歯科助手だからこそできる!感染管理のプロへの道 第2回 歯科助手が感染管理を学ぶメリットとは?

こんにちは、杉並区の山下スマイル歯科で歯科助手をしている定光祐美です。

私は2020年の2月に「第二種歯科感染管理者」を、同年12月に「第二種滅菌技士」を取得しました。

なぜ歯科助手である私が感染管理を学ぶのか?それは患者さんのためです。そして結果的に自分のためとなり、医院のためにもなります。

今回は感染管理を学ぶメリットをお伝えする前に、なぜ学ぶことが歯科助手にとって大切なのかを最初にお伝えします。

歯科助手の「学び」は無限大

歯科助手は歯科医師や歯科衛生士とは違い、国家資格をもたない職種です。そのため、歯科の基礎知識は勤務する歯科医院で初めて教えてもらうことになります。

そこで学んだことが自分の中の教科書になります。

仕事の教わり方は歯科医院によってさまざまです。先輩スタッフから口頭で業務の説明を受ける場合もあれば、マニュアルのように言語化されているツールに沿って仕事を覚える場合もあります。

勤務する歯科医院によって、得る知識は変わっていきます。

私は歯科助手として10年間働いてきた中で、3つの歯科医院に勤務してきましたが、やはり最初に働いた歯科医院で教えてもらったことが自分のベースとなっています。

歯科衛生士でも、「働く歯科医院によって違いがある」という経験をされる方は多いと思いますが、歯科助手はその違いを知る機会が少ないと私は思います。

私自身もそうでした。歯科医院の感染管理は歯科助手ではなく、有資格者の仕事だと思っていました。

ですが、2019年に参加した「北欧予防研修」にて見学した歯科医院では、「デンタルナース」とよばれる歯科助手の役割の方たちが感染管理を担当していました。
(参照:北欧研修に参加して〜歯科助手から見た北欧と日本の歯科の違い〜

歯科助手でも知識を身につければ、感染管理に携わることができると知れたことは、大きな価値となりました。

「違い」は決して悪いものではありません。私は「北欧予防研修」に参加し、自分の常識との違いを知ったことで、学ぶことの必要性を感じました

歯科医院にとって「やり方」というのは本当にさまざまです。

違いを知って、自分が働く歯科医院のことをマイナスに感じるのではなく、私はいつも「何か一つでも歯科医院に持ち帰れるものはないか?」と吸収するつもりで日々新しいことを学んでいます。

感染管理を学ぶ3つのメリット

ここからは、歯科助手の私が実際に感染管理を学び、メリットだと感じた点を大きく3つに分けてお伝えします。

①自分のためになる

  • 正しい感染管理について知ることができる
  • 自分の知識のブラッシュアップができる
  • 自己成長へ繋がる

冒頭でもお伝えしたように、歯科助手は初めて勤務する歯科医院で教わった知識がベースとなります。それ以来、私はブラッシュアップができていませんでした。

感染管理のセミナーに参加することによって、正しい知識を得られただけでなく、自分の知識を最新の情報にアップデートすることができました

さらに、歯科医院で使っている薬液の効果や、その薬液を何のために使っているのかを知れたことも、非常に有意義だったと感じています。

正しく薬液を使うことは、自分が暴露*1・感染しないためにとても大切です。学ぶことが自己成長にも繋がり、仕事に対してもより意欲的になることができました。

②患者さんのためになる

  • 安心して通える歯科医院をつくることができる
  • プロフェッショナルとして患者さんに接することができる
  • 院内での取り組みを患者さんにわかりやすく伝えることができる

2019年以降は特に、「きちんとした感染管理を行っている歯科医院なのか?」という点を気にされる患者さんが多いように感じています。

実際に私が働く山下スマイル歯科の患者さんの中にも、「感染管理がしっかりとしている」という理由で来院される方がいます。何よりも歯科医療人として、患者さんに安心・安全な歯科医療を提供することは必要不可欠です。

さらに、「感染管理をきちんとしている」ということを患者さんに伝えることも大切です。どのように伝えたら患者さんに伝わるのか?わかりやすく表現しようとするときに、歯科助手の視点がとても大切なのです。

③歯科医院のためになる

  • 歯科助手にバックヤードを任せることができ、術者が患者さんに集中できる
  • コスト意識に繋がる
  • スタッフの仕事に対するモチベーションが上がり、組織が活性化する

感染管理は歯科医院にとって非常に重要なことですが、売り上げに直接結びつくことではありません。むしろ、感染管理の整備を行おうとすると、コストがかかることもしばしばあります。

しかし、歯科助手が感染管理の役割を担うことで、歯科医師・歯科衛生士が患者さんに集中することが可能になります。また、知識を得ることで、ときには医院の中の「無駄」を発見する、なんてこともあるでしょう。

さらには、いま使っている薬液よりも効果的で、取り扱いもしやすく、安価な製品の存在に気がつくこともあります。アンテナを張っておくと、そういった情報が入ってきて、それが結果的にコスト削減に繋がることもあるのです。

まとめ

歯科医院の中で「自分も関係している」と捉えることができる仕事が増えると、興味や関心が湧き、仕事への意欲も出てきます。

私自身そうでしたが、感染管理と聞くと「クラスB」や「ウォッシャーディスインフェクター」を導入することが、まず頭に浮かびます。

ですが、私が感染管理の勉強を経て学んだことは、お金をかけて最新の機器を取り入れることではなく、スタッフが主体的に学び、現場で活躍することの大切さです。

次回は私が感染管理を学び、どうやって歯科医院に落とし込んでいったのかをお伝えします。

歯科用語解説
*1 体内へ入り込むこと。