全国歯科衛生士教育協議会が発表した「歯科衛生士教育に関する現状調査の結果報告」をもとに、歯科衛生士の求人状況についてまとめました。
(参照:平成28年 歯科衛生士教育に関する現状調査の結果報告-全国歯科衛生士教育協議会)
求人倍率は20.5倍
新卒歯科衛生士の求人倍率は年々上昇を続けており、平成28年度には20倍を超える結果となりました。
平成21年度と比較すると約2倍となり、調査開始以降、最も高くなっています。
厚生労働省がハローワークのデータをもとに同時期に発表した調査結果によると、有効求人倍率(社会全体の雇用動向を示す指標)は1.28倍ですので、20.5倍という数値がいかに高いかがわかります。
地区別の比較では最も求人倍率が高かったのが関東/甲信越で25.2倍、最も低い九州/沖縄地区が13.1倍でした。
中途採用における正確なデータは発表されておりません。しかし、歯科衛生士の求人約133,000件に対して新卒歯科衛生士は6,400名しか就職していないので、残りの125,000件は中途採用で補う必要があります。
全国の就業歯科衛生士の人数は123,000人なので、ほぼ同数の歯科衛生士が増えなければすべての歯科医院が充足することはありません。
さらに中途採用のみで歯科衛生士を募集している医院もあるため、新卒・中途を加えた求人の総数はもっと増えます。そのため、当面は歯科衛生士の求人倍率が大きく下がることはないでしょう。
未就業歯科衛生士の復職支援や自院の歯科助手を歯科衛生士になどの取り組みもはじまっていますが、それでも人数が足りません。
歯科医院個別の取り組みだけでは人材確保の限界がきますので、行政や歯科医師会、養成学校も含めた枠組みでの解決が必要となってくるでしょう。