毎年少しずつ内容や点数が改定され、二年に一度、大幅な改定が行われます。
算定項目によっては、算定条件や算定できる期間が細かく決まっているため、完璧に内容を覚えることがむずかしい項目も。
この連載では、算定する機会が多い項目や、複雑な条件が必要な項目について詳しく解説していきます♪
今回は、「機械的歯面清掃」について紐解いていきます。
前回までの記事はこちら
#1 診療報酬点数とは?
#2 初診料・再診料とは?
#3 歯科疾患管理料とは?
#4 小児口腔機能管理料・口腔機能管理料とは?
#5 歯科衛生実地指導料・歯周病患者画像活用指導料とは?
#6 歯周病検査とは?
#7 口腔細菌定量検査とは?
#8 スケーリング・ルートプレーニングとは?
#9 歯周病安定期治療(SPT)とは?
#10 歯周病重症化予防治療(P重防)とは?
機械的歯面清掃とは?
機械的歯面清掃とは、歯科疾患に罹患している患者さんに対して、ハンドピース類と研磨用ペーストを用いて行うプラーク除去のことを指し、2ヶ月に1回、72点を算定することができます。
ただし、歯科診療特別対応加算または初診時歯科診療導入加算を算定した患者さんや、妊娠中、糖尿病の患者さんについては、月1回の算定が可能です。
*「歯科診療特別対応加算」と「初診時歯科診療導入加算」については、前回の記事で説明しています。こちらをご覧ください!
(参照:診療報酬点数について学ぼう! #2 初診料・再診料とは?)
また、妊娠中または糖尿病の患者さんの場合は、以下の対応が必要です。
カルテと診療報酬明細書に「妊娠中」であることを記載する
① 担当医からの情報提供の内容と、担当医の保険医療機関名をカルテに記載するか、提供文書の写しを添付する
② 診療報酬明細書に「糖尿病」であることを記載する
なお、歯科衛生士が機械的歯面清掃を行った場合は、主治医は歯科衛生士の氏名をカルテに記載する必要があるため、忘れずに行いましょう。
機械的歯面清掃と同時に算定できない項目
機械的歯面清掃と同時に算定できない項目は、以下の通りです。
- 歯周病安定期治療(SPT)
- 歯周病重症化予防治療(P重防)
- エナメル質初期う蝕管理加算
※ かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所のみ
① と ② については、治療開始日前に実施した機械的歯面清掃は対象になりませんが、治療開始後からは算定できなくなるため注意が必要です。
③ の算定内容には、必要に応じて「プラークコントロール」「機械的歯面清掃」「フッ化物洗口の指導」も包括されていることから、同時に算定できないとされています。
(参照:診療報酬点数について学ぼう! #3 歯科疾患管理料とは?)
機械的歯面清掃の点数は年々上昇中!
機械的歯面清掃は、2012年度の診療報酬改定時では現在よりも12点低い「60点」という算定点数でした。
しかし、2016年度の診療報酬改定時には68点、2020年度には70点、今年度からは72点と、少しずつ点数が上昇している項目です。
歯科衛生士業務の重要性が認められてきていることが、診療報酬点数を通しても伝わってきますね♪
歯科医院内で機械的歯面清掃を行うだけでは、歯周病やう蝕の予防はできません。しかし、ツルツルになった歯面の感覚や、口腔内の爽快感を目当てに歯科受診する患者さんは少なくないはず。
機械的歯面清掃もモチベーションの一つと考えて、より良い処置を提供できるよう心がけたいものです。
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カルテやレセプトは、普段何気なく目に触れるものですが、その内容まで詳しく理解するには時間が必要です。
私たち歯科医療従事者が普段行っている治療について、“この処置は何点なんだろう?”という疑問をもつことや、“患者さんはこれだけの治療費をかけて通ってくれているんだ。”という実感を得ることは大切だと思います。
ぜひこの連載で、普段算定している診療報酬点数についてマスターしましょう♪
次回は、「フッ化物歯面塗布処置」についてです。お楽しみに!
参考文献:歯科診療報酬点数表-厚生労働省
診療報酬点数について学ぼう!
#1 診療報酬点数とは?
#2 初診料・再診料とは?
#3 歯科疾患管理料とは?
#4 小児口腔機能管理料・口腔機能管理料とは?
#5 歯科衛生実地指導料・歯周病患者画像活用指導料とは?
#6 歯周病検査とは?
#7 口腔細菌定量検査とは?
#8 スケーリング・ルートプレーニングとは?
#9 歯周病安定期治療(SPT)とは?
#10 歯周病重症化予防治療(P重防)とは?
#11 機械的歯面清掃とは?