ケース別CURAPROX ハイドロソニックプロの活用:谷山香織の製品レビュー

はじめまして、歯科衛生士の谷山香織です。

私は現在フリーランスとして活動させていただいております。

こちらのコーナーでは、皆さまが臨床において使用される製品の成分や特徴、効果的な使い方などをご紹介してまいります。

製品の購入をご検討される時に、そしてすでにお使いの製品におきましては、成分や使い方のご確認としてお役立ていただけると嬉しいです。

ケース別ハイドロソニックプロの活用:谷山香織の製品レビュー

No.3 CURAPROX ハイドロソニックプロ

セルフケア用品は、患者さんの口腔内の健康を維持するために重要なアイテムです。

それだけではなく、セルフケア用品をおすすめすることによって、医院においても患者さんとのコミュケーションの向上や、購入するために医院へ足を運んでいただくきっかけにもなります。

今回は、セルフケア用品のひとつ、電動歯ブラシについて書かせていただきたいと思います。

電動歯ブラシの市場は非常に高く、一般市場を合わせて年間147億円ともいわれています。しかし、歯科医院のみの市場を見てみると年間8億円。かなり差があります。
(参照:オーラルケアマーケティング総覧 2021-富士経済グループ

皆さまもご周知の通り、電動歯ブラシは口腔内のだ液と音波振動により発生する液体流動力によって、歯面だけでなく、歯ブラシが届きにくい歯間部や、歯周ポケット内のプラークを効果的に除去することができます。

CURAPROX ハイドロソニックプロの特徴

今回おすすめする株式会社ヨシダの電動歯ブラシ「CURAPROX ハイドロソニックプロ(以下、ハイドロソニックプロ)」は、従来の電動歯ブラシと異なる特徴が多くあります。

CURAPROX HYDROSONIC PRO
CURAPROX ハイドロソニックプロ(引用:株式会社ヨシダ)

そのため、電動歯ブラシを使うのが初めての方、使ったことはあるが苦手だった方におすすめです。

また、現在も他製品の電動歯ブラシをお使いの方にも、大変満足していただける電動歯ブラシとなっています。

ハイドロソニックプロの大きな特徴として、次の3つが挙げられます。

  1. 毛先の材質を選択できる
  2. さまざまな歯面に対応できる歯ブラシの形態
  3. 振動数自体をコントロールできる

1.歯面や歯肉に合わせて毛先の材質が選択できる

ハイドロソニックプロの歯ブラシは、「POWER」「SENSITIVE」「SINGLE」の3本から選ぶことができます。
(参照:新発売の音波式電動歯ブラシ『ハイドロソニックプロ』とは?

健康な歯面、歯肉の方には「POWER」、知覚過敏や炎症がある歯肉、重度歯周病の方、また妊娠中の方には「SENSITIVE」。

そして「SINGLE」は、リスク部位の歯面、矯正治療中の方、インプラント周囲部、孤立歯の歯面に適しています。

材質は、クーレンファイバーというポリエステルを加工しており、ナイロンの歯ブラシより非常に柔らかい材質でできています。

そのため歯面にも歯肉にも優しく、刺激も少ないので痛みを与えることがありません。また、柔らかい毛先ですがコシがあり、しっかりとしています。

2.さまざまな歯面に対応できる歯ブラシの形態

歯ブラシの背面がラバーでコーティングされており、電動歯ブラシ特有の、対合歯に歯ブラシの背面が当たった時の不快感がありません。

また、歯ブラシのネックは、「POWER」と「SENSITIVE」は10度、「SINGLE」は15度の角度が付いています。

ハイドロソニックプロのネック角度(左から「POWER」「SENSITIVE」「SINGLE」)
ハイドロソニックプロのネック角度(左から「POWER」「SENSITIVE」「SINGLE」)

この角度によって、普通の歯ブラシでは届きにくい臼歯部や、下顎叢生部にも対合歯にネックが当たることなく、当てたい歯面にアクセスできるように設計されています。

歯ブラシの形は、外側の毛先が長く、内部は短く植毛されており、まるでしずくのような型です。

このしずく型の形が非常に良く、どの角度に歯ブラシを当てても、歯を包み込むようにフィットするようになっています。

特に、今までの電動歯ブラシでは当たりにくかった下顎舌側部の歯面にも、歯ブラシの毛先が当たるようになっているため、プラークが残りやすい部位もさらにプラークを除去できるようになっています。

どの角度でもフィットするハイドロソニックプロ

3.使う人に合わせて振動数自体をコントロールできる

ハイドロソニックプロは、振動数を次の3種類から選ぶことができます。

  • スタートモード:22,000回
  • クリーンモード:32,000回
  • スマイルモード:42,000回

感覚に対する感じ方は人それぞれです。どのような方にも安心してお使いいただけるようにパワーは7段階あり、振動数自体をコントロールできるようになっています。

初めて電動歯ブラシを使う方、振動が苦手な方はスタートモードの優しい振動数からはじめると、不快感なく電動歯ブラシに慣れていただけると思います。

また、電動歯ブラシに慣れている方は、スマイルモードやクリーンモードでお好みの振動数をより幅広く選ぶことができるので、満足していただけると思います。

7段階ものパワーを備えていますが、操作はボタンを長押しするだけで変更可能。そのため、部位によってパワーを変えたい時も、簡単に操作をすることができます。

4.ハイドロソニックプロの活用法

叢生部位

SINGLEブラシを叢生部に当て、モードはスタートモードで動かしています。

歯ブラシの三角の形態が、歯面や叢生部位の歯間部に毛先が入りやすくなっており、効果的に磨くことができます。

SINGLEタイプは叢生部位の歯間部に毛先が入りやすい
SINGLEタイプは叢生部位の歯間部に毛先が入りやすい

歯周病の患者様

歯周病が進行し、歯肉が退縮している患者様には、歯面に対して歯ブラシを縦に当て、歯面にしずく型の歯ブラシがフィットするように動かしていきます。

歯面に対して歯ブラシを縦に当てる
歯ブラシがフィットするように歯面に対して歯ブラシを縦に当てる

また、孤立歯に対しては、歯肉溝のプラークも確実に除去できるように「SINGLE」のブラシを使い、歯肉溝内部に毛先が届くように動かしていきます。

酸蝕症の患者様

酸蝕症の患者様

この写真は、日頃健康のためにとお酢を飲まれている患者様です。

上顎の前歯部口蓋歯面が酸により溶けているため、歯がしみることもあり、手用のナイロンの歯ブラシが怖くて当てられないとのことでした。

そのため、まず歯ブラシを歯面に当てても痛みがないことを認識していただくために、「SINGLE」もしくは「SENSITIVE」の歯ブラシでスタートモードを選択。

「SINGLE」タイプで痛みがないことを実感していただく
「SINGLE」タイプで痛みがないことを実感していただく

手用歯ブラシのナイロンの歯ブラシとクーレンファイバーの歯ブラシの材質の違いを感じていただきました。

その後、来院された時には、「歯ブラシの毛先も振動も気持ちがよく、歯面がツルツルになる」と言われ、ご自身でPOWERの歯ブラシを選択されるようになり、現在も継続して使っていただいております。

インプラント周囲

インプラント周囲

この写真は歯肉が非常に薄い患者様で、右下6番にインプラントが埋入されています。

本来であればインプラント周囲には「SINGLE」ブラシを使っていただきたいのですが、患者様が以前から電動歯ブラシを使い慣れているとのことで、「POWER」の歯ブラシ1本でブラッシングをされたいとご希望されました。

よりインプラント周囲を意識していただくために、この部位に関しては歯ブラシをより歯間部に毛先を押し込むような意識で入れていただくようにお伝えしたところ、現在も出血もなく健康なインプラント周囲組織を維持できています。

インプラント周囲には歯間部に毛先を押し込む意識を持っていただいた
インプラント周囲には歯間部に毛先を押し込む意識を持っていただいた

矯正治療

矯正治療中はブラケットが装着され、複雑な歯面になります。そのため、頬粘膜と歯面が離れてだ液が歯面に流れにくくなり、プラークがより付着しやすくなります。

綺麗にプラークを除去しようと思うと、手用の歯ブラシでは磨きにくく、とても時間がかかりますが、電動歯ブラシではより簡単にプラークを除去することができます。

ハイドロソニックプロの歯ブラシ、クーレンファイバーとネックの角度により、ブラケット周囲の歯面にも毛先が届きやすくなっています。

また、ブラケット部は「SINGLE」のブラシを使用することで、細かい部分にも到達性がよくきれいにしてくれます。

ブラケット部には「SINGLE」のブラシを使用
ブラケット部には「SINGLE」のブラシを使用

このように、ハイドロソニックプロは、どんな患者様にも使いやすく、効果的にホームケアが行えるように作られています。

研修などで出会う衛生士さん達からは、「電動歯ブラシは高いからすすめても購入されない」「電動歯ブラシの説明ができない」「手用歯ブラシでいいと思います」などという言葉を耳にします。

はたして本当にそうでしょうか。

もしそうであれば、先に述べたような電動歯ブラシにおける一般市場と歯科医院での差はうまれないはずです。

私たち歯科衛生士は、まずものを売るという行為に対して慣れていないこともあり、苦手意識を持ちやすいように思います。

一般市場にて電動歯ブラシを販売している量販店の販売員より、知識がおとっているとは到底考えられません。むしろはるかに豊富な情報量をもっています。

では、その差は何かと考えた時に、私は「伝え方」ではないかと思います。

消費者がものを購入するとき、それは「ほしい」と心が動くときです。それには次の3つのポイントがあります。

  1. 商品の価値を理解したとき
  2. 購入する相手を信頼したとき
  3. 本当に必要だと思ったとき

そのためには、私たち歯科衛生士がしっかりと電動歯ブラシの特徴を理解して、その価値と必要性を患者様に伝えることだと思います。

その価値をしっかりと自信をもって伝えることができれば、ほかの口腔ケア商品と同じように、患者様はきっと心よく購入して下さると思います。

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