みなさん、こんにちは。歯科衛生士の一之瀬です。
連載3回目となる今回が2022年初めての掲載となります。
年末年始はいかがお過ごしでしたでしょうか。11月、12月はコロナ感染者数も下げ止まりかのように落ち着いていましたが、やはり終息とはいかず現在は全国的に新規感染者数が急速に増加しています。
当医院でも1月後半ごろから、感染者や濃厚接触者が多数出たことによる小学校の学級閉鎖や、職場で感染者が出たことにより濃厚接触者となってしまったことでの予約キャンセルが増えてきました。
政府や都道府県からの「社会活動は止めずに不要不急の外出は避ける」という難しい提唱に、歯科医療のメインテナンスは毎回悩まされているように感じます。
「今、痛くなければ行かなくてもいいのではないか。」患者さんによっては「緊急な治療でないから行かない方がいいのではないか。行くことで迷惑をかけてしまうのではないか」と思われている方もいらっしゃいました。
その結果、コロナ禍において定期的なメインテナンスの継続が途絶えたことで大変な思いをされた患者さんがたくさんいらっしゃるかと思います。
患者さんの健康を守るためにも、そして医院を経済面で守るためにも院内感染を起こさずに診療、運営をしていかなければいけません。このような社会情勢だからこそ、今一度、院内スタッフ全員で「感染管理」を見直してみるのはいかがでしょうか。
おすすめアイテムNo 3. 感染管理の基礎を学べる3冊
このような背景から、今回は私が院内の感染対策を考えるにあたって、かならず開く書籍をご紹介させていただきます。
どの書籍も私が感染管理を学ぶ際の基礎となった大切な書籍です。
おすすめPOINT
① 感染管理の正しい知識を身に着けられる
コロナ禍において「感染管理」という言葉が有名になりましたが、そもそも感染管理とはどのようなことを示すのか。
この3冊は、各医院での感染管理に対する取り組みにおいて、費用や時間など、どこに重きを置けば良いのかを学べるため、院内の感染管理を見直すすべての方におすすめです。
院内での感染管理見直しには多くの労力が必要となります。正しい知識を身に着け、優先順位を決めてから遂行することをおすすめします。
② 使用器材の利点、欠点、特徴がわかる
特に導入に費用がかかるものは、それぞれの利点、欠点、特徴を理解した上で購入しなくてはなりません。
『歯科用器材の再生処理』では、どのような考えに基づいて器材処理方法を決定するのかといった、初歩的な疑問からおさらいすることができます。
洗浄、消毒、滅菌で使用する洗剤や、消毒薬、機械についても詳細に説明されているため、選択すべきアイテムを知りたい方におすすめです。
また、『いますぐはじめる!やさしい感染管理』には、効果的な作業方法も掲載されていますので、院内に取り入れすぐに実践することが可能です。
さらに、これらを見直すことにより、現在実施している方法における時間や労力のムダに気が付けるかもしれません。
③ 外科処置の環境整備や器材処理を学びたい方
『歯科医院の感染管理 常識非常識』には、手術環境の清掃方法や器材準備など、手術までにやらなければいけないことが時系列に列挙されており分かりやすいです。
インプラント治療や移植治療など外科処置を伴う治療を行う医院は必見です。
また、手術前の口腔内消毒や口腔周囲皮膚の消毒方法、術中のポジショニングなども写真が掲載されており、視覚的に見ることができます。さらには術後の器具、器材処理方法も学ぶことができます。
④ 勉強会で活用できる
今回ご紹介させていただいた書籍は、どれも院内勉強会での活用におすすめします。
「感染管理」は患者さんの健康だけではなく、院内で働くスタッフの健康を守るためのものです。そのため、誰か一人だけが理解し実践するのではなく、医院全体で取り組まなければなりません。
「感染管理」を見直し徹底すると、かならず時間や費用と共に労力が必要になります。つまり、これまでよりもさまざまなことに手間暇がかかってしまうのです。
そのため、目的を見失ってしまうと物事を最後まで遂行することが困難になりなす。
歯科医師、歯科衛生士、歯科助手、受付の方々含めスタッフ全員で学ぶ際に活用し、知識、情報を共有されることをおすすめします。
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厚生労働省では昨春よりこれまでのクラスター防止対策としての3密(密閉・密接・密集)に加えて「人との接触を8割減らす、10のポイント」を公表しました。
(参照:「人との接触を8割減らす、10のポイント」を公表しました-厚生労働省)
院内の『感染管理』見直しだけではなく、自身の生活環境や院内の職場環境をも併せて再考する時期ではないでしょうか。
チーフ歯科衛生士のおすすめアイテム集
No1.予防歯科の教本『クリニカル カリオロジー』
No2.歯周治療の基礎を網羅『歯周病学』
No3.感染管理の基礎を学べる3冊