歯の型のことを印象といい、患者さんの歯の型をとることを印象採得(いんしょうさいとく)といいます。
印象採得に使用する材料のことを印象材(いんしょうざい)といい、印象をとる目的や補綴物の種類によって、使用するトレーや材料の種類が変わります。
STEP2では、印象の種類や、印象採得に使用する器具について詳しく説明します♪
*この記事は2023年6月23日に更新しました
第5章 歯科技工とよく使用する材料
STEP1 技工物
STEP2 印象採得とバイト
STEP3 歯の模型
STEP4 石膏
STEP5 セメント
STEP6 レジン
1.印象採得
印象採得は、印象をとる目的や補綴物の種類によって、使用するトレーや材料の種類が変わります。
① 片顎印象(へんがくいんしょう)
歯列の一部の印象のことを指します。印象をとる部位によって、使用するトレー(印象をとる器具)も異なってきます。
右上と左下では同じトレーを使用することができます。同様に、左上と右下では同じトレーを使用することができます。
② 全顎印象(ぜんがくいんしょう)
歯列全体の印象がとれるトレーを用います。患者さんの歯列の大きさによりS、M、Lなどとサイズがあるので、術者から指示されたものを用意しましょう。
③ 無歯顎印象(むしがくいんしょう)
特殊なトレーを用いて印象をとります。無歯顎の印象をとる際は、印象材の量が少ないとすみずみまで印象がとれません。トレーに十分な量の印象材を盛るように気をつけましょう。
2.印象材
アルジネート印象材
アルジネート印象材は、水とアルジネートの粉末を混ぜると少しずつ固まります。手で練るタイプと、機械で自動的に練るタイプがあり、歯科医院によって異なります。
アルジネートを練ることを練和(れんわ)といい、水と粉の割合を混水比(こんすいひ)といいます。
水を入れすぎたり少なすぎたりすると、固まったときに印象が大きく変形して、歯にぴったり合う補綴物ができなくなるため、粉末と水の量を正しく測る必要があります。
上手なアルジネート練和
アルジネートをトレーに盛り、術者が歯に圧接し、固まるのを待ちます。
機械練りのアルジネート
寒天印象材(かんてんいんしょうざい)
寒天印象材を単体で使用することはありません。必ずアルジネートとセットで、寒天→アルジネートの順番で使用します。
このように、二つの印象材を使うことを、連合印象(れんごういんしょう)とよびます。
シリコン印象材(シリコンいんしょうざい)
より精密な印象をとることができるため、自費治療に使用されることが多い材料です。シリコン印象材には、用途に応じて、パテ、レギュラー、インジェクションなどの種類があります。
シリコン印象材は、服に付着するととれなくなります。そのため、シリコン印象をとる際には、患者さんの服の上からタオルをかぶせるなどの工夫をします。
3.アルジネート印象とシリコン印象の違い
アルジネート印象材よりシリコン印象材の方が、より精密な印象をとることができます。
アルジネート連合印象と比較して、シリコン印象から作った模型は精密であり、実物をよく再現しています。そのため、より歯にぴったりと合う補綴物ができあがります。
4.バイト
歯の咬み合わせのことをバイトといい、咬み合わせを記録することを「バイトをとる」といいます。基本的に、印象とセットでとります。
上下の歯の模型を単純にかませた状態(左)と、バイトを間に挟んでかませた状態(右)では、上下の歯の模型の位置関係が大きく異なります。
バイトがあることによって、上下の歯の咬み合わせの状態がわかるため、模型で口の中を正確に再現することができます。
パラフィンバイト
パラフィンというワックスをお湯やバーナーなどでやわらかくして、それを患者さんにかんでもらいバイトをとります。
シリコンバイト
より精密なバイトをとりたいときは、シリコンバイトを使用します。
続いては「歯の模型」について解説します。
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第5章 歯科技工とよく使用する材料
STEP1 技工物
STEP2 印象採得とバイト
STEP3 歯の模型
STEP4 石膏
STEP5 セメント
STEP6 レジン