みなさんは、子ども向けの歯科絵本を読んだことがありますか?
ブラッシングやう蝕、歯科治療についてなど、さまざまな種類の絵本が出版されています。
私自身、本屋さんの絵本コーナーに行ってみると、たくさんの歯科絵本があることに驚きました!
この記事では、1児の母である歯科衛生士として、おすすめできる歯科絵本をいくつかご紹介していきますよ♪
前回の記事はこちら
抜けた乳歯はどうする?子どもと一緒に考えられるおすすめの2冊!
今回ご紹介する絵本では、「歯の交換期に脱落した乳歯をどうするか」ということについて、いろいろな風習を紹介しています。
はじめに読んでいただきたいのは、中川ひろたかさんの著書『歯がぬけた』。
全体のストーリーとしては、主人公の男の子の下顎前歯が食事中に脱落し、その乳歯をどうするかについて、男の子が悩んだり妄想したりしながら話が進んでいきます。
脱落した歯のスペースにコーンを挟んで歯の代わりに見立てる場面や、「歯を捨てるなら、もえるゴミ?もえないゴミ?」という素朴な疑問は、小学校低学年くらいの男の子ならではの発想で、読み手も思わず笑ってしまいます。
そして、主人公が乳歯をビンに入れて保管しようとすると、お母さんが次のように言います。
うえの歯はえんのしたになげて、したの歯は、やねのうえになげるの
日本には古くから、“ねずみの歯より強い歯になるように”という願いを込めて、上顎の歯は縁の下、下顎の歯は屋根の上に向かって投げる風習があります。
現在は、そもそも縁がない一軒家やマンションに住む方が増えているため、風習通りにできない方も多いですよね。
最近では、乳歯を保管するケースやボックスなども販売されているので、大人になるまでずっと保管している方もいるかもしれません。
その後の場面で、主人公のお父さんは次のように言います。
がいこくじゃぬけた歯は、まくらもとにおいておくみたいだぞ。あさおきると、それがコインにかわってる。ようせいがかえてくれるんだ
他の国では、日本とはまったく異なる風習もあるようです。
そこで、他の国ではどんな風習があるんだろう?という疑問を解決してくれるのが、2冊目の『はがぬけたらどうするの?〜せかいのこどもたちのはなし〜』です。
作者のセルビー・ビーラーさんは、こちらの絵本を作成するために何年もかけて世界中の風習を調査。世界65か国もの国の、脱落した乳歯にまつわる風習が紹介されています。
世界各国でも、日本と同じように「乳歯を屋根の上に投げる」ことや、『歯がぬけた』で紹介されていた「枕元に置いておく」ことを風習にしている国が多く、その2つの風習をもつ国が半分以上を占めます。
また、乳歯を屋根の上に投げる風習はアジア諸国に多く、枕元に置いておく風習は欧米諸国に多くみられるようです。
他にも、「ネズミの巣穴に乳歯を落とす」や「食べ物に丸め込んで動物に食べさせる」といった少し驚くような風習をもつ国も。屋根ではなく、太陽や月に向かって乳歯を投げる国もありました。
その中でもとくに、変わっていると思った風習をいくつかご紹介します。
コスタリカ
お母さんに乳歯を渡すと、金メッキをしてイヤリングを作ってくれる。
トルコ
両親が、将来子どもになってほしい職業の人が働いている場所に乳歯を埋めに行く。
例:医者なら病院、サッカー選手なら競技場など
ネパール
脱落した乳歯を鳥に見られたり食べられたりすると、新しい歯が生えてこないという言い伝えがあるため、畑に埋めたり、泥や牛のフンでくるんで屋根に上に隠したりする。
ママDH的おすすめポイント!
歯科医院で小児患者さんの乳歯を抜歯した後は、ケースなどに入れてお渡しする機会が多いと思います。
しかし、その後どのように取り扱うかは、保護者の方にお任せしていることがほとんどです。
私たち歯科衛生士が小児患者さんに“日本や世界にはこんな風習があるんだよ!”と教えてあげると、帰宅後に家族で歯について話すひとつのきっかけになるのではないでしょうか。
今回紹介した2冊は、そんな歯科衛生士としての豆知識を増やしてくれる絵本です。
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子どもにとって歯の交換期は、今まで当たり前のように使っていた乳歯が脱落し、歯の大切さや自分の歯について考える良いきっかけが生まれやすい時期です。
今後萌出してくる永久歯を守るためにも、小児患者さんには自分の歯に興味をもってもらえるような働きかけや声かけができるといいですね♪
このように、子どもと一緒に親も学べるような絵本だと、読み聞かせの楽しさが増すのではないでしょうか。
みなさんの『おすすめ歯科絵本』もぜひ教えてください♪
ママDHおすすめ!小児患者さん向け歯科絵本
#01『わにさんどきっ はいしゃさんどきっ』
#02『歯がぬけた』&『はがぬけたらどうするの?』