歯科衛生士のみなさんは、普段どのようなOHIを行っていますか?
口腔内全体を染め出して、磨けていないところを細かく手取り足取り指導する。こういった指導は、もしかしたら時代遅れかもしれません!
WHITE CROSS Liveセミナーでは9月20日、大阪大学大学院歯学研究科予防歯科学教室教授の天野敦雄先生に、最新のOHI事情について語っていただきました。
歯科衛生士から圧倒的な人気を誇る天野先生ですが、こちらのセミナー受講料はなんと無料!
今回は、このとっても貴重なセミナーの内容をダイジェストでお伝えしたいと思います。
天野先生が伝えたい4つの最新事情とは?
今回のセミナーで天野先生がお伝えする内容は、大きく分けて以下の4つ。
- なぜ歯を磨かなければいけないの?
- ブラッシングの方法と製品
- OHIのバイオロジー
- OHIのコミュニケーション
まずはじめに天野先生は、ブラッシングを行う理由について解説しました。
う蝕病原菌と歯周病原菌それぞれが高病原化する期間やメカニズムを詳しく説明し、昭和と令和の常識がいかに違うか、異なるポイントをいくつも紹介しました。
「う蝕病原菌はなぜ酸を産生するのか」「レッドコンプレックスはなぜ出血があると病原性が高まるのか」など、基礎知識ではあるものの正しく理解できているか不安…という方にはぜひ見ていただきたい内容です!
天野先生おすすめの歯ブラシは○○ブラシ!
では実際にう蝕や歯周病を予防するためには、どんな歯ブラシが効果的なのでしょうか?
天野先生は、患者さんが歯科医療従事者に求めているアドバイスはどのようなものかということを説明した上で、歯ブラシのヘッドや毛の種類について、それぞれの特徴を詳しく解説しました。
歯ブラシの寿命や歯肉退縮のリスク、バス法の正しい目的など、歯科衛生士としてはかならず知っておきたい知識が満載でした。
次に天野先生は、歯ブラシは電動か手用どちらが良いのかについて、2つの論文をもとに解説。
その上で、世界における電動歯ブラシの普及率や、第1〜3世代の電動歯ブラシの特徴、メリットなどを説明しました。
また、患者さんにすすめる歯ブラシについては、自分でも一度使ってみる必要があると天野先生はいいます。
一方で、手用歯ブラシは簡単に手に入れられても、効果的な電動歯ブラシは1本1万円以上するため、何種類も自分でそろえて試すことはむずかしいということにも言及。
電動歯ブラシを無料で体感できるデモなどは、歯科医療従事者に積極的に活用してもらいたいと伝えました。
完璧主義な指導は時代遅れ!バイオフィルムの病原性に合わせたOHIとは?
続いて天野先生は、昭和と令和のOHIにおける違いについて解説。
プラークを100%除去することを目標とするOHIや、患者さん一人ひとりのスキルやモチベーションに合わせたOHIは時代遅れであるといい、これからは「患者さんのバイオフィルムの病原性に合わせたOHI」が必要であると伝えました。
そして、バイオフィルムの病原性を簡単に見分ける方法を紹介し、低病原性・高病原性のバイオフィルムをもつ患者さんの症例をそれぞれ供覧しました。
さらに天野先生は、OHIにおけるコミュニケーションについて解説。
前提として、セルフケアをしっかりと行える患者さんを育てることが、歯科衛生士およびOHIの目標であると説明し、「教える」よりも「支える」指導、すなわち「ティーチング」ではなく「コーチング」を行う必要があるといいました。
天野先生はティーチングとコーチングの違いや、コーチングの具体的な方法を伝えた上で、「決して一方的に喋らない」ことが大切だと伝えました。
他にも患者さんの特性に合わせたアプローチ方法や、患者さんがセルフケアに積極的に取り組んでもらうためのポイント、健口を守る仕組みなど、コミュニケーションのことだけでなく、歯科医療従事者としてもつべき考え方についても紹介。
1時間30分でたくさんのことが学べる、とっても“得した”気分になるセミナーでした!
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OHIについては、日々それぞれの歯科衛生士が「この患者さんにベストな伝え方は何かな?」と模索しながら行っているかと思います。
もちろん良い結果がでる患者さんもいれば、あまり良い結果がでない患者さんもいますよね。
しかし、今回のセミナーで天野先生がお話ししていた「主治医は患者さん」という考えを、私たち歯科衛生士がもつようになれば、過度に落ち込んだり悩んだりする必要はなくなるのかもしれません。
患者さんだけでなく、歯科衛生士にとっても負担が少ないOHIを提供するのが、令和の時代らしい予防歯科だと感じました。
今回のセミナーは、10月21日(金)まで何度でも振り返り視聴が可能です。この貴重な無料セミナーをぜひお見逃しなく!
※ セミナーのお申し込みにはWHITE CROSSまたはデンタルスタイル(dStyle)のアカウントが必要です
※ 今回のセミナーは1ヶ月間の録画視聴期間があります