わたしのDHスタイル #45 コスタケルバクサ幸恵さん『海外での経験を通して、一流のプレイングマネージャーに』

歯科衛生士は社会的価値の高い大切な職業であり、この社会になくてはならない存在です。

dStyleでは、今まさに臨床の現場ではたらいている方々にスポットライトを当て、等身大の歯科衛生士ライフを語っていただきました。

このインタビューが、歯科業界で輝くきっかけになれば嬉しいです。

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今回は、歯科衛生士歴12年目のコスタケルバクサ幸恵さんにお話を伺いました。

コスタケルバクサさんは歯科助手として9年間働いたのち、ワーキングホリデーを使ってカナダで一年生活。現地の歯科医院でも歯科助手として勤務していました。

帰国後は夜間の歯科衛生士学校似通い、歯科衛生士免許を取得。国際結婚をきっかけにドイツに引っ越し、ドイツの整形外科にも勤務したとのこと。

現在は、ご主人と一緒に再び日本に帰国し、埼玉県の医療法人社団 にこにこすまいるたきの歯科に歯科衛生士のチーフとして勤務しています。

歯科衛生士 コスタケルバクサ幸恵さん
歯科衛生士 コスタケルバクサ幸恵さん

カナダの歯科医院勤務を経て感じたこと

カナダで勤務していたのは、もう20年以上前になりますが、とにかくカルチャーショックの連続でした!

当時の日本ではまだまだ一般的でなかったオフィスホワイトニングが頻繁に行われていて、“本当に歯が白くなった〜!”と最初はすごく驚きましたね。

他にも、レジン充填を一ヶ所行うだけで3〜4万円かかることや、給与が小切手で支払われることなど、日本とはまったく違う文化に驚きの連続でした。

そして何よりも、LGBTやエイズの患者さんが多いことにいちばん驚きました。

当時の日本は、LGBTの方々に対してまだまだ寛容でなかったり、理解されなかったりする時代でしたが、カナダではLGBTのカップルの患者さんとたくさん関わる機会がありました。

また、日本では遭遇したことがなかったエイズの患者さんが来院する機会も多かったので、感染管理に対する意識や、性に対する価値観が大きく変わった一年でしたね。

患者さんに治療の説明を行うコスタケルバクサさん
患者さんに治療の説明を行うコスタケルバクサさん

国を挙げて感染管理に力を入れているドイツ

結婚後に行ったドイツでは、歯科医院ではなく、整形外科で働いていました。

そこでは職業訓練生として、ギブスを巻いたり、コロナ前でしたがワクチンを打ったりと、正社員と同じ仕事ができたんですよね。他には外科処置のアシスタントなども行っていました。

そしてドイツでいちばん驚いたのは、国を挙げて感染管理に力を入れているというところ。もうレベルが違います!

医療機関には定期的に国から監査が入り、その監査で3ヶ月以上同じ滅菌バッグで保管している器具が見つかったら即営業停止になります。

そのため、3ヶ月ごとにスタッフ全員で医院にあるすべての滅菌器具を確認し、3ヶ月以上保管しているものは再滅菌するという厳重な管理を行っていました。

ピンセット一本にしても、先端の溝に汚れが残っていないか、私たち職業訓練生が一本ずつチェックし、チーフの最終チェックでOKがでて、ようやく滅菌器に入れられます。

薬液などの計量や浸漬時間も、すべて説明書通り!ドイツの感染管理のレベルの高さには圧倒されました。

ドイツの職場で一緒に勤務していたスタッフと
ドイツの職場で一緒に勤務していたスタッフと

現在の職場で働くことになったきっかけ

帰国後は夫の会社の近くに引っ越し、新しい職場を探すことになりました。

私が勤務先の歯科医院を探す上で条件にしていたことは、次の3つです。

  1. 自宅から自転車で通える
  2. 18時で診療時間が終了する
  3. エアフローとインビザラインを診療している

③ のエアフローについては、もともとSDAエキスパートDHの資格をもっており、製品の素晴らしさを知っていたので、次の職場でも絶対に使いたい!と思っていました。

また、アライナー矯正についても興味があり、今後力を入れて勉強したいと思っていた分野だったので、条件の一つに入れました。

そんな歯科医院を探していたら願えば叶うで、条件にぴったりのたきの歯科を見つけたんです。

二回の面接と一回の勤務体験を通して、医院の雰囲気や清潔感、スタッフの働き方、院長の人柄が自分に合っていると感じ、入職を決めました。

院長の山本達也先生とコスタケルバクサさん
院長の山本達也先生とコスタケルバクサさん

チーフとして働くようになるまで

前任のチーフが結婚で退職したため、入職一年目でチーフに抜擢されました

昨年末から当院では「人事評価制度」が整備され、年功序列の考え方がなくなりました。以前とは違う評価制度に戸惑うスタッフもいましたが、何度も話し合う時間を設けてもらったので、新しい制度に対する理解を得られることができました。

人事評価制度では、専門的な能力だけでなく、医院全体で取り組む課題や、個人の得意・不得意な分野、患者対応などを評価項目に設定しています。そうすることで、医院のミッションやビジョンに沿ったスタッフ育成ができるので、とても良い制度だと感じます。

まずは自己評価を行い、その後院長先生からの採点結果と照らし合わせ、今後の目標を立てていきます。

いまの制度になってからは、自分の課題を正しく指摘してもらえ、それが改善されれば給与にも反映されるので、自身のスキルアップとやりがいにも繋がっています!

日々スキルアップを目指して診療にあたっています!
日々スキルアップを目指して診療にあたっています!

普段の業務内容について

臨床の業務としては、担当患者さんのリコールやインビザラインの対応、矯正治療、診療のアシスタントを主に行っています。それに加え、受付や滅菌・消毒などの業務も行います。

マネジメント業務としては、院内の業務の役割分担を行ったり、在庫管理や企画の立ち上げを行ったりすることが多いです。

他のスタッフにはそれぞれ、物販の販売を促進する人、診療室の司令塔となる人、赤ちゃん歯科を担当する人など、さまざまな役割を担ってもらうことで、それぞれが医院の中心メンバーであることを自覚してもらいたいと思っています。

マネジメントを行う上では、何か問題が起きた時に「真の原因を究明すること」と、何に対しても「自分の意思で決定すること」、「継続的な革新」の3つを意識しながら取り組んでいます。

スタッフ一人ひとりが大切な医院の中心メンバーです
スタッフ一人ひとりが大切な医院の中心メンバーです

お気に入りのグッズ

FIGSのスクラブです。アメリカのブランドなんですが、動きやすくてスタイリッシュでカラーも豊富です!

着るとテンションが上がるので、個人で何着か購入して毎日着用しています。

FIGSのスクラブは着ているだけでテンションが上がります!FIGSのスクラブは着ているだけでテンションが上がります!
FIGSのスクラブは着ているだけでテンションが上がります!

仕事をする上でこだわっていること

患者さんやその家族にまで寄り添い、「にこにこすまいる」の生活をしてもらうことです。

当院では、「にこにこすまいるの毎日を」ということを歯科医院のミッションとして掲げています。そのため私自身も、患者さんが笑顔で帰ってくれる診療を提供したいと思いながら、日々関わっています。

また、当院には、発達に凸凹があるグレーゾーンのお子さんもたくさん通院しています。

私の夫も発達障害の一つであるADHD(注意欠陥・多動症)のため、さまざまなことを工夫しながら日々生活しているんですよね。

そういった専門的なアプローチを学ぶために「パラリンビクスインストラクター」という資格も取りました。

この資格は、発達に凸凹があるお子さんと保護者が一緒に運動し、筋肉をつけるためのトレーナーの資格です。ここでの学びによって、それぞれの患者さんの特徴や特性、こだわりについて理解する力がつきました

日々の臨床でも多くのお子さんに笑顔で来院し、ハイタッチして帰ってもらえるようになったので、本当に取得して良かったと思える資格です。

ドイツ人の旦那さんとコスタケルバクサさん
ドイツ人の旦那さんとコスタケルバクサさん

現在取り組んでいること

最近では、当院のスタッフである保育士と一緒に食育やMFTについて学び、赤ちゃん歯科を導入しはじめました。一から学ぶ大変さはありますが、スタッフと協力しながらいろいろを試行錯誤するのは楽しいです。

今後は、栄養士や保育士のスタッフも増やして、地域の活性化ができれば良いなと思っています。

これからも当院のビジョン「にこにこすまいる」に向かって、スタッフと一緒に歩んでいきたいです。

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