こんにちは。dStyle編集部のSaitoです。
みなさんは、「デンタルエステ」と聞いてどのようなものを思い浮かべますか?
お口まわりのエステ?ホワイトニングのこと?など、曖昧な方も多いのではないかと思います。
そこで、私が自費のデンタルエステを行っていた経験をもとに、詳しくお伝えできたらと思います。
前回は、“デンタルエステとは”というところから、お話しをさせていただきました。
前回はこちら
第2回となる今回は、デンタルエステの代表的な施術のひとつ「歯肉マッサージ」について詳しく解説していきたいと思います♪
歯肉マッサージ(ガムマッサージ)とは
その名のとおり、歯肉のマッサージを行う施術です。
デンタルエステとしてだけではなく、治療前の緊張ほぐしとして、口臭予防における唾液分泌促進のため、ターミナルケアなど、さまざまな目的に応じて使用されています。
また、定期検診の最後に歯肉マッサージを行うという歯科医院もあるようです。
歯肉マッサージの効果
1.リラクゼーション効果
患者さんの中には、歯科が苦手で、大きなストレスを抱えて来院される方もいらっしゃいますよね。
緊張している時や不安を抱えている時は、交感神経が優位な状態であることが多く、筋肉が緊張します。
そこで歯肉マッサージを行うことによって、副交感神経が優位=リラックス状態に切り替わり、口腔周囲の筋肉を緩めることができるのです。
また、リラックスした状態は、呼吸数や心拍数が安定し、筋肉が弛緩しているため血液の循環がよくなり、手足が温まります。
その結果、体温も上昇し、代謝や免疫力の向上も期待できます。
2.唾液分泌促進効果
唾液には、う蝕・歯周病予防効果がありますよね。
唾液を分泌させるために、たくさん咀嚼を行うことも推奨されていますが、歯肉マッサージでは直接的に唾液腺を刺激するため、咀嚼の何倍もの量の唾液を分泌させることができます。
唾液は口腔の健康を守る他にも、免疫力UPやがん予防、若返りまで期待できます。
歯肉マッサージの手順
ここからは、実際に行われている施術方法についてお伝えしていきます。
今回お伝えする方法は一例であり、歯科医院によって施術方法はさまざまです。
準備するもの
- グローブ:ゴムの匂いが少ないニトリルグローブ。
- ジェル:口腔内マッサージ専用のジェル。味や匂いは患者さんの好みを事前に確認します。
- 歯磨剤:口腔内が乾燥気味の方へは、保湿剤や湿潤材が含まれているもの、歯肉が炎症している方へは、抗炎症作用や血行促進作用のあるものなど、患者さんの希望や口腔内の状態に合ったものを選択します。
- フェイスタオル:患者さんのお顔に触れるものなので、素材や洗濯方法、香りにこだわり、柔らかく仕上げたものを用意します。
1.マッサージの準備
ジェルを人差し指の指先から第二関節まで薄く塗布し、①下顎左側、②下顎右側、③上顎左側、④上顎右側の順に、まんべんなく歯肉に塗布します。
2.大臼歯部の歯肉マッサージ
大臼歯部の歯肉に円を描くイメージで、①下顎左側、②上顎左側、③下顎右側、④上顎右側の順に、指の腹を使ってクルクルとなぞるようにほぐしていきます。
正中から奥に向かうように、各5〜10回程度指を往復させて、歯肉をなぞります。
また、下顎では下から上に、上顎では上から下へと、血行の方向にしたがってマッサージを行います。
3.前歯部の歯肉マッサージ
前歯部では、主に中切歯周辺の歯肉に大きな楕円を描くイメージでほぐしていきます。
①下顎、②上顎の順に指の腹を使ってマッサージしていきます。
大臼歯部と同様に、各5〜10回程度指を往復させ、血流の方向にしたがって行います。
4.歯間乳頭部を刺激する
最後は、指の腹を使って、歯間乳頭部を3秒間ずつ軽くプッシュし、終了となります。
施術のポイント
適切な歯肉マッサージを行うにあたり、唾液の量や知覚過敏の有無、口腔内に目立った病変がないかなど、患者さんへの事前確認を行い、その時の状況に合わせた方法で施術を行うことが大切です。
また、患者さんは目元にタオルがかかっているため、動作に対する声かけをしっかり行うことも重要です。ただし、リラックス状態を維持できる範囲で行うようにしましょう。
最後に、マッサージを行うコツとして、適温・適圧・一定のリズムを心がけます。適温は、ジェルを手で温めること、適圧は、歯肉の厚みや付着歯肉の幅を見極めることです。
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いかがでしたでしょうか。
治療とはまた違った角度で、歯科衛生士という仕事の楽しさを知っていただけたら嬉しいです。
次回は、患者さんにも人気の高い「リップエステ」について詳しく解説していきます。
岡村乃里恵「歯肉マッサージの効果と伝え方」『DHstyle』、2013年 3月号
岡村乃里恵「歯肉マッサージの手順 Vol.2」『DHstyle』、2013年 5月号