことがもちろん可能です。

このような場合に、サプリメントは「効く」といえるでしょう

しかし一方で、胃腸の状態が悪く体内でしっかり吸収できない場合や、本来不足していない栄養素を摂取した場合には効果を感じることは難しく、サプリメントが「効かない」と思う人がいるのも事実です

消化吸収が鍵!?サプリメントを効果的に使用するために気をつけるべきこと

サプリメントは胃や腸で消化吸収されて初めて効果が表れます

そのため、サプリメントを摂取する前に、胃酸や消化酵素がしっかり出ているか、腸の動きが悪くなっていないかなど、消化機能のチェックが重要です

胃酸の働きをチェック

胃酸には、タンパク質や脂質を消化する酵素を活性化させる働きがあります。これが働かず、未消化のまま小腸に運ばれてしまうと栄養をしっかり吸収できません。

そして、サプリメントとしても摂取することの多いミネラルには、胃酸の刺激によって吸収される特徴があります。

消化器官の調子を整える胃腸薬などには胃酸の分泌を抑える成分が含まれることが多いので、胃酸に対してあまり良いイメージがないかもしれません。

しかし、胃酸はこのようにとても大切な役割をしているのです。

食事の際に胃もたれしやすいという方は、胃酸が適切に出ていない可能性があります。そのような場合は、いつもの食事の際に、補助としてレモン水や梅干し、酢の物などを一緒に食べると良いでしょう。

食事中にお水をガブガブ飲みながら食べると、胃酸が薄まってしまうので気をつけてください。

タンパク質の不足がないかチェック

また、消化酵素はタンパク質でできているため、普段からタンパク質不足の方は、消化酵素がしっかり出ていないかもしれません。

お肉やお魚を食べると胃が重くなる人は、まずはタンパク質不足から解消していきましょう。

アミノ酸がたっぷり含まれているといわれるお味噌汁や、かつおまたは煮干しの出汁を使ったスープを飲んだりするだけでも、タンパク質不足の解消に繋がります。

もちろん、プロテインを飲むのも効果的です。

消化吸収がうまくいくと、サプリメントに限らず普段の食事での栄養吸収も改善されるので、中には体調が良くなる人もいると思います。

サプリメントを選ぶときの注意点

サプリメントの多くは、製品を固めたり、飲みやすくしたり、見た目を良くしたりするための添加物が少なからず使用されています

商品によっては、本来の栄養素よりも添加物の方が多くなってしまっている場合があり、中には添加物の影響から体調が悪くなってしまう人もいるので注意が必要です。

パッケージには、成分の多いものから順番に記載されていますから、内容をしっかり確認して選ぶようにしましょう

サプリメントの効果にエビデンスはあるの?

サプリメントによる効果のエビデンスが気になる人も多いと思います。さまざまな論文がでていますが、「効果があった」とする論文もあれば、「効果がなかった」とする論文もあります。

これは、研究や調査の方法、個人の体の個体差や生活背景などが大きく関係していることが想定できます。

サプリメントには、鉄剤やビタミンB群など、医薬品として処方される栄養素がたくさんあります。一方で、サプリメント大国であるアメリカなどでは、日本では聞き慣れないものも販売されており、飲み方に注意が必要なものがあるのも事実。

聞いたことのないような成分のサプリメントを飲むのではなく、普段の食生活やストレス度合などを振り返ったうえで、上手に取り入れていきましょう

次回からは、「最近流行しているサプリメントは効くのか?」という観点で、例を挙げて解説していきます。

チェアサイドの栄養指導 はじめの一歩

第1回 歯を守るための栄養指導
第2回 口腔内を診るときのポイント
第3回 口腔内症状と栄養素の関連性
第4回 サプリメントを効果的に使用するには?