歯科衛生士免許を取得している方の中には、「企業で働く」という道を選んだ方々がいます。
令和2年度衛生行政報告例の概況によると、『事業所』に就業する歯科衛生士は全体の0.2%と、非常に希少な存在です。
(参考:全体の1%未満、企業で働く歯科衛生士について解説します!)
dStyleでは、今までに学んだ知識や経験を活かし、企業で活躍する歯科衛生士の方にインタビューを行いました。
歯科医院とはまた違った環境で働く魅力について、語っていただきます。
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前回に引き続き、ウエルテック株式会社に勤める吉川知沙さんにお話を伺いました。
(参照:企業で働く歯科衛生士 vol.5 吉川知沙さん|ウエルテック株式会社(前編))
歯科衛生士歴8年目の吉川さんは、歯科衛生士学校を卒業したのち、一般歯科での勤務を経て、ウエルテック株式会社に就職。
現在は中学生のお子さんを育てながら、大阪歯科大学大学院に通い、修士号の取得を目指されています。
今回は、企業で働く魅力や仕事をする上でこだわっていること、いま取り組んでいることについてお聞きしました♪
ウエルテック株式会社で働く魅力
私が考える魅力は、全部で3つあります!
まずは、さまざまな業務に携わることができること。
ウエルテックでは、資料作成のようなデスクワークもあれば、製品説明会やデンタルショーのセミナーのように表に立つ仕事もありますし、製品開発に関して意見を伝えることもあります。
現在はコロナ禍で開催できずにいますが、講師の先生を招いてセミナー企画や運営を行うこともありました。
先々のスケジュールを把握して行動するのは大変ですが、さまざまな業務に携わることができるのは、ウエルテックの社員が少数であるがゆえのメリットだと思っています。
次に、間接的に多くの患者さんの口腔衛生状態向上に関われることです。
私たちのセミナーや説明を聞いた歯科衛生士の方が、“患者さんに指導したら状態が良くなったよ”といったご報告をしてくださる、その瞬間がとても嬉しいです。
歯科医院に勤務しているときの、“自分の担当患者さんの状態が良くなって嬉しい!”といった気持ちとはまた違った嬉しさがあります。
最後は、さまざまな職種の方と接する機会が増えたことです。
歯科医院に勤務する歯科医師や歯科衛生士の方だけでなく、大学の教授の先生方や歯科衛生士会の会員の方々、病院や施設に勤務する歯科衛生士、看護師、学校の先生など。
企業で働いていると、挙げるときりがないくらい多くの職種の方と接する機会があります。
職種や分野が違うと、自分にはない視点をもつ方が多いので、日々新しい発見がありますね。
仕事をする上でこだわっていること
歯科衛生士としての立場を忘れないことです。
予防製品は歯科医師だけでなく、歯科衛生士にも推奨してもらえないと、患者さんに製品の良さが伝わりません。
ウエルテックでは、洗口液であるコンクールF発売当初から、「歯科とともに」というスローガンを掲げてきました。
なので、現場の歯科衛生士であればどんな資料が欲しいか、どんな情報があれば患者さんにおすすめしやすいかなど、現場目線で物事を考えることを大切にしています。
今までの人生の中で、やっておいてよかったと思うこと
今の仕事に直結していることで挙げるのであれば、中学校から専門学校までの学生時代に、学校行事に全力で取り組んでいたことです。
もともとイベント好きな性格もあって、合唱コンクールでは指揮者、文化祭では実行委員を務め、体育祭では一つでも多くの競技に出る、といった活発な学生生活を送ってきました。
そんな生活をしていると、自然と人前に出ることに対する抵抗がなくなり、イベント運営時の急なトラブルにも対処できるようになりました。
いかに効率的に、かつ綿密にスケジュールを組むかを、自然と考えられるようになっている部分は、いまの仕事に活かせている気がしますね。
おすすめの製品
コンクール製品の中では、「クリーニングジェル<ソフト>」が、私のいちばんの推しです!
(参照:着色はセルフケアで除去できる?!クリーニングジェル<ソフト>を1週間使ってみた!)
クリーニングジェル<PMTC>とは姉妹品になる製品なのですが、味の良さはもちろんのこと、歯を傷つけずに着色を取る、そのパフォーマンス力が非常に高いです。
ウエルテックに入社してから知った製品なのですが、入社して3年、毎日使用するほどに大好きな製品となりました!
いま取り組んでいること
2020年から、大阪歯科大学大学院に通いはじめ、大学院では先進口腔保健学を専攻しています。
もともと歯磨剤が好きなこともあって、歯磨剤に含まれる殺菌成分「イソプロピルメチルフェノール(IPMP)」について研究しています。
もちろん論文を読むことや、先生の講義を聞くことも勉強になりますが、自分で実験してみると、“じゃあこれはどうなの?あの場合は?”というように、疑問に思う点が次々とでてきて楽しいなと感じます。
今年で大学院を卒業するので、卒業後はあらためて英語を勉強しなおしたいと思っています。
いまの自分には高い目標ですが、できれば英語論文をさらっと読めるくらいになりたいですね!
企業で働きたい!と思う歯科衛生士へメッセージを
口腔の健康が全身の健康にも繋がるといわれているいま、臨床現場にでていなくても患者さんの健康に関われるのが、企業で働く歯科衛生士だと思います。
私自身、“4年制大学を卒業しないと企業には就職できないのではないか”と学生時代は心配していましたが、そんなことはありません。
歯科衛生士として働いた経験が最大限に活かせる仕事です。もし少しでも企業で働くことに興味がある方は諦めずに挑戦してみてほしいです。
あと、まだまだ企業で働く歯科衛生士の数は少ないので、学会や展示会などでご一緒できた際には、ぜひ仲良くしてください!