根管充填を行った歯に、レジンを流し込んで固め、適切な形に削って印象をとる治療のことを、接着レジン支台築造・形成といい、直接法やレジン築造、CRコアともいいます。
STEP9では、支台築造の際に準備する器具や、治療の流れについて説明します。
1.ポスト
ポストとは、接着レジン支台築造の際に歯を補強するために使用する材料のことをいい、主にスクリューポスト・ファイバーポストの2種類を使用します。窩洞の大きさによっては、入れないこともあります。
歯根破折を起こした歯の多くは抜歯になってしまうため、コアの材料は重要です。
ファイバーコアはファイバー繊維を含んでおり、歯に力がかかった際にしなるため、メタルコアなどと比較して、歯根破折を起こしにくいといわれています。
2.接着レジン支台築造の準備
基本的に準備するもの
① | タービン + タービン用ポイント |
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② | コントラ + コントラ用バー(ピーソーリーマー・根管形成バー・カーボランダムなど) |
③ | 歯面処理剤 |
④ | 薬液塗布用の小筆 |
⑤ | 支台築造用コンポジットレジンセット |
⑥ | 光照射器 |
⑦ | パラフィンワックス |
⑧ | 技工指示書 + 技工物ノート |
必要に応じて準備するもの
① | シェードガイド |
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② | ポスト |
③ | 歯肉圧排(しにくあっぱい)セット |
シェードガイドは前装冠などで色を決める必要がある場合、必要に応じて準備します。
また、歯肉圧排(しにくあっぱい)セットは、シリコン印象材で印象をとる際などに使用します。
3.治療の流れとアシスタント
① 仮封をはずす
- 仮封材の種類によっては、スケーラーのパワーを最大にしておく
- 技工指示書や技工物ノートへの記入を行い、印象用の名札を作っておく
② ポストの窩洞(かどう)を形成する
- コントラに、ピーソーリーマーをセットしておく
- 根管形成バーを準備しておく
- バキューム操作、ライトの調整
③ ポストの選択
アシスタントスタッフは、術者が使用するポストを選択しやすいように、準備しておきます。
④ 窩洞へ歯面処理剤をする
※ 治療手順④・⑤・⑥の詳細は、使用する機材によって異なりますが、今回はユニフィルコアEMセットを例に説明します。
a.術者が根管内を水洗、乾燥している間に、ユニフィルコアEMセルフエッチングボンド A液・B液を1滴ずつを5秒間混和しておきます。
b.術者が、混和液をポスト全体に塗布します。アシスタントスタッフは術者が塗布しやすいように、専用の小筆の先を混和液に浸して渡します。
c.30秒間放置後、約10秒間乾燥させます。
d.各塗布面に対して10秒間光照射を行い、それを塗布面全体に対して行います。「光をあててください」という指示に合わせて、照射器の先端をできる限り近づけて、光をあてます。
⑤ ポストを歯の中にたてる
a.カートリッジを準備し、術者に渡します。
b.術者が、少量のレジンを流しこんだ上からポストを埋めます。
c. 「光をあててください」という指示に合わせて、照射器の先端をできる限り近づけて、光をあてます。
⑥ 支台築造用コンポジットレジンの築造
a.術者に、カートリッジを渡します。
b.「光をあててください」という指示に合わせて、照射器の先端をできる限り近づけて、光をあてます。
c.タイマーを5分間にセットします。その間にカートリッジなどのセットを片づけ、支台歯形成の準備をしておきます。
⑦ 支台歯形成をする
- バキューム操作、ライトの調整
- バーやポイントのつけかえ
⑧ バイト・本印象・対合印象をとる
アシスタントスタッフはお湯を準備します。対合印象は、前回の治療(コア形成・印象)時にすでにとっている場合は、その模型を使用します。
⑨ TeCを作り仮着する
必要に応じてTeCを作製して仮着します。TeCの作製方法はSTEP10で詳しくご紹介します。
やってみよう!知識チェック
姉妹サイト『WHITE CROSS』では、今回学んだ内容について、理解度チェックを行うことができます。ぜひご活用ください♪
第9章 C3の治療
STEP1 抜髄と麻抜①基本的な知識
STEP2 抜髄と麻抜②準備・アシスト
STEP3 根管治療
STEP4 根管充填(側方加圧法)
STEP5 除去
STEP6 感染根管治療
STEP7 支台築造の間接法①コア形成・印象
STEP8 支台築造の間接法②コアセット・形成
STEP9 支台築造の直接法
STEP10 TeCの作製