日本歯科医師会が実施している「歯科医療に関する一般生活者意識調査」。
この調査は、「歯科医療に関する国民の認知度・理解度向上」および「歯科医師や診療に対する評価・イメージの向上」を目的として、全国の15〜79歳の男女を対象に行っています。
9回目の今回は、10,000人の男女を対象に、歯の健康状態に対する意識や、新型コロナウイルス感染拡大の影響、歯科健診の考え方についてなどを調査しています。
(参照:歯科医療に関する一般生活者意識調査2022について【第2弾】-公益社団法人 日本歯科医師会)
今回発表された報告では、その調査結果の中で「歯科健診や歯の健康状態に対する意識」と「新型コロナウイルス感染拡大と歯科受診」に着目しています。
ご家族やご友人、患者さんにぜひご紹介ください!
歯に関心はあるものの、半数以上は定期健診を受けていない
一つ目の調査結果は歯科健康意識と行動実態について。
調査によると、「健康を維持する上で、歯や口の健康は欠かせない」「健康のためにできるだけ自分の歯を残したい」と考えている方が90%を超える結果に!一般の方の間で、口腔健康維持への意識が確実に高まっていることが確認できました。
一方で、実際に歯科医院で定期健診を受けている人は、全体の半数以下という結果に。しかし、国の医療政策で示されている「国民皆歯科健診」については、80%以上が肯定的に受け止めていることが明らかになりました。
健診の無料化や、職場や学校などで制度化されれば、歯科健診への受診意識がより一層高まるのではないでしょうか。
受診控えは解消傾向!でもまだ3割は歯科受診に不安を感じている
今回の調査では、歯科受診・定期健診を受けることに対して、「不安に感じている」「やや不安に感じている」と回答した方が27.7%。2020年の調査では58.1%だったことから、新型コロナウイルス感染拡大初期と比較して、不安に感じる人の割合は半分以下になっています。
また、「不安に感じている」と回答した方の割合については、かかりつけ歯科医がいる人が26.2%であるのに対し、かかりつけ歯科医がいない人は36.9%。
さらに、「不安を感じない」と回答した人の理由については、「かかりつけ歯科医を信頼しているため」がトップに!
歯科医療従事者のみなさんが、正しい知識を伝えることができている裏付けとなる結果が出ていました。
歯科健診の充実に向けた検討は「よいと思う」が8割超えと、肯定的
今回は、今後本格化する国民皆歯科健診についても調査を行いました。歯科健診が充実することに対しての印象については、年代・性別を問わず、肯定的に受け止められているようです。
さらに、歯科健診の充実に向けて、歯科健診受診意向が高まると思う方策について聞いたところ、「無料であれば(52.6%)」 がもっとも多い結果に。
その他、「どこの歯科医療機関でも受診できれば(35.0%)」、「休日に受診できれば(20.2%)」 「インターネットで申し込みができれば(15.9%)」などの意見があげられました。費用負担が少なく、アクセスしやすいことが歯科健診の受診拡大につながりそうです。
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今回の調査では、歯科受診が患者さんの不安を取り除くきっかけとなることがわかりました。また、歯科医療従事者にとっては「当たり前」の知識でも、患者さんは意外と知らない内容も明らかになっています。
このようなアンケート結果を利用することで、定期的な歯科健診の大切さをより客観的にアピールすることができると思います。
みなさんのクリニックで、患者さんとの会話のきっかけになったら嬉しいです。