少しのコツで上達!歯科助手のためのコミュニケーション 第1回 受付のコミュニケーション

「患者さんやスタッフと、どのようにコミュニケーションをとったらいいんだろう…」とお悩みではありませんか?

歯科助手は、歯科医師や歯科衛生士、患者さんの間に立って話す機会が多い存在ですが、どのような立ち居振る舞いをすれば良いのか、悩む機会も多いでしょう。

しかし、少しだけコツを意識すれば、患者さんが安心して通える歯科医院だと思ってもらえたり、スタッフ間の人間関係が良好な環境を作れたりします。

立ち居振る舞いについて悩んでいる歯科助手のために、コミュニケーションのコツを分けて解説していくので、ぜひ参考にしてくださいね。

第1回は、歯科医院におけるコミュニケーションの事前準備ともなる考え方や基本的な内容と、受付のコミュニケーションについてです。

医療機関で標榜される“きめこまか医療”

ある医療機関では、患者さん対応の心得を表す“きめこまか医療”という標語を使用しているといいます。
(参照:日本医師協会「医療従事者のための医療安全対策マニュアル」

きめこまか医療とは、患者さん対応の際に意識したいポイントの頭文字をとったものです。

  • き…気配り
  • め…目配り
  • こ…心配り
  • ま…真心を込めて
  • か…考える

上記の内容を見てもわかるように、歯科医院における患者さん対応で大切なのは、相手に対する心遣いです。

きめこまか医療を意識しながら、患者さんの心に寄り添うことを心がけましょう。

患者さんに寄り添った対応は、安心感を与えて信頼関係を築いていく上でも役立ちます。

心遣いが重要!歯科医院の受付で大切なこと

歯科医院で働く上で、もっともコミュニケーションをとる機会が多いのは受付ですよね。

次は、歯科医院の受付で大切なことについてお話していきます。

歯科医院の受付は、通常の企業や窓口で求められる業務とは似て非なるものです。

受付業務と聞くと、一般的には以下をイメージするでしょう。

  • 笑顔で元気よくハキハキと対応する
  • 丁寧で美しい所作を身につける
  • マナーを重視したお辞儀の角度や手の位置などの作法を徹底する
  • マニュアル通りの対応を行う

もちろん、美しい所作や作法などの知識があれば、歯科医院の受付で大いに活かすことができます。

しかし、前項でも触れたとおり、歯科医院の受付で何より大切なのは、相手に対する心遣いです。

歯科医院には、不安な気持ちを抱えて来院される患者さんが多く、中にはひどい痛みを訴える患者さんもいらっしゃいます。

マニュアル通りの対応や元気すぎる振る舞いは、不安やひどい痛みを抱えた患者さんにふさわしくありません。

歯科医院の受付では、不安な気持ちを持っている患者さんに安心感を与えられるような、落ち着いたやわらかな対応が求められます。

患者さんに対して不安や威圧感を与えない、穏やかな対応を心がけましょう。

また、医療の現場で働いている以上、身だしなみには最善の注意が必要です。清潔感が出るように、制服の丈やシワ、爪の長さなど、細部にまで気をつけてくださいね。

心遣い

受付のコミュニケーションで活かしたい傾聴スキル

前項までで、患者さんとのコミュニケーションで大切なことは、寄り添うことや相手に対する心遣いだとお伝えしてきました。

歯科医院の受付においては、傾聴がとても役立ちます。

傾聴とは「積極的傾聴(Active Listening)」とも呼ばれ、心理学者でカウンセリング大家のカール・ロジャーズが提唱した方法。

傾聴を行う場合、以下の3つが必要だといわれています。

  • 共感的理解:相手の立場になって話を共感しながら聴く
  • 無条件の肯定的関心:善悪や好き嫌いで評価せず、肯定的な関心を持って話を聴く
  • 自己一致:わからないことは聞き返して真意を把握できるように話を聴く

具体的には、患者さんの話やしぐさ、表情などから、どのような気持ちなのかを想像するのを意識しましょう。

また、患者さんの立場になって話を聞くことも重要です。

患者さんの症状や気になるところなどを引き出すためにも、表情に注意して、患者さんの話にしっかりと耳を傾けましょう。

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歯科医院のコミュニケーションは、患者さんに寄り添う姿勢がとても大切です。

忙しくても、患者さん一人ひとりの話に耳を傾けて、どのような気持ちでいるのかを想像しながら対応してみましょう。