歯科に役立つヨーロッパでのメディカルアロマ 第3回

皆さん、こんにちは。メディカルアロマスペシャリストの大工原忍です。

今回で3回目のメディカルアロマのお話をしますが、

ではそもそもアロマはどうやって出来るの?

という質問もありますので、簡単に精油の作り方をお話しましょう。

また、今回からは具体的なメディカルアロマの使い方をご提案していきたいと思います。

前回まではこちら

第1回 メディカルアロマテラピーとは
第2回 メディカルアロマの効能と選び方

精油の抽出方法

精油成分の芳香成分を抽出する方法はいくつかありますが、大部分は分散剤などは使わない“水蒸気蒸留法”で採られています。

1.水蒸気蒸留法

植物(葉・花・枝)などを入れた蒸留釜に水蒸気を通し、その植物の芳香成分を、蒸気と共に取り出します。

このように水蒸気蒸留で抽出した精油のことをオットーといい、精油の9割がこの方法で採られます。

芳香分子は水よりも比重が軽く、水に解けないものが多いので、取り出した蒸気を冷却管で通し冷やすと、液化した芳香分子が上に集まります。

水に解けずに浮いている成分が精油、下の方の水の層がハーブウォーターで、なにも薬剤を加えず物理的に分離できます。

また水蒸気蒸留法は、植物を水の中に浸して蒸留するウォーターディスティレーションと、網を挟み植物が直に水に浸されないウォータースチームディスティレーションの2種類に分けられます。

ウォーターディスティレーション
ウォーターディスティレーション
ウォータースチームディスティレーション
ウォータースチームディスティレーション

 

2.圧搾法

主に柑橘の果皮から圧搾する方法です。

果皮を圧搾することで、芳香成分を抽出します。
柑橘の香りは火を通すとフレッシュさがなくなるので加温せず圧搾するので、冷圧搾・低温圧搾・常温圧搾などと呼ぶこともあります。

主な精油:オレンジスィート・オレンジビター・グレープフツーツ・レモン・ベルガモット

3.溶剤抽出法

有機溶剤を利用して抽出する方法です。1・2のどちらでも採油できない時は、溶剤抽出法を使います。

主な精油:ジャスミン

メディカルアロマでは、このようになにか分散剤を入れて抽出したものというよりは、自然に分離したものを使います。

もちろん、メディカルアロマはフランス・ベルギーでは医療とされているので、効果も期待できますが、精油の禁忌もあります。

精油は化学的に分析されていますので、こちらの表にまとめてみました。

禁忌のアロマ

禁忌のアロマ

歯科恐怖症の患者さんに良いアロマ

歯科恐怖症やパニック症患者さんには不安を取り除いて差し上げる香りを使います。

よく使われるのが、抗不安作用のあるアントラニル酸ジメチルを芳香分子に持つプチゲレンマンダリン
それに、鎮静作用の精油、ラベンダーアングスティフォリアリトセアなどをブレンドします。

リトセアは、柑橘ではないですが、誰もが好きな柑橘系の香りがするおもしろい植物です。また、自律神経に良いマジョラムもおすすめです。

レシピ

  • マンダリン:4 ml
  • プチグレン:2 ml
  • ラベンダーアングスティフォリア:3 ml
  • リトセア:1 ml

これらをブレンドし、3%に希釈したものを、診療の1時間前に塗布していただきます。

患者さんの手首内側やみぞおち・舌下などに3滴垂らして深く深呼吸してもらいます。

また、こちらのレシピはディフューザーで焚いてもおすすめです。

香りは五感の中で唯一錯覚を起こさないといわれています。脳と直結していてるので、嗅ぐことによっても体に入っていき、直接働きかけてくれます。

是非クリニックでもお試し下さい。

歯科に役立つヨーロッパでのメディカルアロマ

第1回 メディカルアロマテラピーとは
第2回 メディカルアロマの効能と選び方
第3回 メディカルアロマの特徴と歯科恐怖対策アロマ
第4回 歯科分野で役立つアロマ Part1
第5回 歯科分野で役立つアロマ Part2
第6回 口内炎の万能薬 ローレル
第7回 細菌性感染症に効くクローブ
第8回 外科処置後の青あざにはヘリクリサム