前回は、歯科助手がコミュニケーションをとっていくうえで必要な、基礎を紹介しました。
第2回の今回は、患者さんとのコミュニケーションに焦点を絞って解説します。
記事後半では注意すべきことについても紹介するので、ぜひ最後までご覧くださいね。
前回の記事はこちら
少しのコツで上達!歯科助手のためのコミュニケーション 第1回 受付のコミュニケーション
患者さんとのコミュニケーションで意識したいこと
歯科医院で患者さんとコミュニケーションをとる際に意識したいのは、患者さんの気持ちを想像することです。
歯科医院に来院する患者さんは、歯がしみたり痛みがあったりと、不安な気持ちを抱えて来院する場合がほとんど。
まずは、患者さんの不安を取り除くことが大切です。
患者さんが今どのような気持ちでいるのかを想像して寄り添うことが、患者さんの求める対応の第一歩へとつながります。
「患者さんの気持ちを想像するのは難しい…」と思う方は、第1回で紹介した傾聴が役立つので、ぜひ取り入れてみてくださいね。
(参照:少しのコツで上達!歯科助手のためのコミュニケーション 第1回 受付のコミュニケーション)
患者さんにストレスを感じさせずにコミュニケーションがとれると、信頼関係を構築できますよ。
おうむ返しを活用しよう
患者さんとコミュニケーションをとるときは、“おうむ返し”を意識しましょう。
おうむ返しとは、“バックトラッキング”とも呼ばれ、患者さんが言ったことを自分も同じように繰り返すコミュニケーション方法です。
たとえば、「冷たいお茶を飲むと、左上の歯がしみます」と患者さんが言った場合には、「冷たいお茶を飲むと、左上の歯がしみるんですね」と返します。
言葉を繰り返すことで、患者さんは自分の話を親身に聞いてもらえていると思い、満足感と安心感を与えることができます。
特に患者さんが、「痛かった」「辛かった」などの感情を口にした場合には、気持ちに共感して繰り返しましょう。
患者さんが何度も繰り返し伝えている部分は、特に気になっているところなので、しっかり取り上げましょうね。
ペーシングを活用しよう
患者さんとコミュニケーションをとるとき、“ペーシング”を意識しましょう。
ペーシングとは、患者さんの声の調子やテンション、動作などにペースを合わせて会話を行うことです。
会話をする際、相手との共通点が多いと、人間は無意識のうちに安心感を感じるといわれています。
たとえば、患者さんがゆっくり話しているのに早口でコミュニケーションをとってしまうと、患者さんは「自分の気持ちをしっかり聞いてもらえない」「邪険にされた」など、マイナスなイメージを持ってしまいます。
治療が長引いて歯科医院内がバタバタしてしまうと、自分では気付かないうちに、ついついこちらのペースを押し付けてしまいがちなので気をつけましょう。
患者さんとすべてのペースを合わせるのは、難しいかもしれませんが、会話のスピードや声のトーンなど、まずはできることからはじめてみましょう。
患者さんへのコミュニケーションで注意すべきこと
前項までで、患者さんとコミュニケーションをとる際は、患者さんの気持ちを想像して寄り添い、おうむ返しやペーシングを活用するのが大切だとお話ししてきました。
患者さんに寄り添う気持ちでコミュニケーションをとっていても、私たちが無意識のうちにしてしまうことがあります。
それは、患者さんの言葉を言い直してしまうこと。
患者さんが「奥歯の歯と歯の間に汚れが入って取りにくいんですよね」と話したとき、「大臼歯の歯間にプラークが入って取りにくいんですね」と返してしまっていませんか?
スタッフ間で会話をするときは、具体的な方がわかりやすいので「大臼歯」や「プラーク」、「歯間」などの専門用語を使う機会が多いですよね。
しかしながら、歯科に密接に関わりがない患者さんにとっては、専門用語を知る機会は少ないです。
たとえ患者さんと同じ意味の言葉をペーシングやおうむ返ししていても、上記のような返し方だと、言い正し否定されたような気持ちになってしまいます。
専門用語の羅列は患者さんにとってわかりづらくもあるので、患者さんの言葉に合わせて繰り返すようにしましょう。
少しの気遣いが、患者さんとの信頼関係のアップにつながりますよ。
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歯科医院で患者さんとコミュニケーションをとる際は、患者さんのことを想像するのが大切です。
おうむ返しやペーシングなどは、手軽にはじめられて信頼感を得られるので、今日からでもぜひチャレンジしてみてくださいね。
少しのコツで上達!歯科助手のためのコミュニケーション
第1回 受付のコミュニケーション
第2回 患者さんとのコミュニケーション