STEP4では、保険治療と自費治療について詳しく説明していきます!
*この記事は2023年3月9日に更新しました
第1章 歯科医療について
STEP1 歯科医療の基礎と各スタッフの役割
STEP2 歯科医院の一日の流れとアシスタント
STEP3 予防・治療の対象
STEP4 保険治療と自費治療
「歯科のお仕事完全マニュアル」目次一覧はこちら
保険治療と自費治療の違い
歯科治療は、「保険治療」と「自費治療」の2種類に分けられます。
「保険治療」は健康保険が使えるのに対し、「自費治療」は健康保険が適用されないところが大きな違いです。
それぞれにメリット・デメリットがあり、一概にどちらが良いとはいえません。
ここからは、保険治療と自費治療の特徴や治療の例について詳しく解説します。
1.保険治療
保険治療とは
保険治療とは、患者さんが加入している健康組合などが、治療費の一部を負担してくれる治療のことを指します。子どもや高齢者は、年齢や世帯収入によって負担割合が変わりますが、成人の場合はほとんどが3割負担です。
保険治療では、治療ごとに診療報酬(しんりょうほうしゅう)、または保険診療(ほけんしんりょう)点数とよばれる「点数」が決められており、1点=10円として治療費用が計算されます。
たとえば、診療報酬が1,000点の治療を行った場合、その治療費用は10,000円になります。3割負担の保険証を持っている患者さんの場合は、患者さんが3,000円を支払い、健康組合などが7,000円を支払うということになります。
(参考:診療報酬点数について学ぼう! #1 診療報酬点数とは?)
保険治療のメリット・デメリット
保険治療のメリットは、健康保険が適用できる点です。補綴物や義歯をはじめとして幅広い種類の治療がカバーされており、患者さんは金銭的な負担が少なくこれらの治療を受けられます。
一方で、保険治療は必要最低限の内容で定められているため、使用する素材や治療方法などが限定されるデメリットがあります。
保険治療の例
① 前歯の補綴物(被せ物)
金属に白いプラスチックを貼りつけて作られており、大まかに色を指定することができます。ただし、プラスチック部分は変色しやすいため、時間が経過すると、もともとの色から変化していきます。
② 義歯(入れ歯)
保険治療の義歯は、クラスプ(金属の金具)をかける補綴物を使用することが指定されているため、笑ったときなどに金属の金具が見えることがあります。
2.自費治療
自費治療とは
自費治療とは、保険の対象にならない治療で、患者さんが治療費の全額を支払います。自由診療、保険外診療(ほけんがいしんりょう)などとよばれます。
治療費用は歯科医院ごとに決めることができ、保険治療よりも費用が高くなるのが一般的です。
自費治療は、使用する材料や歯科医師の専門性の違いなどによって、提供される治療の種類が異なります。
自費治療のメリット・デメリット
自費治療のメリットは、使用する素材や治療方法などが限定されないため、保険診療よりも患者さんの選択肢が増える点です。
一方で、健康保険が適用できないため、治療にかかる費用が高額になりやすい点はデメリットでしょう。
自費治療の例
① オールセラミック
セラミックのみで作られている補綴物です。セラミックは非金属なので、金属アレルギーの心配がありません。保険治療で作られる補綴物よりもプラークが付着しにくく、色を細かく指定して作ることができます。また、時間の経過による変色もありません。
② 義歯(入れ歯)
自費治療の義歯は、クラスプが少ないため、義歯であることがわかりにくい見た目です。
この他にも、破損しにくい金属製の義歯もあります。金属製の義歯の場合は、保険治療で作られる義歯よりも厚みが薄く、違和感が少ないといった利点があります。
③ インプラント治療
インプラント治療とは、歯を失った部分の顎の骨に、チタンでできたネジを埋めこみ、その上に人工的な歯を作りあげていく治療です。
④ 矯正治療
矯正治療とは、歯列や顎の形を整え、健康な咬み合わせや、美しい口元を作り上げていく治療です。一部、保険治療で行う場合もあります。
治療のコンサルティングを担当すると、患者さんから「保険治療」と「自費治療」の違いについて、質問を受ける機会があります。
それぞれの治療内容や特徴を理解して、自信をもって答えられるようにしましょう。
やってみよう!知識チェック
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第1章 歯科医療について
STEP1 歯科医療の基礎と各スタッフの役割
STEP2 歯科医院の一日の流れとアシスタント
STEP3 予防・治療の対象
STEP4 保険治療と自費治療
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