男性歯科衛生士が語る、シゴトのホンネ vol.2「俺、歯科衛生士に向いてなかった?」

こんにちは、男性歯科衛生士の齋藤脩(さいとうおさむ)です。福島県白河市出身、現在は香川県のソフィア歯科クリニックに勤務しています。

以下の記事で紹介している通り、男性で歯科衛生士という職業を選ぶ人は、まだまだ少ない状態です。
(参照:とっても貴重な存在?!男性歯科衛生士について調べてみました!

この連載では、男性である私が歯科衛生士を目指したきっかけや、歯科衛生士になってから現在にいたるまでの経緯をお伝えしていきます。
(参照:vol.1「俺、歯科衛生士になる」

できる歯科衛生士を目指して働き始めた1年目の苦悩

東京の歯科医院で3年2ヶ月勤務した後、歯科衛生士を辞めました。今考えると、仕事に対する考えが甘かったです。

歯科衛生士として仕事を始めたときは、“土屋和子先生のような、カリスマ歯科衛生士になる!”と思っていました。

しかし、就職先の歯科医院は治療のレベルが高く、1年目の歯科衛生士には、患者さんを任せてもらえる機会が少ない環境でした。

歯科衛生士を辞めた理由は、向いていないと思ったからです。仕事もできない、自分に自信もない。だから楽しくない。

毎日勤務していればそのうち仕事ができるようになると思っていましたが、自分の成長をあまり感じられず、自信がどんどんとなくなっていきました。

米国レーザー歯科学会の認定資格を取得!

しかしそんな中でも、なにか資格がほしいと思い、レーザー治療について一生懸命勉強し、アメリカのテネシー州にあるナッシュビルまで認定試験を受けに行きました。

試験には無事合格し、認定証を受け取ることができました!

当時の勤務先の院長が米国レーザー歯科学会(Academy of Laser Dentistry)の指導医だったこと、学生時代からお世話になっていたたかはし歯科医院で働く歯科衛生士さんが、この学会の認定資格を持っていたことがきっかけです。

試験には無事合格し、認定証を受け取ることができました!

今後は、日本の歯科衛生士もレーザーを活用し、歯周治療やメインテナンスができる未来になるのではないでしょうか。

米国レーザー歯科学会の認定証
米国レーザー歯科学会の認定証

歯科衛生士を辞めてから、復帰するまで

歯科衛生士を挫折した後、不動産営業の仕事に約3年勤めました。

歯科衛生士としての働き方とはまったく違い、毎月のノルマを達成しなければ解雇されてしまうという厳しい環境でした。しかし、営業職を経験したことで、売り上げをあげる大変さを学ぶことができました。

また、当時勤めていた会社で事務職をしていた現在の妻と出会い、結婚することになりました。そして結婚を機に、妻の地元である香川県への移住を決めました。

結婚式の写真
結婚式の写真

そんな時に、とある先輩に“あれ?齋藤君って歯科衛生士じゃなかった?九州で初の男性歯科衛生士誕生ってニュースになっているよ。”と言われたのです。

これが男性歯科衛生士としてもう一度挑戦してみよう、と思うきっかけになりました。

そして現在は、香川県歯科医師会のホームページに求人が出ていたソフィア歯科クリニックに勤めています。
妻の友人から“ここのクリニックのスタッフは楽しそうに働いているよ”と聞いたのがきっかけです。

ソフィア歯科クリニックでの診療

現在は患者さんの指導、スケーリングやSRPといった歯科衛生士業務を担当制で行っています。
治療のアシスタント業務をすることはほとんどありません。

当院で力を入れているのは、「口だけではなく、全身を考える」ことです。

そのために、オーラルクロマ唾液検査用装置SiLL-Haをはじめ、InBody血管美人といったさまざまな器械や材料を取り入れ、メインテナンス時には患者さんの全身の健康状態まで確認するようにしています。

メインテナンスでは、う蝕や歯周炎のチェックはもちろんですが、口腔がん検診や、細胞診にも力を入れています。

私のお気に入りは、位相差顕微鏡の「ペリオスコープ」です。

ペリオスコープの画像を用いて説明する斎藤さん
ペリオスコープの画像を用いて説明する斎藤さん

プラークを採取し「これは何ですか?」と質問すると、「食べカスだと思います」と答える患者さんがいます。そんな時、実際にペリオスコープの画像を見てもらうことで、「ばい菌だった」と知っていただけます。

プラーク=細菌のかたまり」という事実を覚えていただくのに、一番いい器械だと思います。

私にとってソフィア歯科クリニックは、とてもやりがいを持って働ける職場です。
歯科衛生士として働く魅力に再度気づかせてくれました。

理事長の上里優先生には“一生勤務するつもりでいてほしい。”と、ありがたいお言葉をいただき、現在は毎日しあわせな時間を過ごしています。

次回は、歯科衛生士の私が舌白板症で手術を受け、臨床に復帰するまでの実体験をお伝えします。

男性歯科衛生士が語る、シゴトのホンネ

vol.1「俺、歯科衛生士になる」
vol.2「俺、歯科衛生士に向いてなかった?」