口腔周囲筋ケア認定歯科衛生士 認定試験レポート

口腔周囲筋ケアとは、歯科衛生士としてお口のトータルケアを行うために、歯科衛生士とエステティシャンの資格を持つ高見澤亜衣さんが編み出されたものです。
(参照:歯科衛生士業務にプラスアルファ!口腔周囲筋ケアについて知るセミナーが開催

食いしばりのある患者さんや顎関節症の方に対して、包括的にケアしたいという思いから、口腔周囲筋ケア認定歯科衛生士の資格取得を決意しました。

今回は、認定試験について記したいと思います。

  1. 山梨プレゼン大会
  2. プライベートレッスン
  3. 認定試験
  4. オンラインセミナー
  5. 気づきからの発展

認定試験は、プライベートレッスンを修了した人のみ受けることができます。試験内容は、プレゼンテーションと実技試験。

今回は私以外に3人の方が受験されており、日本のあちこちからいらしていました。

プレゼンの発表内容

今回のプレゼンは、「口腔周囲筋ケアを学んで」というお題が課題でした。私は、『歯ぎしりと食いしばり』というタイトルで、自分の口腔内と身体の変化を振り返ることにしました。

なんと言っても私は、母と子の良い歯コンクール県知事賞受賞経験あり。歯には自信があったんです。

母と子の良い歯コンクール県知事賞の表彰
母と子の良い歯コンクール県知事賞の表彰状

しかし、長年の歯ぎしりで咬耗はありました。初めて口腔周囲筋ケアのセミナーに参加した際に、その影響で口腔周囲の筋肉に硬直が生じていたことを知ります。

肩こり、首こりは感じていましたが、顔の筋肉に意識を向けたことは皆無だったので、大きな衝撃でした。

その日から、口の中やその周囲の筋肉に関心が向きました。数日後には、昼間の食いしばりに気づきます。今回のプレゼンにあたり、自分自身の資料取りをする中でクラックや骨隆起にも気づきました。

歯がよいのは時としてデメリットだと思います。自分の歯や口腔内環境を過信していたのです。

さらに、低位舌であることもわかりました。どのタイミングでそのようになったのか断定することは難しいですが、母乳や離乳期、幼児期などまで遡って考えてみました。

私は完全母乳で育てられました。口に食べ物を溜め込んでチュッチュと吸う癖があり、いつまでも飲み込まないので、食事が遅くて周囲をイライラさせていました。

2歳上の兄との一回量の差がうまくいっていなかったのではという気がします。いつも多めに与えられていたせいか、お腹を空くという感覚があまりなかったのです。弟もいましたし、母に余裕がなかったのかもしれません。

小学校に入学後しばらくは、給食を食べきれなくて持ち帰るとか、居残りで昼休み食べるということもありました。中学年ぐらいからは盛り分けられた量を時間内に食べられるようになりました。これらが口腔機能の発達と無関係だとは考えにくいです。

幼少期の鯨岡紀子さん
幼少期の筆者。兄に合わせた食事には、食べにくいものも多数あった

噛んでいると思っていたけれど、実は噛んでいなかった。就職したぐらいからは、反対に早食いになっていました。ろくに噛まずに飲み込むパターンです。

また、幼児期から喘息、花粉症と続きましたので口呼吸でもありました。スイミングクラブに通うようになって、吸うこと吐くこと両方を意識するようになり、改善された気はしますが、季節ごとに鼻が詰まっていたのはさらに先まで続きました。これもさまざまなことに影響したと推測できます。

「姿勢が悪い」と背中に物差しを入れられたのは小学生時代です。背筋だけを伸ばすことが不可能なことは、骨盤を立てるという意識を持つようになった最近わかりました。

口腔周囲筋ケアに出会う前の鯨岡紀子さん。
口腔周囲筋ケアに出会う前の筆者。長らく慢性的な首こりに悩まされていた

社会人になり、口腔周囲筋の硬縮に気づく前から首こりが強かったので整形外科やマッサージをジプシーしていました。知ってからはそれに顔も追加。最初は痛みの緩和が目的でしたが、軽減してからは予防目的に変わっていきました。

筋肉を緩めるためにマッサージを利用したり、骨格を調整するために整体やカイロプラクティックを受けたり、身体の治癒力を賦活させるために鍼灸院に行ったりと、さまざまなアプローチを試みました。

セルフケアとして、セルフマッサージやピラティスも試しました。その結果、身体が連動していることを実感します。その一つに、口腔周囲筋が繋がっていたのです。

こうして、自分の身体が楽になってきたからこそ伝えたい、歯、舌、筋肉、唾液の重要性。セミナーを受ける前は後ろを振り返れない、下を向くのがつらい、という状況でしたが、今ではその悩みは解消されています。

SRP時の食いしばってしまう癖はまだ残っていますが、自覚できるぐらいに改善されました。歯だけでなく全身ケアをしたから、今も元気に働けていると言って過言ではないと思います。

歯科衛生士仲間には腰痛で悩んでいる人、身体の不調が原因で離職した人も少なくありません。自分の身体に気づくことは、健康意識が変わることに繋がります。

口腔周囲筋ケアは、赤ちゃんから高齢の方まで利用できるアイテムの一つです。気づきを与えられるのです。自分自身がそうであったように…

そんなことをまとめて、プレゼンを行いました。

プレゼン発表の様子
講師と受験生の前でプレゼンを行う筆者

認定試験にいらしていた3人のうちのお一人に、北川晶子さんという歯科衛生士の方がいました。プレゼンのタイトルは『和歌山希望の星』。

アナログ人間だからプレゼンは苦手だと控えめでしたが、いえいえ、口腔周囲筋ケアへの熱い思いに溢れ、さらに関西人らしい掴みもあって、最後は涙で締めるという素晴らしいものでした。

一見ほんわかチャラーッとしているようで、ものすごい勉強家。まだまだ私が知らないことまで深く学んでいる、そんな印象でした。

受験者のみなさんが、地元愛が強い方が多かったことも心に残りました。私もいつか地域のために…という思いを持っていましたから。

歯科衛生士 北川晶子さん
歯科衛生士 北川晶子さん

実技試験

プレゼン以外の課題として、実技試験がありました。

来院が想定される患者さんの状態が紙に書かれて用意されており、それをその場で引いて、口腔周囲筋を絡めた指導を行うというものでした。その上で、技術チェックを受けます。

指導内容は、他の人も聞くことができます。院内の歯科衛生士以外の指導を聞く機会というのはなかなかありませんので、みなさんのそれぞれに異なるアプローチは、非常に学びになりました。

私の患者さんは、矯正治療後の後戻りで…という設定でした。引いた瞬間、頭は真っ白。そういう方への指導経験がなかったものですから。

が、運命のいたずらでしょうか。現在、私は矯正中。矯正治療中に歯がどうなるか、また筋肉がどうなるかを日々体感しています。緩めてもらった時のスッキリ感は格別です。その時の自分に教えてあげたい。

一瞬ひるむ課題でしたが、指導というのは想定外のことが起きるのが常です。わからないから、患者さんに状況を質問していきます。その中でだんだんとペースが掴めたように思います。

さてさて、私の最大関門は手技。こちらはギリギリ合格という形で、後日チェックが必要という条件付きでした。

プレゼンと実技試験を経て手にした、口腔周囲筋ケア認定歯科衛生士の資格
プレゼンと実技試験を経て手にした、口腔周囲筋ケア認定歯科衛生士の資格

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第一期は全員が合格をいただき、晴れやかな気持ちで山梨を後にすることができました。

しかし、これはスタートライン。まだまだ始まりです。

次回からは、試験を受けてから受講したオンラインセミナーや、口腔周囲筋ケアを通しての気づき、そこからの発展について記したいと思います。

口腔周囲筋ケアセミナー 参加レポート

第1回 山梨プレゼン大会
第2回 プライベートレッスン
第3回 認定試験