歯科のお仕事完全マニュアル 第6章 予防・治療の知識 STEP9 TeCを作る治療

仮歯とは、最終的な補綴物を装着するまでに入れておく、レジンでできた仮の歯のことで、テンポラリークラウンTeC(テック、TeK、TEKとも書く)などといいます。

TeCの中でも、審美歯科治療などにおいて、より最終的な補綴をイメージして作りこまれたTeCのことをプロビジョナルレストレーションといい、プロビジョナルプロビなどとよびます。

STEP9では、TeCについて詳しく説明します。

さまざまなTeC
さまざまなTeC

1.TeC

生活歯と失活歯

生活歯とは、歯の神経が生きている歯のことをいいます。そのため、削る際は痛みを感じるため、麻酔をする必要があります。

それに対して失活歯は、過去に抜髄が行われている、あるいは歯髄が死んでいるため痛みを感じません。

生活歯と失活歯

ちなみに、以前抜髄をした歯でも、ペルや歯根破折などを起こすと痛みを感じます。その場合、歯髄に痛みを感じているのではなく、歯根を支えている骨の中の神経で痛みを感じているといえます。

痛みを感じる症状

生活歯の形成と失活歯の形成

生活歯を削ることを、生活歯形成といい、生PZ(せいピーゼット)生ピー(せいピー)などといいます。治療後にTeCなどでカバーなどをしなければ、しみるなどの症状が生じます。

また、失活歯を削ることを、失活歯形成といい、失PZ(しつピーゼット)失ピー(しつピー)などといいます。歯髄がないため、治療後にしみることはありません。

2.TeCが必要な歯の治療方法

TeCの印象

まずは、TeCを作るために印象をとります。

TeCの印象

作られてきたTeCのセット

できた模型をもとに作られてきたTeCを調節して、歯にセットします。この方法を間接法といいます。

② 作られてきたTeCのセット
TeCを調整してセットする様子

その場で作ったTeCをセット

TeCをその場で作り、調節し、患者さんの歯に直接セットする治療で、直接法ともよばれます。その場でTeCを作る方法には、以下の方法があります。

① 既製のTeCを使う

ポリクラウンとよばれる既製のTeCを、患者さんの歯に合うように調整して作ります。ポリクラウンは、前歯部でよく使用されます。

既製のTeCを使う
ポリクラウン

② ゼロから作る

練和したレジンを歯に押しあてて固め、歯の形に削り出します。その後、咬み合わせなどを調整し、TeCを作りあげます。削り出し自作などといいます。

ゼロからTeCを作る手順
ゼロからTeCを作る手順

③ 印象を利用して作る

二次カリエスなどによって補綴物の除去や作り直しが必要なとき、除去前に補綴物の印象をとり、レジンを流しこむと、補綴物と同じ形のTeCを作ることができます。

印象を再利用してTeCを作る手順
印象を再利用してTeCを作る手順

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第6章 予防・治療の知識

STEP1 予防
STEP2 投薬
STEP3 歯周病の治療
STEP4 知覚過敏の治療
STEP5 小さなう蝕の治療
STEP6 歯の神経をとる治療
STEP7 かぶせ物を作る治療
STEP8 感染根管の治療
STEP9 TeCを作る治療
STEP10 ブリッジを作る治療
STEP11 義歯を作る治療
STEP12 義歯の調整
STEP13 歯を抜く治療
STEP14 小児患者さんの治療
STEP15 その他の治療