下顎前歯叢生部の着色をカンタン!キレイ!に除去する方法とは?

みなさんは毎日どんな器具を使ってPMTCを行っていますか?

PMTCのオーソドックスな方法としては、コントラアングルハンドピースにロビンソンブラシやラバーカップをつけて行う方法があります。最近ではエアフロー®︎のようなパウダーを使って行う歯科医院も増えているかと思います。

歯科衛生士が日々スケーリングやPMTCを行う中で、着色除去が困難とされる部位といえば、下顎前歯の叢生部。とくに歯間部に入り込んでしまった着色はなかなか取れませんよね。

パウダーを用いれば簡単に除去できるものもありますが、機器が導入されていない歯科医院もまだまだ多くあり、導入されていても医院に1台しかなければ自分が使いたい時に使えないこともあります。

今回は、多くの歯科医院がすでにもっている器具や材料を使って行える、下顎前歯叢生部の着色を簡単に除去する方法についてお伝えします♪

下顎前歯叢生部の着色をカンタン!キレイ!に除去する方法

前歯部が着色しやすいのは○○○のせい?

下顎前歯部は、着色や歯石が沈着しやすい部位であるため、日頃のメインテナンスにおいてもプロフェッショナルケアでアプローチすることが多い部位です。

一般的に、着色の原因としては、喫煙の習慣やコーヒー、紅茶、ワインなどの着色しやすい嗜好品の摂取によるものが大半を占めます。

しかし前歯部においては、口呼吸が原因で着色しやすくなるという特徴があるのです。

口呼吸が原因で着色しやすくなる

マスク生活が当たり前になった昨今、とくに目立つようになったのが前歯唇側部の着色

マスクにより鼻と口が覆われることで呼吸しづらいと感じるようになると、今まで鼻呼吸していた方でも口呼吸になりやすくなってしまいます。

口呼吸をすると口腔内が乾燥するため、細菌が繁殖しやすくなるだけでなく、着色も沈着しやすくなります。その時、とくに乾燥しやすいのが外気の通り道である前歯というわけです。

舌・口蓋側にはあまり着色が沈着していないのに、唇側には着色がみられる場合や、舌・口蓋側に沈着している着色と、タイプの違った着色が唇側にみられる場合は、口呼吸をしている可能性が高いと考えられます。

着色した原因の究明を行うことで、今後の着色を防ぐヒントが見つかることもあります。前歯唇側部に着色がみられた際は、嗜好品の摂取だけでなく、口呼吸についても問診してみてくださいね♪

口呼吸が増えた原因の一つはマスク

着色除去に準備するものは全部で4つ!

下顎前歯叢生部の着色を除去するために必要な器具や材料は、以下の4つです。

  1. エアスケーラー用ハンドピース
  2. エアブラシ(SUSブラシ、ソニックブラシ)
  3. エアブラシ用のコネクト
  4. コンクールクリーニングジェル<PMTC>

準備物

① 〜 ③ については、カボ、ナカニシ、ヨシダなどから販売されており、メーカーは問いません。

今回 ④ については、多くの歯科医院で使用されているペーストを挙げています。
(参照:現役歯科衛生士の使用率8割超えのPMTCペースト クリーニングジェルを徹底解剖!

クリーニングジェル<PMTC>は他のペーストと違って、着色を削り取って落とすのではなく、着色に吸着することで汚れを落とす効果があります。歯へのダメージを最小限に抑えるためにもおすすめのペーストです。

② を接続した ③ を ① に装着し、バットにクリーニングジェル<PMTC>のペーストを出したら準備完了です!

クリーニングジェル<PMTC>をバット上に適量出す
クリーニングジェル<PMTC>をバット上に適量出す

着色除去を行う上で、かならず覚えておきたいステップとは?

エアブラシを使った着色除去でポイントとなるのは、「注水のON/OFF」と「空回し」の二つです。

ブラシの乾燥による摩擦熱の発生を防ぐため、着色除去を行う前に、エアブラシが接続されたハンドピースを装着した状態で1秒空回しします。この時注水はONにしてください。

まずはじめに注水ONの状態で1秒空回しを行う
まずはじめに注水ONの状態で1秒空回しを行う

エアブラシ全体に水がなじんだ状態になったら、ブラシの先にペーストをつけます。

エアブラシに水がなじんだ状態でペーストをとる
エアブラシに水がなじんだ状態でペーストをとる

着色除去を行う際は、タービンの注水をOFFにし、着色部位にブラシをあてて除去していきます。

エアブラシはロビンソンブラシよりもコンパクトなため、叢生部にも簡単に入り込ませることができますよ♪

一方で注水OFFの状態が長時間続くと、ブラシが乾燥し、ブラシと歯面の間には摩擦熱が生じてしまいます。

ブラシが乾燥すると着色が落ちにくくなるだけでなく、患者さんによっては温度変化を熱いと感じる方もいるため、ブラシが乾燥しきる前に注水して水をなじませましょう

エアブラシが乾燥しきる前に注水することを忘れずに!
エアブラシが乾燥しきる前に注水することを忘れずに!

また、ブラシの隙間にペーストが残留すると、ブラシが目詰まりを起こして使えなくなることがあります。

エアブラシで着色除去を行った後は、注水ONにして5秒以上空回しすることをおすすめします。

正しいメインテナンスを行って、器具を長持ちさせられるように努めましょう。

***

今回は、エアブラシとクリーニングジェル<PMTC>を用いた着色除去の方法についてお伝えしました。

エアブラシは注水ONにすればプラークが、OFFにしてペーストをつければ着色が除去できるため、私はこの方法を知ってから、メインテナンスの時間をグッと短縮できるようになりました!

今までやったことがない方は、ぜひ試してみてくださいね♪

クリーニングジェル<PMTC>の詳細はこちら
クリーニングジェル<PMTC>の詳細はこちら