歯科のお仕事完全マニュアル 第6章 予防・治療の知識 STEP1 予防

第6章では、予防の重要性や歯科医院で行われる予防について具体的に説明し、フッ化物塗布TBI(ティービーアイ)PMTC(ピーエムティーシー)についても、写真やイラストを交えて説明します。

歯科医療の予防についての理解を深めていきましょう。

*この記事は2023年8月30日に更新しました

1.予防の重要性

人が歯を失う多くの原因は、う蝕歯周病です。

う蝕や歯周病は、患者さんのブラッシング状況や食生活などの生活習慣により左右されるため、生活習慣病としての側面が強く、生活習慣病は予防することが大切といわれています。

患者さんにとっても、不快な治療や高額な治療の結果として人工の歯が入ることより、予防をしっかりと行い、生まれもった歯で一生ご飯を食べられることの方が、価値が高いはずです。

2.歯科医院の役割

患者さんが予防の重要性について理解できるように働きかけることは、歯科医院の一つの役割です。

その結果として、患者さん自身が、以下のことを身につけるように導く必要があります。

  • 正しいブラッシングや食生活などの生活習慣
  • 予防のために歯科医院に通う習慣を

歯科スタッフに求められるのは、歯科医院の方針を理解し、チームの一員として患者さんへの働きかけを行うことです。

3.歯科医院で行われる予防

歯科医院で行われる予防には、次のようなものがあります。

  • う蝕や歯周病にどの程度かかりやすいかをチェックする
  • 歯の質を強化する
  • ブラッシング指導を行う
  • 口腔内を徹底的に掃除する

フッ化物塗布

歯の質を強化し、う蝕を予防するために、フッ化物入りの薬を歯に塗ります。

フッ化物塗布を行うと、エナメル質の一部が「フロオロアパタイト」や「フッ化ハイドロキシアパタイト」という物質に変化し、歯が溶けにくくなります。

TBI

TBI(ティービーアイ)はTooth Brushing Instructionの略で、患者さんに歯磨きの方法を教える「ブラッシング指導」のことを指します。

う蝕や歯周病の原因は、デンタルプラーク(歯垢:歯の汚れ)の中にいる細菌です。そのため、歯科疾患の予防には、患者さんに正しいブラッシングを継続して行ってもらうことが重要です。このことをプラークコントロールといいます。

TBIでは、プラークコントロールが向上するまで繰り返し指導を行います。

プラークコントロールの状態を定期的にチェックし、指導することで、患者さんのモチベーションが保たれます。

患者さんにTBIを行う様子

PMTC

PMTC(ピーエムティーシー)は、歯科衛生士による患者さんの口腔内の清掃のことを指します。タバコやコーヒーといった嗜好物による外来性の着色を除去し、歯面を研磨することで、汚れをつきにくくします。

PMTCには、研磨用のペーストを用いて行う方法と、歯面に専用のパウダーを吹きかけて行う方法があります。

見た目が大きく変わるため、患者さんにも口腔内の変化が伝わりやすい治療といえるでしょう。

PMTC 術前(左)と術後(右)

姉妹サイト『WHITE CROSS』では、今回学んだ内容について、理解度チェックを行うことができます。ぜひご活用ください♪

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第6章 予防・治療の知識

STEP1 予防
STEP2 投薬
STEP3 歯周病の治療
STEP4 知覚過敏の治療
STEP5 小さなう蝕の治療
STEP6 歯の神経をとる治療
STEP7 かぶせ物を作る治療
STEP8 感染根管の治療
STEP9 TeCを作る治療
STEP10 ブリッジを作る治療
STEP11 義歯を作る治療
STEP12 義歯の調整
STEP13 歯を抜く治療
STEP14 小児患者さんの治療
STEP15 その他の治療