抜髄や根管治療によって清掃された根管に最終的な薬をつめる治療のことを根管充填といい、RCF(アールシーエフ)、根充(こんじゅう)ともいいます。
STEP4では、根管充填の際に準備する器具や、治療の流れについて説明します。
1.根管充填
根管充填の側方加圧法では、きれいに清掃し終わった根管内に、固体の薬をつめることによって、唾液や細菌が入りこまない状態になります。
この固体の薬は、ガッタパーチャポイントとよばれます。ガッタパーチャポイントには、マスターポイントとアクセサリーポイントがあります。
まず根管内にマスターポイントを1本入れて、専用の器具(スプレッダー)でスペースを作り、そのスペースをアクセサリーポイントで埋めていくという流れです。より細かく隙間を埋めていくために、シーラーという専用の のりを用いて行います。
前歯部の根管充填の術前(左)と 術後(右)
臼歯部の根管充填の術前(左)と 術後(右)
根管充填はアシスタントスタッフの技術によって、治療効率が大きく変わります。準備物や治療の流れをしっかりと理解しておきましょう。
2.根管充填(側方加圧法)の準備
基本的に準備するもの
ベースセメントで仮封している場合は、タービンを使用します。
1 | 超音波スケーラー あるいは タービン + ポイント |
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2 | ファイル |
3 | 根管長測定用のメーター |
4 | ペーパーポイント あるいは 綿栓(めんせん) |
5 | エンドゲージ |
6 | シーラー |
7 | マスターポイント |
8 | アクセサリーポイント |
9 | 根充用ピンセット |
10 | スプレッダー |
11 | プラガー |
12 | ヒートカッター あるいは 焼きエキスカ |
術者の指示に合わせて準備するもの
1 | 仮封材(かふうざい) |
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2 | 超音波スケーラー + 超音波根管洗浄チップ |
3 | 根管洗浄用薬剤(こんかんせんじょうようやくざい) |
4 | ラバーダムセット |
2.治療の流れとアシスタント
① 仮封材をはずす
タービンをセットしておくか、スケーラーのパワーを最大にしておきます。
② 根管の長さを測定する
術者がファイルを用いて、根管の長さを測定します。
- 根管長測定用のメーターを準備する
- 術者から「マスターポイント、40号を19mm」と指示があるので、その指示にしたがい、エンドゲージでマスターポイントを切り、アルコールガーゼにのせて、メインテーブルに準備する
③ 試適デンタル撮影
- 術者が歯根にマスターポイントを入れるので、その状態でデンタルを撮影する
※ マスターポイントではなく、ファイルを挿入した状態で撮影する場合もある - デンタルを現像する
④ 根管充填の準備
- 術者が根管内を洗浄、乾燥させる
- 術者の指示に合わせてシーラーを練和し、メインテーブルに準備する
⑤ 根管充填を開始
Step 1.マスターポイントにシーラーをつけて渡す
Step 2.スプレッダーを渡す
アシスタントスタッフはスプレッダーの上部を持ち、術者が操作しやすいように渡します。
Step 3.指示されたアクセサリーポイントにシーラーをつけて渡す
Step 2・3を繰り返します。
Step 4 .ヒートカッターをチェアーのバーナーで加熱して渡す
根管が複数本ある場合は、Step 1からStep 5を根管の数だけ繰り返します。危険な作業なので注意しましょう。
⑥ 仮封材でフタをする
適量の仮封材を練和するか、充填器に盛ります。
⑦ 術後デンタル撮影
⑧ 次回の予約をとる
支台築造の間接法1回目、または直接法で次回の予約をとります。前歯部の根管充填の場合は、CRで窩洞(かどう)を埋めて終わりとすることもあります。
やってみよう!知識チェック
姉妹サイト『WHITE CROSS』では、今回学んだ内容について、理解度チェックを行うことができます。ぜひご活用ください♪
第9章 C3の治療
STEP1 抜髄と麻抜①基本的な知識
STEP2 抜髄と麻抜②準備・アシスト
STEP3 根管治療
STEP4 根管充填(側方加圧法)
STEP5 除去
STEP6 感染根管治療
STEP7 支台築造の間接法①コア形成・印象
STEP8 支台築造の間接法②コアセット・形成
STEP9 支台築造の直接法
STEP10 TeCの作製