こんにちは。株式会社Tomorrow Link の濱田智恵子です。歯科衛生士として臨床の現場に立つ傍で、歯科衛生士をはじめとしたスタッフ向けの人材育成をしています。
今日はスケーリングのうち、超音波スケーラーを使ったスケーリングについて解説していきますね。
1.超音波スケーラーの名称
2.超音波スケーラーのテクニック
3.超音波スケーラー成功の10のポイント
1.超音波スケーラーの名称
道具を使う際には必ず、その道具を知る・理解することから始めてみてください。
まずチップから説明しますね。チップの各部位の名称は覚えていますか?
超音波スケーラーは大量の歯石をとることだけが役割ではなく、プラークの除去やデブライメントなど多岐にわたって活躍してくれるとても便利なツールです。
チップも様々な種類が販売され、大きく分けてスケーリング用・デブライトメント用、他にはキュレットタイプといったようにインスツルメント形をそのまま超音波につけられるチップもよく見かけるようになりました。
キュレットタイプは主に縁上スケーリングに用います。
動画で解説します。
皆さんのクリニックでは、定期的にチップの交換を行っていますか?
超音波チップは、タービンバーや根管治療のファイルに比べると太くて頑丈なように見えますが、もちろんチップも消耗品です。
チップは購入した直後が最もパワーがでるいちばんベストな状態で、ある文献では1mmチップが消耗すると25%、2mm消耗すると50%もの効果や効率が下がるともいわれています。
定期的に先端のチェックをして、必要に応じて交換しましょう。
2.超音波スケーラーのテクニック
効果的に使うポイントは4つです。
① チップを正しく選択する
歯石のついている部位や性状、歯牙の形態などを把握した上で適切なチップを使いましょう
② 適切なパワーの設定
歯石のついている部位や性状、歯牙の状態によってパワーを調整するだけではなく患者さんの感受性(しみていないか)にも注意しましょう
③ 水流の選択
ポケット内のデブライトメントを行うときは、スケーリングを行うときよりも水流を多く設定しましょう
④ チップの動かし方:スケーリングストローク
手用のキュレットスケーラーなどでは下図の左のようにポケット底部から引き上げるという動作が必要になるかと思いますが、超音波スケーラーの場合はタッピングストローク・スィービングストロークといった手法を使い分ける必要があります。
それぞれ解説していきますね。
タッピングストローク
このストロークでは、ごろっとした硬めの大きな歯石がついている場合などに、真上や横から歯石をたたいてとるという方法です。
動画で手技を確認しましょう。
デブライトメントストローク(スウィーピングストローク)
ポケット内のデブライトメント(歯肉縁下のプラークや歯石、汚染歯根面、不良肉芽を取り除くこと)をするときにも、やはりキュレットスケーラーではプル操作(引き上げる動作)になりますが、超音波スケーラーでは上の図のようにポケット内を全体的にラテラルサーフェイス(側面)に沿わせるように行います。
3.超音波スケーラー成功の10のポイント
① パワーセッティング
自分が必要と思うよりも低いパワーから始め、少しずつ上げていきましょう。患者さんの感受性を一番に考えながら行います。
② チップの選択
たくさんの種類のチップがありますので歯牙と歯石などから適切なチップを選択し、チップの性能に頼りすぎないようにしましょう。
③ 水流
自分が必要と思うよりも、水は多めに出しましょう。
④ グリップ力
インスツルメントを持つ力のことです。力を入れて握ると歯牙にも強く当たってしまいますので、軽く持つようにしましょう。
⑤ フィンガーレスト
レストを無意識にしたり、慣れてきてフリーハンドで行っていませんか?必ず安定した位置にレストを置いてください。
⑥ 側方圧
ハンドインスツルメントのように横に力をかける必要がありませんので、手用スケーラーよりも軽く持ちます。
⑦ チップの動作
無駄にチップを動かすのはやめましょう。あちこち動かすと余計なところにぶつかりますので、必要な部位に必要な動作とパワーで行います。
⑧ ストロークテクニック
各歯牙の形態・角度に注意して適切にあてましょう。
⑨ 角度
チップが立つような形で使われている方が多いので、トゥが直角にならないように、ラテラルサーフェイスをうまく使うようにしましょう。ハンドインスツルメントよりも少し浅めの角度で当てるのがポイントです。
⑩ 活発に動かす
超音波スケーラーの使い方として大切なのは、一箇所にずっと当て続けないということです。第一関節をつかって細かく動かしましょう。
最後にチップの当て方について、良い例と悪い例に分けて動画で解説しますね。
歯周治療ベーシックセミナー
第1回 歯科衛生士とは
第2回 プロービング編
第3回 超音波スケーラー編
第4回 ルートプレーニング編
第5回 PCR編
第6回 PMTC編
第7回 ミラーテクニック編