明日からの診療を10倍楽しむコーチングスキル Case3

こんにちは、歯科衛生士の石田恵子です。

歯科医院でのコミュニケーション・患者さんとの関係はいかがでしょうか?信頼は築けていますか?

私は、試行錯誤を経たのち、歯科医療従事者に必須のスキルとして「コーチング」に答えを見出しました。

「コーチング」とは、もともとスポーツ界やビジネス界で取り入れられていた手法で、対話を通して相手の目標達成を支援することをいいます。

歯科衛生士としてスタートしたものの、スキルや人間関係などさまざまな悩みを持ち、これからの歯科衛生士人生に迷いをもっている方がたくさんいらっしゃいます。

そんな方々のさまざまな悩みを、コーチングスキルを用いて紐解いていきます。会話の中からさまざまな希望やヒントを見つけ出し、明日からの診療を楽しんでいただければ嬉しいです。

明日からの診療を10倍楽しむコーチングスキル

Case3.歯科衛生士歴 32年 Nさん

Nさんは、32年間ほとんどずっと現役で働いている歯科衛生士さん。

現在は勤続年数14年目となる歯科医院で、ご主人のお母さまの介護をしながら、フルタイムで働いています。

新人歯科衛生士さんに成長してもらいたいし、長く勤めてもらいたい…

こんなお悩みをかかえる歯科衛生士さんをコーチングしていきます。

コーチング開始

Nさん(以下、敬称略):新人の歯科衛生士さんが入社したけれど、これから成長してもらうにはどのようにすれば良いか、ということに悩んでます。

また、いままでも何人か入れ替わりがあったので、なるべく医院に定着してほしいという思いがあります。長く勤められるような環境をどのように作り上げていくのかについても悩んでいます。

石田さん(以下、敬称略):それでは、長く勤務してもらうためには、なにがいちばん大切だと思っていますか

N:うーん。それがわからなくて…採用担当の方は「人間関係」がいちばんと言いますよね。また、イマドキの方だと「福利厚生」「お給料」「やりがい」なのかな、と思うのですが、ギモンです…

石田:それって新人の方に聞いてみたことってあるんですか?

N:ないです。面接などで聞いてみると、みなさん「人間関係」って答えます。でも面接って、めいっぱい着飾ってくる場だと思うのです。そんな場で「なにをいちばん重視するのか」と聞いても、それが本音なのかはわからない。

その時に「ステップアップしていきたい」「上達していきたい」と言っていても、実際入社した新人さんに勉強会をすすめると、「はーい」と軽く受け流されてしまったり。

じゃあ練習しようか、と誘っても、「あれもこれもできないですよ!」と言って、辞めていっちゃったり。

そういうことが続いたので、あまりプレッシャーになりそうなことはしないように気をつけているところもあります。

石田:つらい立場ですね。それではそのギモンって、誰が答えをもっているんですか?

N:本人ですよね。でも、どういう風に聞いたらいいんでしょう?本音をうまく引き出せる質問の仕方がわからないんです。

石田:これは提案ですが、ロールプレイングをしてみましょうか。私がNさん役をやるので、Nさんはその新人さんの役をやってみていただけませんか?

N:わかりました。

石田:「Aさん。私考えていることがあるんだけど。あなたを歯科衛生士として成長させてあげたい。それと長く働いてほしいと思っているんだけど、どのようにしたら長く働いてもらえるかな?」

N:「そうですね…以前の職場では治療のアシスタントばっかりさせられていたのがいやだったので、歯科衛生士としての仕事をしたいです。それができるような勉強がしたいし、テクニックをあげたいと思っています。」

石田:「じゃあ患者さんを担当してもらったりとか、そのための勉強をサポートすればいいということかな?」

N:「はい。それから、私はすごく自信がないので、わからないことは色々質問したいし、教えてもらえるような時間をとってもらえると嬉しいです。」

石田:ありがとうございます。いま、相手の立場に立って受け答えしていただきましたが、どんな感じがしましたか?

N:自分のしてほしいことを聞いてもらっているので、自分の本当の気持ちを言いやすかったです。また、「助けるためにはどうしたらいい?」と聞かれているので、すごく答えやすかったです。

いつもの私の聞き方では、「どうしたい?」「今日勉強するけど、やってみる?」といった、こちらに主導権があるような聞き方だったと思います。

石田:そしたら、次は逆のロールプレイングをしてみましょうか?私が新人さんをやります。NさんはNさんをやってください。

N:はい、お願いします。

(Nさんロールプレイ中)

石田:ありがとうございます。そのやりとりを、実際の新人さんで実践してほしいんです。実践できたらまた、教えてください!

N:わかりました。やってみます。

石田恵子さん

Nさんの振り返り〜コーチングを受けて〜

N:新人さんの教育係になったときに、まず「今回は失敗したくない!」という思いが強くありました。そのためにはどういう対応、どういう声かけをすればいいんだろう?というのが大きな悩みでした。

今回のコーチングで、もっと彼女の話を自然に聞いてあげて、それを汲みながら彼女のペースで進めていってあげたら彼女自身も働きやすくなるのでは、と気づくことができ、すごくほっとしました

ついつい口が出てしまうところがあるので、今後は一方的に押しつけるだけでなく、彼女たちから意見を聞いて、考えてもらいながら進めていくようにしたいです。

Nさんの変化〜コーチング一ヶ月後〜

N:これまでは心配や不安な気持ちが先にきてしまい、つい口出ししてしまっていました。そのため、まずは自分が相手を信じて、任せてみることにしました。きっと疑問な点は質問してくれると。

また、彼女に大切にしていることを伝えたかったため、言葉や態度で表現するようにしました!

一緒に仕事をしてくれてとても嬉しいこと、頼りにしていることを伝えてみたり、ハグしてみたりと、親密なコミュニケーションをとることができるようになりました。さらに、なにかひとつの出来事に対してどのように思うか、率直にたずねることもできています。

先日、彼女が患者様からはじめて担当指名があり、心から嬉しく涙が出ました。

まとめ

歳の差!これはみんなに共通する悩みだと思います。

私が新人の頃は、「先輩がもっと分かりやすく教えてくれたらいいのに」とか、「もっと褒めてくれたらいいのに」など不平不満を持っていました。先輩と呼ばれるようになってからも、「なんで後輩は分かってくれないんだ」「なんで教えた通りにやってくれないんだ」と、悩んでばかりでした。

Nさんのように、後輩のために問題を解決しようとする先輩を持つ歯科衛生士さんは幸せだし、これからの歯科衛生士人生も明るいものとなるだろうと思います。またNさんのスキルもさらにアップして、歯科医院になくてはならない人材だと院長が思われていることは、間違いないだろうなと感じました。

これからもNさんのうしろ姿を見ながら育つスタッフさんたちは、さらにスキルアップされることでしょう。

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