歯科医師ってどんな仕事?【2020年版】

「医療系」の仕事はたくさんありますが、もっとも身近なところでいえば、病院で働いている医師や看護師、歯科医院で働いている歯科医師がイメージしやすいのではないでしょうか。

この記事では、「歯科医師」という職業について、詳しく紹介していきますね。

LINEで相談するLINEで相談する

[目次]

1.歯医者ってどんなイメージ?
2.歯科医師の仕事内容は?
3.歯科医師に求められる新しい役割
4.歯科医師になるためにはどうすればいいの?
5.歯学部の費用はどのくらい?
6.歯学部のカリキュラム
7.歯科医師国家試験
8.歯科医師臨床研修
9.歯科医師のお給料
10.専門医になるには
11.歯科医師としてのウデを磨くには?

1.歯医者ってどんなイメージ?

みなさんは歯医者さんに行ったことはありますか?歯医者さんってどんなイメージでしょうか?

むし歯を治したり、歯を抜いたり…なんだか痛そうなことをしている印象を持たれている方も多いのではないでしょうか。もしかすると、歯医者にはあまり行きたくないという方も多いかもしれません。

そんな苦手意識を持たれてしまいがちな歯医者さんですが、歯医者さんの仕事はむし歯の治療や抜歯だけではありません。むしろそれは仕事内容のごく一部です。

実際は、みなさんがお口の中のトラブルに悩むことなく、素敵な笑顔になれるよう、さまざまな角度からお口の健康をサポートするのが歯科医師の役割です。

1.歯医者ってどんなイメージ?

2.歯科医師の仕事内容は?

では、歯科医師の仕事とは具体的にどんなものでしょうか?

まず大前提として、歯科医師の業務、義務に関しては、歯科医師法に定められています。現行の歯科医師法は、歯科三法(歯科医師法、歯科衛生士法、歯科技工士法)のひとつであり、1948年に施行、交付されたものです。

歯科医師法の第1条では、歯科医師の任務として次のように定義されています。

歯科医師は、歯科医療及び保健指導を掌ることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする
(歯科医師法より抜粋)

そのため歯科医師の業務は、むし歯や歯周病の治療、また入れ歯や詰め物などの製作と装着といった歯の治療の他、保健指導や健康管理を行うことも含まれます。

さらに歯並びの矯正、抜歯やインプラントなどの外科的治療や、口腔領域の良性・悪性腫瘍の治療も行います。

法律上、医師も抜歯をしたりむし歯を削ったりすることはできますが、むし歯を削った後に詰め物をすることはできません。

なぜなら、充填や補綴物の装着といった、咬合(噛み合わせ)に関わる行為は、失われた機能を代わりのもので補うという、歯科医師のみに許されている医療行為だからです。

また、歯科医師は、歯科治療に付随する行為であれば、全身麻酔や呼吸管理を行うことや、死亡診断書を書くこともできます。

3.歯科医師に求められる新しい役割

そして現在、世の中の変わりゆくニーズに応えるため、歯科医師に求められる新しい役割も増えています。

まず、近年では歯の治療以前にそもそもむし歯や歯周病にならないよう、人々の歯の健康を守り管理する、予防歯科に取り組むことが重要視されています。

予防歯科とは、むし歯や歯周病のない状態であっても、定期的に歯科を受診してもらい、歯科医師や歯科衛生士がお口の状態をチェックし、お口の健康を保つために必要な処置を行うことです。

具体的には、一人ひとりにあった歯磨き指導、歯垢(プラーク)や歯石の除去、フッ素塗布などを行います。

このような歯科医師、歯科衛生士によるプロフェッショナルケアと、毎日の歯磨きやデンタルフロスの使用といったセルフケアとを一緒に行うことで、生涯を通して、より多くの歯をより健康な状態で維持することができます。

予防歯科によって、赤ちゃんからお年寄りになるまで、一生しっかりと噛める歯で、毎日の食事を美味しく味わって元気に長生きすることができます。

次に、病院や介護施設などにおいて、高齢者や要介護者の方に行う「口腔ケア」という仕事があります。

口腔ケアには、歯ブラシやその他の清掃補助具(スポンジブラシ、歯間ブラシなど)を用いて口腔内をきれいにする「清掃を中心とするケア」と、舌体操などの口腔機能訓練や唾液腺、口腔粘膜のマッサージを行う「機能訓練を中心とするケア」の2種類があります。
(参照:e-ヘルスネット 要介護高齢者の口腔ケア-厚生労働省

口腔ケアによって、口腔内の乾燥や誤嚥性肺炎、さらに老化や障害による口腔機能の低下を予防することができます。

また病院歯科では、周術期における口腔ケアも盛んに行われています。

これは手術を受ける患者に対し、手術の前後に歯科医師が口腔内を管理することによって、周術期におけるさまざまな合併症を予防することができるというものです。

たとえば、著しく動揺している歯に対しては、術前に抜歯もしくは保護のためのマウスピース作製を行うことで、手術で挿管する際の歯の脱落や、それによって起こる食道や気管内への迷入を防ぐことができます。

また術前から口腔内を清潔に保つことで、口腔内細菌が誤って肺に入ることで引き起こされる術後の誤嚥性肺炎や、創部感染、口内炎、口腔乾燥などのリスクを大幅に下げることができます。

歯科医師による口腔ケアで手術後の感染リスクを減らすことは、医師による患者さんへの治療をより効果的なものにし、結果的に入院期間を短縮することができます。
(参考:うみねこ通信 いざ手術!の前に、どうして歯医者に受診なの?-青森労災病院

このように、全身の治療に歯科が介入することは、患者さんと医師双方にとって大きなメリットであり、今後も医科歯科連携において歯科が重要な役割を担うことは、間違いありません。

なお、退院後の口腔ケアは地域の歯科医院が担うケースが多いため、今後高齢者や有病者がますます増えるであろう日本社会において、口腔ケアは病院歯科だけでなくすべての歯科医師にとって、大切な仕事になるでしょう。

さらに、この超高齢社会において、通院困難な高齢者や要介護者の自宅や施設に、歯科医師や歯科衛生士が自ら訪問し、口腔ケアから歯科治療、入れ歯の作製、口腔機能のリハビリテーションを行う、訪問歯科診療も年々ニーズが高まっています。

訪問歯科診療は、誤嚥性肺炎の予防や摂食嚥下機能低下の早期発見、対応を可能にします。

そして終末期においても、できる限り口から食べて栄養を摂取できるよう支援し、本人の生きる力を最大限引き出すサポートをします。
(参考:e-ヘルスネット 訪問歯科診療-厚生労働省

このように、歯科医師は、一般的にイメージされやすい街中の歯科医院での仕事だけではなく、さまざまな分野の仕事に携わることができる、可能性と将来性を秘めた職業であるといえます。

3.歯科医師に求められる新しい役割

4.歯科医師になるためにはどうすればいいの?

では実際に歯科医師になるにはどうすればよいのでしょうか?

まずは6年制の歯学部がある大学に入学することが、歯科医師としてのキャリアを踏み出すための第一歩です。

2020年現在、国立11校、公立1校、私立17校、合計29校の大学に歯学部が存在しています。
(参照:歯科医師とは-日本歯科医師会

そして、大学によって入学試験の内容、カリキュラム、6年間の学費、校風など千差万別です。歯学部を目指す方は、まず興味のある大学について資料請求を行い、色々と調べてみると良いでしょう。

国公立大学歯学部の入学試験は、一般入試(センター試験、前期試験、後期試験)、AO入試、推薦入試、編入試験などがあります。前期試験について、センター試験では5教科7科目が課され、二次試験では英語と数学、理科2科目が課される場合がほとんどのようです。

また二次試験の方が配点比率が高い大学が多く、多くの大学で面接も行われます。後期試験については、センター試験の配点比率が高い大学が多く、二次試験は面接、小論文と英語もしくは総合問題などが課されることが多いようです。

次に、私立大学の歯学部入試は、国公立大学以上に学校によってさまざまな入試を行っています。そのため、国公立大学に比べて受験できる機会が多い大学も存在します。

志望する大学によって、また受験する年度によって、入学試験の内容や配点、形式などが大きく変わります。

そのため入学試験の内容も含めた、志望校についての綿密な情報収集を行うことは欠かせません。

入学試験の傾向分析と十分な対策を行い、歯学部合格と歯科医師になるための切符をつかみ取りましょう。

5.歯学部の費用はどのくらい?

さて、ここまで歯学部の入学試験について述べましたが、入学後の6年間でかかる学費についても説明しましょう。

歯学部入学から卒業までにかかる学費は、国公立と私立で大きく異なります。6年間の授業料で比較すると、国公立大学は約350万円、私立大学は約2,000~3,000万円とされています。

これ以外にも入学金や教科書代、実習で使用する材料、器具の費用、また大学によっては施設維持費や教育充実費などもかかるため、6年間の学費の合計は、この金額よりさらに大きくなるでしょう。

私立大学歯学部の学費は決して安くはありませんが、学費負担軽減のために特待生制度や奨学金制度を設けている大学がほとんどです。

これらの制度を利用した進学も検討しながら、受験する大学について幅広い選択肢を持っておくと良いかもしれません。

6.歯学部のカリキュラム

歯学部に入学したら、社会に貢献できる歯科医師になるべく6年間の教育を受けます。と言っても初めから歯科医学教育を受けるわけではありません。

良い歯科医師になるためには、歯科の知識や技術を習得する以前に、一人の社会人として高度な教養と豊かな人間性を身につける必要があります。

そのため、大学1、2年生では一般教養科目、外国語科目、保健体育科目、基礎教育科目などを学びます。そして、大学2年生から5年生頃にかけて、歯科医学専門科目を学ぶようになります。

なお、大学によっては、1、2年生の時に教養科目を学ぶキャンパスと、それ以外の歯科医学専門科目を学ぶキャンパスが異なることがあります。

さて、歯科医学専門科目と一口に言っても内容は多岐にわたり、基礎系科目と臨床系科目の大きく2つに分けられます。

基礎系科目では解剖学、組織学、生化学、生理学、病理学、薬理学などを学び、医学部と同様に、口腔だけでなく全身についての知識を深めます。

臨床系科目では、歯内療法学、歯周療法学、保存修復学、歯科補綴学、口腔外科学、歯科矯正学、小児歯科学、歯科放射線学、歯科麻酔学などの歯学の専門性に沿った科目を主に学びます。

この基礎系科目と臨床系科目は、それぞれ講義だけでなく、実習も行われます。数多くある実習の中でも、人体の解剖学実習は、医学生と歯学生のみに許された、大変貴重で意義深い経験になることは特筆すべき点でしょう。

解剖学実習は、医学生・歯学生の教育のために、一般の方々からのご厚意で、無報酬にてご提供いただいたご遺体を解剖する実習です。

そして、大切なご遺体にメスを入れることで人体の構造や仕組みを学ばせていただく、歯科医師になる者として、非常に大きな使命を背負った実習です。

解剖学実習を経験することで、歯科医師というのは、口腔内だけでなく全身的な健康に貢献しなければならないと、改めて実感と覚悟が湧いてくるでしょう。

さて、歯科医学専門科目では、関連医学として内科学、外科学、耳鼻咽喉科学、小児科学などの医学部の科目も学びます。またその他にも、PBL(Problem Based Learning)という問題志向型学習や、病院見学、医療面接などのコミュニケーション実習など、大学によって様々なカリキュラムが用意されています。

このように歯学生は、たくさんの講義と実習をこなし、各科目の試験にすべて合格し、確実に進級しなくてはなりません。

無事5年生まで進級すると、今度はCBT(Computer Based Testing)というコンピューターを用いた多肢選択試験と、OSCE(Objective Structured Clinical Examination)という診療における技能や態度を評価する実技試験を受験します。
(参照:東京歯科大学 カリキュラムマップの科目一覧-東京歯科大学

これらに合格した後、自分の在籍する大学の病院において、実際の歯科診療や患者に携わる臨床実習に参加することができます。

また、この臨床実習における歯学部生の在り方について、2020年5月に厚生労働省より、歯学生による歯科医行為を促進する旨が発表されました。
(参照:Student Dentistの公的化により歯学生による歯科医行為促進へ 厚生労働省-WHITE CROSS

現在、臨床実習における指導医の適切な指導・監督下で行う歯学生の歯科医行為は、実質的には違法性がないと解釈されています。

しかしながら、患者さんからの同意を得にくいことなどの理由で、歯学部における臨床実習の多くは見学が中心となり、歯科治療の手技については、模型実習に代替されている場合がほとんどです。

そこで、厚生労働省が歯学生による歯科医行為を法的に担保し、診療参加型の臨床実習を促進させ、卒前教育をより質の高い歯科医師育成のために充実させることを目指すようです。

このことは、歯科診療の現場において、臨床実習中の歯学生が果たす役割は今より大きくなり、また周囲から一層期待される存在になることを意味します。

歯学生は学生という肩書きに甘んじず、条件つきとはいえ臨床実習では歯科医師らしい立ち居振る舞いが求められることを肝に銘じ、学生時代から研鑽していくことが求められるでしょう。

約1年間の臨床実習が終わったら、これまで学んできた総まとめとして、基礎系科目から臨床系科目まで歯科医学専門科目の卒業試験を受けることになります。

これらすべての卒業試験に合格した後に、大学からようやく歯科医師国家試験を受験することが正式に認められます。

6.歯学部のカリキュラム

7.歯科医師国家試験

歯科医師になるには、大学の卒業試験にすべてパスし、最後に歯科医師国家試験に合格する必要があります。

2020年2月に行われた第113回歯科医師国家試験では2,107名が合格し、全体の合格率は65.6%でした。

2014年実施の第107回歯科医師国家試験以降、合格率は63~65%前後で推移しています。
(参照:第113回(2020年) 歯科医師国家試験詳細-WHITE CROSS

医師国家試験の合格率が毎年90%前後であることと比較すると、合格率は低く、合格することは決して容易でないことが分かります。

歯科医師国家試験 合格率の経年比較(引用:第113回(2020年) 歯科医師国家試験詳細 | 新卒では東京医科歯科大、岩手医科大、東京歯科大、朝日大が合格率95%越え!)
歯科医師国家試験 合格率の経年比較(引用:WHITE CROSS)

また、新卒(=はじめて国試を受ける人)の合格率は79.3%、既卒の合格率は43.1%であり、受験回数が増えるに連れて合格率が減少するようです。

なお、国公立大学の平均合格率は78.6%、私立大学の平均合格率は61.7%との結果が出ています。

歯科医師国家試験は、午前が9時45分から12時まで、午後は13時45分から16時までの各2時間15分の試験が2日間にわたり実施されます。

また試験地は、北海道、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、大阪府、広島県および福岡県の8都道府県となります。そのため、自分の在籍する大学がこれらの都道府県にない場合は、厚生労働省から指定された試験地に移動して受験することになります。

歯科医師国家試験の勉強に使ってきた大量の参考書を持って県外に移動し、集中力を切らすことなく、泊まりこみで2日間の試験を乗り越えるには、十分な体力と精神力が求められます。国試勉強中から強い身体とメンタルを保つことを心がけると良いでしょう。

さて、歯科医師国家試験では必修問題80問、一般問題180問、臨床実地問題100問がまんべんなく問われ、合計360問が出題されます。これらの問題は同時に、必修問題、領域A(総論)、領域B(各論Ⅰ~Ⅲ)、領域C(各論Ⅳ~Ⅵ)の4つのうちいずれかにカテゴライズされています。

そして必修問題と領域A~Cの各々について合格基準点が定められ、それぞれの合格基準点をクリアできたかどうかで合否が決まります。

必修問題の合格基準点が総点数の80%以上であることは毎年変わりませんが、領域A~Cは相対評価になるため年度によって合格基準点が違います。歯科医師国家試験に合格するためには、大学在学中から基礎、臨床問わず勉強することはもちろん、近年の傾向と対策を分析し、しっかりと準備して臨むことが必要不可欠です。

また歯科医師国家試験対策予備校によって、多くの有用な参考書やWeb配信講座が提供され、年に複数回模擬試験も実施されています。

自らの弱点とその克服に必要な教材を見極め、うまく利用し、自分の実力を把握しながら効果的に勉強を進めることが、合格のカギとなるでしょう。

めでたく歯科医師国家試験に合格したら、住所地の保健所で免許申請を行います。免許申請を行ってから約1ヶ月で登録済み証明書が届き、約2ヶ月で歯科医師免許証が届きます。

これにより、厚生労働省の有資格者名簿に登録されたこととなり、歯科医師としての業務を行うことが可能になります。

なお、歯科医師免許証は、就職の際だけでなく、転職や学会の認定医・専門医の受験申請時など、コピーの提出を求められる機会が多々あるので、大切に保管しておきましょう。

8.歯科医師臨床研修

歯科医師国家試験に合格し、歯科医師免許を取得した後は、大学病院もしくは厚生労働大臣より臨床研修施設として指定を受けた病院・診療所などで1年以上の臨床研修を行うことが義務づけられています。

研修期間は1年間のところがほとんどですが、研修施設によっては2年間のところもあります。この歯科医師臨床研修を行う病院、すなわち歯科医師としてはじめての就職先となる病院を決定することを「マッチング」といいます。

歯学部6年生は、学校の勉強と並行しながら、マッチングのためにさまざまな活動や事務手続きをしなければなりません。

具体的には、まず6年生の6~7月に、自分の大学から歯科医師臨床研修マッチングプログラムに参加登録するためのIDとパスワードを入手し、オンライン登録を行います。

そして9~10月にかけて、自分が選考を受けた臨床研修施設における研修したいプログラムの希望順位をオンライン登録します。そして10月下旬に、研修施設と研修希望者のマッチングを行った結果として、自分がどこで臨床研修を行うことになったのか発表されます。

歯学部6年生は、オンラインでの参加登録や研修施設の希望登録のスケジュールをふまえて、早い段階から研修施設や先輩からの情報収集をはじめる必要があります。そして、あらかじめ研修を考えている施設に見学に行き、希望順位をオンライン登録する前に、希望する研修施設での選考試験を受けに行かなければなりません。

これらのマッチングに関わるすべてのことを、歯学部6年生という、臨床実習や卒業試験、国家試験のための勉強で多忙な時期にこなす必要があります。

さらに、自分の希望する研修施設が、自分の大学から離れた場所にある場合、また複数ある場合は、スケジュール調整がより一層大変になります。

マッチングを成功させ、希望する研修施設で、希望するプログラムのもとで有意義な臨床研修を行うためにも、情報取集や事務手続きは万全の準備をして計画的に行いましょう。

なお、無事に歯科医師臨床研修を修了した後は、自ら地方厚生局に申請を行うことで、臨床研修を修了した旨が歯科医籍に登録され、臨床研修修了登録証が交付されます。
参照:(歯科医師臨床研修マッチングプログラム2020-一般財団法人歯科医療振興財団

8.歯科医師臨床研修

9.歯科医師のお給料

ここまで歯科医師になるまでの道のりを解説してきましたが、気になる歯科医師のお給料についても説明しましょう。

厚労省によって行われた賃金構造基本統計調査をもとに計算すると、歯科医師全体の平均年収は約570万円という結果に。また歯科医師の中でも、男性の平均年収は約650万円、女性の平均年収は約470万円となりました。
(参照:歯科医師のお給料・年収・開業資金を徹底解説!

勤務医の約90%が、一般的な歯科医院に勤務していることから、歯科医院に勤務する場合の平均的な年収は約570万円と考えて差し支えないでしょう。

また、個人の開業医の年間の給与は、平均すると約1,200万円とされ、勤務医と異なり年収1,000万円を大きく上回る結果となりました。

さらに、医療法人を経営している場合、経営者の歯科医師自身が受け取る年収は、個人で開業している歯科医師の平均年収1,200万円よりさらに上回る可能性があります。

ただし、個人で開業する場合でも、医療法人を経営する場合でも、院長としての報酬を受け取るのと同時に、将来のために備えておくべきお金についても考えなければいけません。

開業のために借り入れた借金の返済、病気やけがで休業した場合の所得保障のための費用、例えば、老後のために退職金の積み立てなどを考慮する必要があります。

そのため、勤務医と開業医の給料は、内容と性質が異なるものであり、必ずしも同じように年収を比較できるわけではないので注意が必要です。

10.専門医になるには

では、患者から選ばれる歯科医師になるにはどうすれば良いでしょうか?

差別化をする方法のひとつとして、専門医などの資格を取得して、自分が専門性のある知識や技術を習得していることをアピールする方法が考えられます。

歯科において医療法上広告可能な専門医として、口腔外科専門医、歯周病専門医、歯科麻酔専門医、小児歯科専門医、歯科放射線専門医があります。

専門医になるためには、まず自分が取得を目指す専門医資格を認定している学会に入会する必要があります。

資格によっては、要件を満たす医療施設で数年間診療に従事し、必要な症例を経験し、学会発表や論文投稿などを行った後に、専門医試験を受験できるものもあります。

試験の内容としては、書類審査の後に、筆記試験や口頭試問などがある場合がほとんどです。専門医制度の詳しい内容は各学会のHPで確認してみてください。

また、専門医の前段階として、認定医制度を設けているところがほとんどなので、併せてこちらも確認してみてくださいね。

学会一覧ページはこちら

歯科学会一覧-WHITE CROSS

なお、厚労省による医師・歯科医師・薬剤師統計によると、平成30年時点で医療施設に従事している歯科医師10万1,777人のうち、専門医の中でももっとも多いとされる口腔外科専門医を取得している歯科医師は全体のわずか2.1%

歯科放射線専門医にいたっては、0.2%と希少な存在となっています。専門医資格は取得に至るまで決して楽な道のりではなく、取得後もその維持のため努力が必要です。

しかしながら、自身の歯科医師としての付加価値を高め、患者により専門的な歯科医療を提供するために、キャリアプランの選択肢のひとつとして考えてみても良いかもしれません。

9.歯科医師として自己研鑽するためには

歯科医師の専門性を身につける方法は、専門医を目指すことだけではありません。自ら学び、自ら専門的な知識や技術を高める方法はたくさんあります。

これまでは歯学専門書を読むことや、セミナーに参加して最先端の技術を習得することが、自己研鑽の方法として一般的でした。

最近では、姉妹サイトWHITE CROSSやdStyleをはじめとして、オンラインで歯科医療従事者向けの情報を得られる機会も増えつつあります。

特に、WHITE CROSS Channelでは、各分野のプロフェッショナルとして活躍する歯科医師や専門家を講師に迎え、最先端の歯科治療のみならず、歯科医院経営やライフスタイルについてなど、さまざまなテーマについて、オンラインセミナーを配信。
(参照:WHITE CROSS Liveがさらに進化!WHITE CROSSチャンネルって?

リアルタイムで講師に質疑応答が可能なライブセミナーも多数配信しており、自宅や診療所など、どこからでもセミナーに参加することが可能です。

WHITE CROSS Liveがさらに進化!WHITE CROSSチャンネルって?へ
WHITE CROSSチャンネルの詳細はこちら

ぜひ、WHITE CROSSのサービスを利用しながらスキルアップし、歯科医師としての付加価値を高めていってください。

***

日本における国民医療費は年々増加の一途をたどっており、平成29年度の国民医療費は前年度から2.4%増加して43兆710億円でした。そのうち歯科診療医療費は2兆9,003億円であり、医療費の6.7%を占めます。
(参考:平成29年度 国民医療費の概況-厚生労働省

また、口腔の健康が全身的な健康をもたらすことは数多くの論文によってすでに証明されており、歯科医療は口腔内にかぎらず人々の健康そのものに大きく貢献できる可能性を持っています。

歯科医師には、各々の知識や技術、知恵を生かして、国民のお口の健康を保ち、一生を通じて、食べたいものを健康な歯で、健康な体で食べられる生活をサポートすることが可能です。

この未知なる可能性を秘めた歯科医師に、あなたもなってみませんか?

LINEで相談するLINEで相談する