実録!訪問歯科の現場ってこんなところ vol.2 訪問歯科衛生士がかならず持参するもの

みなさん、こんにちは。歯科衛生士歴16年のYota Morisakiです。

現在は訪問歯科で働きはじめて、7年ほどになります。

訪問歯科では、訪問が必要な患者さんに対応するために、業務も一般歯科とは少し違う内容となっています。

本記事では、一般歯科にお勤めの方に向けて、一般歯科と訪問歯科の業務の違いについてお伝えできればと思います。

前回の記事はこちら

vol.1 業務内容とルール

今回は、訪問歯科で歯科衛生士が現場に持参するものについてお話ししたいと思います。

現場にかならず持参するもの

歯科衛生士である私は、患者さんの基本的な口腔ケアのみを行っているため、大量の器材が必要な歯科医師のチームとは持参するものが違います。

また、一人で訪問することが多いため、一人で持ち運べる必要最低限のものだけを持っていきます

私が訪問時にかならず持参するものは、以下の通りです。

  • グローブ
  • マスク
  • 紙コップ
  • エプロン&エプロンクリップ
  • ガーグルベース(紙コップを代用する場合もあります)
  • 紙トレー
  • ゴミ袋
  • 保湿ジェル
  • ライト
  • 滅菌水
  • うがい薬
  • ガーゼ
  • スポンジブラシ
  • ワセリン
  • 消毒用アルコール
  • ティッシュ

それぞれの主な用途についてご紹介します。

各アイテムの用途

グローブ

グローブはどの患者さんにも使用するものなので、箱ごと車に積んで常備しています。

自宅にグローブを置いてもらっている患者さんもいらっしゃいますが、持参したものを使い、一人の患者さんにつき二回以上は取り替えるようにしています

また、現場では、ちょっとした小物を荷物から取り出すなどの行為もすべて一人で行わなければいけません。そのため、グローブを変えるタイミングは一般歯科よりも多いかもしれません。

洗い物で洗面所へ行くためにドアを開ければいけない時などは、グローブの手の甲側でドアを開けるなどして対応することもあります。

マスク

マスクは通常の紙マスクと、フェイスシールドつきのマスクを使い分けています

訪問先の施設によっては「外で使っていたマスクは施設内で使わず、変えて入ってください」という指示を受けることもあります。

そのため、マスクもグローブと同様に箱ごと車に積んでいます。

紙コップ

コップはうがいの時だけでなく、歯ブラシを洗うための滅菌水を入れるなど、たくさん使用用途があります。

エプロン&エプロンクリップ

エプロンは一般歯科と同じものを使っています。タオルをたくさん持ち歩くことはできないため、エプロンがタオル代わりになることもあります。

エプロンクリップはカールコードが付いていると消毒に手間がかかるので、シンプルな事務用クリップで代用しています。

エプロンクリップはシンプルな事務用クリップで代用。

ガーグルベース(紙コップ)

うがいができる患者さんには、ガーグルベースの使用が望ましいです。

しかし訪問歯科では、消毒用の器材をたくさん持っていくのがむずかしいため、ガーグルベースを洗った後はアルコールスプレーをかけるという消毒方法になってしまいがちです。

使用したベースを他の患者さんに使い回すことがないよう、私はディスポーザブルの紙コップを代用しています。

紙トレー

トレーは金属製のものではなく、ディスポーザブルの紙トレーを使用しています。

ゴミ袋

スーパーなどで手に入る、普通のビニール袋を使っています。

保湿ジェル

患者さんによって好みがあるので、いくつか違う味やテクスチャのものを持ち歩いています。ジェルは販売もしており、患者さんによっては自宅に置かれていることもあります。

保湿ジェルは複数種類を用意。それぞれ味やテクスチャーが異なる。

ライト

基本的には太陽光や蛍光灯の光で口腔ケアを行いますが、手元が見えづらい時に取り出して使用するイメージです。

滅菌水

口腔ケアで使用した歯ブラシなどは、汚染するとその都度洗浄する必要があります。その際、滅菌水につけて洗い、拭き取って再度使用することを繰り返します

現場では口腔内に入っても問題がない滅菌水を、紙コップに入れて使用しています。

うがい薬

うがいにももちろん使用しますが、歯ブラシなどを洗う際にも重宝します。アルコールが入っていない製品の方が刺激が少ないため、私はネオステリングリーン®️を使っています。

ガーゼ

ブラッシング後のうがいをする前、口腔内を拭うために使用します。

ブラッシング後は口腔内に細菌が多く広がっている状態です。そのため、そのままうがいをしてしまうと、うがいの水を誤嚥した場合などに細菌が肺に入る恐れがあります

うがい自体も細菌を洗い流すために行いますが、その前にできるだけ汚れを拭き取っておくことで、より誤嚥性肺炎などのリスクを予防することができます。

スポンジブラシ

患者さんの口腔内を拭ったり、唾液を吸ったり、歯肉にたまった汚れを取ったりなど、大活躍します

使い捨てタイプのブラシ

ワセリン

乾燥により口角が切れてしまう方などに使います。

消毒用アルコール

手指や器具、器材の消毒に使用します。

ティッシュ

歯ブラシを拭き取ったり、患者さんの口周りを拭いたりするのに使用します。

患者さんの自宅に置いているもの

以下の清掃用具などは、患者さんの自宅に置いてもらうことが多いです。

  • 歯ブラシ
  • 歯間ブラシ
  • タフトブラシ
  • 舌ブラシ
  • バイトブロック

これらは訪問する度に交換するものではないため、洗面所などに置いてもらっています。

ピンセット・探針・ミラーについて

ピンセットや探針、ミラーはかならず使用するわけではないため、持ち歩いているものの取り出さないことも多いです。

患者さんに開口してもらえない時などは、金属製の器材の使用が危険なことも多く、とくに一人で診ているとそのリスクは高くなります。そのため、金属製のものを使用することは診療所からもあまり推奨されていません。

必要に応じて使うこともありますが、登場回数はそう多くないと思ってもらってよいでしょう。

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今回は訪問歯科の現場の実際として、患者さんの自宅へ訪問する際の持ち物についてお伝えしました。

ご興味をおもちの方は、ぜひ訪問歯科の世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。

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