マウスピース矯正のチーム医療とは? 第5回 光学印象と医院マネジメント

マウスピース矯正研修講師の穴沢有沙と申します。

第5回の今回は、先日行われた「デジタル矯正シンポジウム」のレポートと、光学印象と医院マネジメントについてお話します。

前回の記事はこちら

第1回 矯正治療に対する患者のイメージ
第2回 矯正治療のネガディブイメージを払拭するには
第3回 チーム医療の要
第4回 インビザライン治療における役割とやりがい

デジタル矯正シンポジウム

2017年11月3日、品川プリンスホテルで行われたアライン・テクノロジー・ジャパン社による「デジタル矯正シンポジウム」へ参加いたしました。

著者、シンポジウムの掲示板前にて撮影

『From analog to digital(アナログからデジタルへ)』と題した今回のシンポジウムは、口腔内スキャナの特徴に留まらず、クリニックでの活用に焦点をおいて話がありました。

当日のアジェンダと配布資料

今年の夏、ようやく日本でもiTero elementがリリースされ、わずか3ヶ月で200台弱の受注販売がされたと聞いています。

このスピード感には正直驚きました。

私が考える理由としては

  • 先代機が日本では数十台しか販売されていなかったこと
  • 他社も含めて光学印象が広まってきたこと
  • アラインテクノロジー社がiTero elementを販売開始したこと
  • それと同時にインビザライン治療でiTero elementを活用する上での様々な機能が向上したこと

などが考えられます。(先代機は日本では大信貿易による販売でした)

iTero elementを導入し、クリニックの運営がどのように変わるのか、国をまたいでクリニックの開業やマネジメントをされているアメリカの矯正歯科医 Dr.ben Burrisから魅力的な話がありました。

米国の矯正歯科医 Dr.ben Burris 他

シリコン印象 vs 光学印象

iTero elementの厚労省認可が下り、光学印象が一気に広まった今年の夏。多くの先生方とお話をする機会がありました。

「シリコン印象で採っても変わらないでしょ」
「なにが違うの?」
「そんなにメリットがある?」
「また新しいのが出るだろうし、シリコン印象で続けていく」

実際に私がインビザライン治療で介入しているクリニックでも意見は割れます。
アメリカの矯正歯科医 Dr.ben Burrisの講演の中で印象に残ったのは、「患者の“経験”を演出する」ということです。

こんな話がありました。

PVS印象は口の周りが汚れるお客様の“経験”を良くするためにスキャンをする
だれでも、いつでもスキャンする
まずは現状を知ってもらう
データを共有することで人に自慢したくなる
そして人はシェアしたくなる

iTero elementはスキャニングが3〜5分、そのデータから即時に簡単なシュミレーションを作ることが可能です。

そしてその場で患者のスマートフォンに簡単なシュミレーションを送ることができます。

まず初診で現在の自分の歯並びの状況を多角的に見てもらい、簡易シュミレーションで矯正治療後のイメージを膨らませる。

そして帰宅後スマートフォンに送られた簡単なシュミレーションを家族に見せて相談することができる。

「今日初めて行った歯医者さんで、スキャンしてもらってこんな話を聞いたよ!」とシュミレーションと共に家族に伝えられれば、矯正相談に同席できなかった家族もその臨場感を味わうことができます。

スタッフの役割

アメリカの矯正歯科医 Dr.ben Burrisはこうも言っていました。

“初診の患者ほど、クリニックの中で一番スキルのあるスタッフが対応するべきだ”

つい忙しいと、初診の患者が来院したことに気付かずバタバタと対応してしまうことはありませんか?
一番不安な初診のタイミングで、クリニックのルールも分からずうろうろしている患者を見過ごしてはいけません。

アポイントの時間の少し前にはエントランスから入ってくるだろう患者を出迎える支度をし、来院されたら「〇〇様、お待ちしておりました」と名前を呼んで歓迎する。

まずはそれだけで緊張感でいっぱいの患者は安心することでしょう。

そしてクリニックで一番スキルの高いスタッフがクリニックの中を案内します。

レントゲン室やお手洗いなど、どこになにがあってクリニックはどんなシステムで、今日はどんな流れで進めていくのか。

ひと通り説明したあと、問診票を元にお話を伺う。もちろん案内の最中にすれ違うスタッフは皆笑顔で挨拶をします。

そしてここでスタッフが口腔内スキャンを行い、そのデータを元に歯科医師から矯正治療の説明を受ける。

初診で自己紹介もされず、いきなりチェアを倒し口腔内を見られるのは恐怖でしかありません。しかもマスクをして表情も見えなければ、コミュニケーションを取る以前の問題ですよね。

矯正治療は長期に渡る治療です。

嫌になったから途中で辞める、なんてわけにはいきません。

そのためには
「このスタッフさんがいるからここで治療をしたい!」
「この先生に任せたい!」
と思っていただくことが重要です。

今回のシンポジウムに参加して、光学印象とiTero elementの可能性をみたのと同時に、医院マネジメントの重要性を強く感じました。

今までできなかった演出ができるようになり、患者の幸せのお手伝いがよりしやすくなると思います。

Dr.ben Burris(右から2番目)と著者(右)

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マウスピース矯正のチーム医療とは?

第1回 矯正治療に対する患者のイメージ
第2回 矯正治療のネガディブイメージを払拭するには
第3回 チーム医療での要
第4回 インビザライン治療における役割とやりがい
第5回 光学印象と医院マネジメント
第6回 現代のSNS影響力について