こんにちは、歯科助手の松田由紀子です。
第2回では、患者さん目線でみる「待合室」の整理整頓・収納をご紹介いたしました。
前回まではこちら
今回は医院の顔であり、アポイントやお金の管理、保険証などの個人情報も扱う、「受付」周辺のお片づけのポイントをお伝えします。
受付は医院の司令塔でもある重要な場所ですので、クリニックコンシェルジュとしての経験をまじえて解説していきます。
(参照:わたしのDA LIFE #04 松田由紀子さん「歯科医院は成長し続けられる場所」)
医院の印象を左右する「受付」
受付業務は、専任スタッフさんだけがおこなう医院さんもありますが、歯科衛生士さんや歯科助手さんが兼任している医院さんも多いかと思います。
受付は、患者さんと最初と最後に顔を合わせてお話をする場所です。
皆さんは、「初頭効果」と「親近効果」という言葉をご存じでしょうか?
「初頭効果」
最初に与えられた情報が、長い間強く記憶に残るという心理効果「親近効果」
最後に与えられた情報が、物事の決定に繋がりやすいという心理効果
受付業務を担当される方は、このふたつの効果をうまく使いましょう!
患者さんが来院された時は、声のトーンやペース・言葉づかいに気を配りながら、笑顔で対応。医院の第一印象がアップすること間違いなしです。
そして、お会計時には、その日の治療についての補足や今後の治療の流れなど(医学的判断は除く)をお伝えしてみましょう。
患者さんのちょっとした疑問や不安を取り除き、安心してお帰りいただくことで、次回に繋げることができる…というわけです。
受付は「重要な場所」、そして医院の印象を左右する「大切な役割」であることを頭に入れて、受付周辺のお片づけをはじめましょう!
#03 受付のお片づけ
皆さんの医院の受付周辺は、いつも整理整頓・収納されていますか?
常に作業をする受付カウンター内側のデスク、引き出し内はいかがでしょうか?
必要な書類はすぐに出せますか?
患者さん側から見える場所は整えられていますか?
デスク上や周辺が乱雑だと、アポイントのミス、保険証・診察券や金銭授受のミス、書類やお薬の渡し忘れなどが起こりやすくなってしまいます。
もちろん人間ですから間違いは誰にでもありますが、整理整頓や収納をしっかりとすることで、それらを減らす・なくすことができ、スムーズに気持ちよく仕事をすることができます。
「整理」によって、不要な物を取り除くことができたら(#01 プロローグ参照)、次は、整頓と収納です。
整理収納の5つの鉄則
整理収納には、次の5つの鉄則があります。
- 適正量の決定
- 動作・動線にかなった収納
- 使用頻度別収納
- グルーピングの効果
- 定位置管理
当院で実際に行っている受付周辺のお片づけの例をあげて、ひとつずつ解説していきます。
1.適正量の決定
まずは、必要なものの量を決めましょう。適正量を知れば、それ以上物が増えないため、無駄が減ります。
このように、商品を箱から出してクリアケースに入れ替えることにより、ものの“見える化”を行います。それによって、使用期限や在庫数を把握することができます。
2.動作・動線にかなった収納
「動作」はアクションや動きのことをいい、「動線」は人が行動する道筋のことです。
動作が少なく、動線が短いほど、効率が良い収納といえます。
また、一般的に収納は、中(目線から腰の高さ)>下(しゃがむ)>上(脚立が必要な高さ)の順で、使いやすい高さになっています。
ただし、使いやすい=収納が楽な高さなので、散らかりやすい場所でもあるということに注意が必要です。
当院では、保管期間のある技工指示書や請求書などの、必要だけど使用頻度の低いものは、カルテ庫の棚の上にまとめて収納しています。
3.使用頻度別収納
つづいて、院内のものを使用頻度別に分けましょう。
- 使用頻度1…毎日使うもの
- 使用頻度2…週2~3日使うもの
- 使用頻度3…週1日使うもの
- 使用頻度4…月1回使うもの
- 使用頻度5…年1回程度使うもの
そして、使用頻度1~3のうち、よく使用するものから優先的に、取りやすい場所に収納します。
当院では、来院中の方のカルテは受付デスク背後の棚、そうでない方のカルテはカルテ庫の棚に戻しています。当たり前のことですが、来院中の方のカルテを探す時間が短縮できます。
4.グルーピング効果
紹介状とその封筒、お薬と薬袋など、複数で1つの仕事をするものを「グループ」とみなし、まとめて収納します。
当院の受付では、患者さんに処方するお薬・薬袋・薬情をグルーピングして、デスクのお薬ゾーンにまとめています。そのため、投薬がスムーズに行えます。
5.定位置管理
2人以上の人が使用するものは、あらかじめ定位置を決め、誰でもわかるようにラベリングします。
また、この「定位置」は、永久ではありません。
「入った時からこうだから」と使いづらいままにするのではなく、誰もが使いやすいように工夫、更新することも必要です。
当院では、誰でもすぐに必要な書類が出せるように、このようにファイルにラベルを貼って管理しています。
この5つの鉄則は、組み合わせることで相乗効果が生まれます。
1+1=2以上の使いやすい収納は、スタッフさんのアイディア次第です!
未処理書類は“一時置き場”に立てて収納
日々届く郵便物やFAX、不要なDMに混じって、熟読しなくてはならないもの、記入して返送しなくてはならないものがありますよね。
しかし、「あとで…」とデスクに積み重ねたり、仕舞い込んでしまうと、片づかないばかりか忘れてしまうことがあります。
そんな時は、目に留まる場所に未処理書類の一時置き場を作ります。
その際、クリアファイルやクリップなどで分けて、新しい書類は手前(左)に置き、奥(右)の物から処理をするなどといったルールを決めると、時系列に処理ができて、見落としもありません。
当院では、受付デスク背後の棚、来院中の方のカルテ棚の端に、そのスペースを設けています。
1分でできる、きれい見せ!
未開封口や本の背表紙側といったものの「向き」と、色や高さ、幅などの「並べ方」を揃えるだけも、整って見えます。
たった1分あればできますので、ぜひお試しください。
ちょっと待って!勝手に捨てないで!
歯科医院で取り扱う書類の中には、保管期間が決められている書類があります。
主な書類の保存期間を知っておき、定期的に整理整頓をしましょう。
- カルテ:5年
- 歯科技工指示書:2年
- 税務上必要な書類(スタッフさんも目にするもの)
歯科材料や備品の注文書、請求書、領収書、日計表:7年
患者さんが増えたらカルテや書類が増えるのも当然。だからといってそのままにしていては、置き場所が足りなくなってしまいます。
また、保存期間が過ぎたからといって、簡単に捨てていいというわけではありません。
カルテやレントゲンフィルムなど、処分の際に個人情報・機密情報を保護しなければならない書類があることも覚えておきましょう。
次回は、整理収納5つの鉄則を使った、診療室のお片づけとお掃除についてお話しをいたします。