歯科のお仕事完全マニュアル 第12章 小児患者さんの治療 STEP2 大きなう蝕の治療

乳歯はう蝕になりやすく、一度う蝕になると早く進行してしまいます。

乳歯の治療については、永久歯に生えかわることから、ブリッジやインプラントなどが行われることはありません。しかし、乳歯の歯根の先の骨の病気は、後で生えてくる永久歯にも悪影響を与えることがあります。

STEP2では、小児患者さんの生活歯髄切断法・抜髄・感染根管治療を行う際に準備する器具や、治療の流れについて説明します。

第12章 小児患者さんの治療

STEP1 シーラント
STEP2 大きなう蝕の治療
STEP3 根管充填
STEP4 乳歯冠とクラウンループ

1.大きなう蝕の治療

生活歯髄切断法・抜髄

う蝕の細菌で汚染された歯髄を部分的にとる治療のことを、生活歯髄切断法(せいかつしずいせつだんほう)といいます。

歯髄をすべてとる治療のことを、抜髄(ばつずい)、または麻抜(まばつ)といいます。

感染根管治療

以前治療した乳歯が再度う蝕になると、歯髄を殺しながら根管をつたって、歯根の先の骨まで感染することがあります。この場合、根管内を掃除し、液体状の薬をつめる感染根管治療(かんせんこんかんちりょう)を行います。

2.準備

基本的に準備するもの

表面麻酔 + 浸潤麻酔
タービン + ポイント
コントラ + バー(ラウンド・ピーソーリーマーなど)
ファイル
ペーパーポイント あるいは 綿栓(めんせん)

必要に応じて準備するもの

根管長測定用のメーター
仮封材(かふうざい)
根管貼薬剤(こんかんちょうやくざい)
超音波スケーラー + 超音波根管洗浄チップ
根管洗浄用薬剤(こんかんせんじょうようやくざい)
小児ラバーダムセット

② 仮封材(かふうざい)には水硬性セメント(キャビトン・ハイシールなど)やベースセメントなどを使用します。

③ 根管貼薬剤(こんかんちょうやくざい)には、ビタペックスなどの水酸化カルシウム製剤ホルムクレゾール(FC)を使用します。

⑤ 根管洗浄用薬剤(こんかんせんじょうようやくざい)には、次亜塩素酸ナトリウム(じあえんそさん。ヒポクロとも)やEDTAなどを使用しますが、次亜塩素酸ナトリウムは劇薬なので、取り扱いには注意しましょう。

とくに小児患者さんは治療途中で動くことが多いため、劇薬を使用する際にはラバーダムが必要です。

3.治療の流れとアシスタント

① 麻酔を行う

感染根管治療の場合、表面麻酔や浸潤麻酔は不要なことがあります。

  • 小綿球に表面麻酔を適量塗布しておく
  • 注射を組み立てておく
  • 注射中にもれた麻酔薬をバキュームで吸う(術者による)

② う蝕を削る

  • コントラにラウンドバーをセットしておく
  • タービンにポイントをセットしておく
  • バキューム操作、ライトの調整

③ 根管内を清掃する

術者がファイル、あるいはピーソーリーマーを用いて根管の拡大を行います。

④ 仮封材でフタをする

術者が、歯の中に根管貼薬剤を入れ、仮封材でフタをします。

  • 術者の指示に合わせた、薬を用意する
  • 適量の仮封材を練和する、または充填器に盛る

⑤ 次回の予約をとる

根管充填で、次回の予約をとります。場合によっては、抜髄・生活歯髄切断法から根管充填までを一度に行うこともあります。

やってみよう!知識チェック

姉妹サイト『WHITE CROSS』では、今回学んだ内容について、理解度チェックを行うことができます。ぜひご活用ください♪

クリックして回答

第12章 小児患者さんの治療

STEP1 シーラント
STEP2 大きなう蝕の治療
STEP3 根管充填
STEP4 乳歯冠とクラウンループ