歯科のお仕事完全マニュアル 第9章 C3の治療 STEP2 抜髄と麻抜②準備・アシスト

抜髄の治療には、準備するものがたくさんあります。アシスタントは、それぞれの用途や目的、使用するタイミングなどを理解しておく必要があります。

STEP2 抜髄と麻抜②準備・アシスト

STEP2では、抜髄の際に準備する器具や、治療の流れについて説明します。

1.抜髄の準備

基本的に準備するもの

表面麻酔 + 浸潤麻酔
タービン + ポイント
コントラ + バー
ファイル
ファイル
根管長測定用のメーター
ペーパーポイント あるいは 綿栓(めんせん)
ペーパーポイント あるいは 綿栓(めんせん)

術者の指示に合わせて準備するもの

エンドゲージ
エンドゲージ
仮封材(かふうざい)
根管貼薬剤(こんかんちょうやくざい)
超音波スケーラー + 超音波根管洗浄チップ
超音波スケーラー + 超音波根管洗浄チップ
根管洗浄用薬剤(こんかんせんじょうようやくざい)
根管洗浄用薬剤(こんかんせんじょうようやくざい)
ニッケルチタンファイル
ニッケルチタンファイル
ラバーダムセット
ラバーダムセット

② 仮封材(かふうざい)はフタとして使用します。水硬性セメント(キャビトン・ハイシールなど)や、ベースセメントなどが使用されます。

また、③ 根管貼薬剤(こんかんちょうやくざい)には、水酸化カルシウム製剤(カルシペックスなど)を使用します。

⑤ 根管洗浄用薬剤(こんかんせんじょうようやくざい)は、根管内を洗浄するために使用します。たとえば、次亜塩素酸ナトリウム(じあえんそさん。ヒポクロともいう)EDTAなどが使用されます。

次亜塩素酸ナトリウムは劇薬なので、取り扱いに注意しましょう。

補綴物の除去が必要な場合に準備するもの

5倍速 + 除去バー
5倍速 + 除去バー
ドライバー + リムーバー(クラウン・ブリッジの場合)
ドライバー + リムーバー(クラウン・ブリッジの場合)

2.治療の流れとアシスタント

① 麻酔を行う

  • 小綿球に表面麻酔を適量塗布しておく
  • 注射を組み立てておく
  • 注射中に漏れた麻酔薬をバキュームで吸う(術者による)

① 麻酔を行う

② 除去

二次カリエスの治療などで、すでにクラウンなどがセットされている場合、必要に応じて除去を行います。

  • 5倍速に除去バーをセットする
  • バキューム操作、ライトの調整
除去の手順
除去の手順

③ う蝕を削る

  • バーやポイントのセット、つけかえ
  • バキューム操作、ライトの調整
う蝕を削る手順
う蝕を削る手順

④ ラバーダムのセット

治療中に唾液が根管内に入ると、唾液中の細菌が侵入し、根尖病巣にかかりやすくなります。それを防ぐために、ラバーダムをセットして治療を行う術者もいます。

⑤ 術者がファイルを用いて、根管を掃除する

根管を清掃することを、根管拡大(こんかんかくだい)ともいいます。根管拡大は、術者が集中して行う治療なので、アシスタントが必要ない場合もあります。

根管拡大の手順
根管拡大の手順

拡大の途中は、何度か根管洗浄が行われます。その際、アシスタントスタッフはバキューム操作、ライトの調整を行います。

根管洗浄時のバキューム操作
根管洗浄時のバキューム操作

⑥ 仮封材でフタをする

抜髄を行った日に、最終的な薬をつめる治療(根管充填)まで行わない場合は、一時的な根管貼薬剤をいれて仮封材でフタをします。

  • 術者の指示に合わせた、薬を持ってくる
  • 適量の仮封材を練和する、または、充填器に盛る
根管貼薬剤(右)をつめて仮封する
根管貼薬剤(右)をつめて仮封する

⑦ 次回の予約をとる

術後は、鎮痛薬や抗生物質を処方します。また、根管治療(こんかんちりょう)、または根管充填(こんかんじゅうてん)で次回の予約をとります。

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第9章 C3の治療

STEP1 抜髄と麻抜①基本的な知識
STEP2 抜髄と麻抜②準備・アシスト
STEP3 根管治療
STEP4 根管充填(側方加圧法)
STEP5 除去
STEP6 感染根管治療
STEP7 支台築造の間接法①コア形成・印象
STEP8 支台築造の間接法②コアセット・形成
STEP9 支台築造の直接法
STEP10 TeCの作製