歯科医院運営に携わっていると、新人スタッフ育成のむずかしさを痛感する方も多いのではないでしょうか?
今回は、ホワイトニング専門歯科医院を運営しつつ、全国170以上の歯科医院での研修や、5つの歯科衛生士学校での講義を担当している歯科医師の末光妙子先生に、近頃の新人育成について聞いてみました。
末光妙子先生にインタビュー
医療法人財団匡仁会 理事長・歯科医師の末光妙子です。
ホワイトニング専門の歯科医院を2011年から運営しており、ミュゼホワイトニングという全国170以上の歯科医院からなるホワイトニンググループの研修なども担当しております。
ミュゼホワイトニング運営事務局に、とある歯科衛生士学校の方から「産学連携した、よりニーズに合致した教育カリキュラムを実施したい」と問い合わせがあったことがきっかけです。
学生自身はホワイトニングに興味はあるものの、実際に学校で学ぶ内容だけでは施術したり、患者に提案したりするのはむずかしいと感じているとのことでした。
そういった背景から、現在では接客や接遇はもちろん、ホワイトニングに関する基礎知識やカウンセリング方法についても伝えるようになりました。
最終的にはホワイトニングの相互実習を行い、実際に歯を白くするところまでの講義と実習を担当しています。
また、そういった学校様ではカリキュラムの紹介の一環として、オープンキャンパスでホワイトニングの実習を実施することもあります。
いちばん感じているのは「学校」と「歯科医院」の乖離です。
学校教育に携わるまでは、新卒衛生士や臨床研修生の教育、接し方、コミュニケーションに悩んでいる主任歯科衛生士や院長が非常に多いと感じていました。
しかし、学校教育に携わってみるとその逆で、現場に対する恐怖や違和感をもっている学生や新卒歯科衛生士の多さに驚きました。
学生や新卒歯科衛生士が恐怖や違和感を感じる理由の大半が「学校で習ったことと違う!」という点です。
もちろん使う材料が違えば手順などが変わることは当たり前ですし、初めて実際に行う仕事に対して緊張するということは学生自身もわかっています。
そういったことではなく、学校と歯科医院のいちばんの乖離は「コンプライアンス」の部分なんです。
具体的な例を挙げると、「歯科助手がバキュームをもっていた」「歯科衛生士がレントゲンのボタンを押していた」「口腔内に使うもの(タービンなど)なのに滅菌頻度が低い」など。
最近の学生たちはコンプライアンス意識が高く、そこを守らないことに対して嫌悪感を示します。また、これは歯科衛生士だけでなく、世間一般にも同様の傾向があります。
いまは誰もが簡単に録音・録画ができる時代です。スタッフだけでなく、患者さん自身も高いコンプライアンス意識をもっており、「いつでもどこでも記録されている」くらいに考えるべきなのです。
上記の例で心当たりのある方は、いま一度しっかり確認することをおすすめします。
常に見られていると考えるとなんだか緊張しますね。主任歯科衛生士や院長が「いつものこと」と思っている仕事でも、コンプライアンス意識が高い新卒歯科衛生士や臨床研修生は「大変なこと」だと捉えている…。
認識や意識の違いから溝が生じることは、容易に想像できますね。
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後編では、最近の新人育成の傾向をさらに深掘りしていきます。お楽しみに!
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