歯科のお仕事完全マニュアル 第2章 歯について STEP2 口の構造と歯並び

dStyleの「歯科のお仕事完全マニュアル」では、日本の歯科医療のアシスタント能力向上を目指すために、歯科医療の基礎知識から実践的な技術までをわかりやすくまとめています。歯科助手、歯科衛生士をはじめとした歯科医療従事者の方は、ぜひご活用ください。

口の中には、たくさんの器官があります。

続いては、口の構造と歯番の表し方について紹介します。

*この記事は2023年6月9日に更新しました

第2章 歯について

STEP1 歯の構造と面
STEP2 口の構造と歯番の書き方
STEP3 歯の生え変わり

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1.口の構造

口のことを口腔(こうくう)といい、口の中のことを口腔内(こうくうない)といいます。

そして、上あごのことを上顎(じょうがく)、下あごのことを下顎(かがく)といい、上顎の天井のことを口蓋(こうがい)といいます。

くちびるのことは口唇(こうしん)といい、べろのことは舌(ぜつ)といいます。

口の構造

2.永久歯列と歯番の書き方

歯の本数と歯番

大人の歯のことを、永久歯(えいきゅうし)といい、大人の歯並びのことを永久歯列(えいきゅうしれつ)といいます。

永久歯は、上下左右それぞれ7本、計28本が基本です。また、第8番目の歯として、智歯(親知らず)が上下左右に存在することが多いため、最大32本の歯があると考えていいでしょう。

診療中やカルテの記入時には、永久歯列を番号で表す「歯番」を使用します。

歯番にはさまざまな表示がありますが、日本やアジアで使用されることの多い表示方式は「Zsigmondy & Palmer方式」です。

Zsigmondy & Palmer方式

もっとも中央にある歯から1番、2番と番号で表し、「犬歯」なら“3番”、「第一小臼歯」なら“4番”といったように表現します。智歯のことは、“8番”と表します。

永久歯列の歯の本数と番号

個別の歯の表し方

個別の歯の表し方

Zsigmondy & Palmer方式では、それぞれの歯を、数字と十字を組み合わせて表します。

個別の歯の表し方

FDI方式

「FDI方式」は、国際歯科連盟が定めた表示方式で、世界各国で広く使用されています。

Zsigmondy & Palmerのような記号は使用せず、右上の中央から順に「11〜18」、左上の中央から順に「21〜28」といったように、2桁の数字のみで表現します。

2桁の位は、右上が「1」、左上が「2」、左下が「3」、右下が「4」と、時計回りに割り当てられています。

  • 右上(中央から順に)…11、12、13、14、15、16、17、18
  • 左上(中央から順に)…21、22、23、24、25、26、27、28
  • 左下(中央から順に)…31、32、33、34、35、36、37、38
  • 右下(中央から順に)…41、42、43、44、45、46、47、48

歯番の「左右」は患者さんにとってどちら側?

歯科でいう「左右」は、正面から見たときではなく、患者さんにとっての左右を表記しています。たとえば、次の図を正面から見ると右側が痛いように見えますが、患者さんにとって実際に痛いのは左側の歯です。

左右について

仮にこの患者さんが上顎の第一小臼歯が痛い場合、「左上4番が痛い」ということになります。

3.乳歯列と歯番の書き方

子どもの歯のことを、乳歯(にゅうし)といい、子どもの歯並びのことを乳歯列(にゅうしれつ)といいます。子どもの歯は、上下左右それぞれに5本ずつ、計20本が基本の本数です。

Zsigmondy & Palmer方式

もっとも中央にある歯からA、Bとアルファベットで表します。

乳歯列

FDI方式

右上の中央から順に「51〜55」、左上の中央から順に「61〜65」といったように、2桁の数字のみで表現します。

  • 右上(中央から順に)…51、52、53、54、55
  • 左上(中央から順に)…61、62、63、64、65
  • 左下(中央から順に)…71、72、73、74、75
  • 右下(中央から順に)…81、82、83、84、85

4.無歯顎と有歯顎

永久歯列において、う蝕や歯周病により歯が失われた結果、すべての歯がなくなった口腔を、無歯顎(むしがく)といいます。一方で、一本でも歯が残っている口腔を、有歯顎(ゆうしがく)といいます。

有歯顎(左)と無歯顎(右)
有歯顎(左)と無歯顎(右)

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受付を担当していると、歯の痛みを訴えながら来院される患者さんもいます。正しい歯並びや名称を覚えると、伝達や引き継ぎがスムーズに行えるようになりますね!

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第2章 歯について

STEP1 歯の構造と面
STEP2 口の構造と歯並び
STEP3 歯の生え変わり