コツを学んで心を掴む!明日からできるコミュニケーション術 第二回 相手に合わせた話し方を知ろう!

こんにちは。歯科衛生士の古家と申します。

この連載では、これまで私が学んできた知識や経験から、コミュニケーションについてお話ししていきたいと思います。

今回は「相手に合わせた話し方」について考えていきましょう!

前回の記事はこちら

第一回 まずは自分を整えよう!

“相手に合わせた話し方”とは?

前回の連載で、コミュニケーションとは「互いの考えや気持ち、価値観を伝え合うこと」であるとお伝えしました。

ただ言葉をそのまま伝えただけでは、なかなか相手にうまく伝わりません。では、自分の考えや気持ちがより良く相手に伝わるようにするには、どうしたらよいでしょうか?

ここで力になってくれるのが、「非言語コミュニケーションのもつ力」です。

たとえば、お子さんに話す時と大人の方に話す時では、自然と話し方を変えていませんか?

お子さんでもわかりやすいように説明する以外にも、お子さんの目線と合うように膝をついたり、優しい声を出したりといったように、何かしらの工夫されているかと思います。

これが、前回お伝えした「非言語コミュニケーション」です。

非言語コミュニケーションとは、表情や身振り手振りといった視覚情報、声のトーン、速さなど、聴覚情報を使い、言葉だけでは伝え切れない気持ちを表現するコミュニケーションのことです。

自分の気持ちをうまく相手に伝えるには、言語によるコミュニケーションと非言語コミュニケーションをバランス良く組み合わせることが重要です。

相手に合わせた話し方のポイント

では、具体的にどうしたらよいのでしょうか?ここからは、「相手に合わせた話し方のポイント」についてお伝えします。

  1. 「声色」を変える
  2.  話す「スピード」を意識する
  3.  話を聞く「姿勢」を整える

それぞれについて、見ていきましょう!

1.「声色」を変える

たとえば、電話で話す時には相手の顔を見ることができません。しかし、表情が見えなくても、相手の声を聞くだけで、その人が悲しんでいるのか、喜んでいるのかわかりますよね。

元気な声や落ち込んでいる声、涙声、弾んだ声など、声色だけでもたくさんの情報が伝わります

楽しさを表現したい時は「明るい声」、落ち着いて話すべき内容がある時は「はっきりした声」、相手の悲しみや痛みに共感する時は「少し沈んだ声」など、話す内容に合わせて声色を意識的に変えてみましょう。

テレビアニメのキャラクターや芸人さんなどの声を聞きながら、抑揚やメリハリを意識して練習してみるのもおすすめです。

2.話す「スピード」を意識する

あなたは人から「おっとりしている」といわれますか?それとも「せっかち」といわれますか?

実は、おっとりした人とせっかちな人は、話し方で見分けられるのです。

どのように判断するのかというと、それは「話すスピード」です。

おっとりした方は話すスピードがゆったりしていて、反対にせっかちな人はとてもスピーディーに話される方が多い傾向にあります。

相手の話すスピードに合わせて話すこと」も、相手とのコミュニケーションを円滑に進めるためには重要なポイントです。

たとえば感謝を伝える時や謝罪を伝える時にも、さらりと伝えるか、ゆっくり時間をかけて丁寧に伝えるかで、言葉の重さが変わって聞こえますよね。

伝えたい内容やその場の状況に応じて、どのスピードで話すのがより気持ちを効果的に伝えられるか考えてみましょう。

3.話を聞く「姿勢」を整える

「傾聴」という言葉をご存じですか?

これは「耳を傾けて注意深く相手の話を聴く」という意味です。

しっかりと耳を傾けるためには、姿勢を変える必要があります。相手の話に興味があるかどうかは、聞く時の姿勢からも読み取ることができるのです。

たとえば、聞き手が以下のような姿勢だったとしたら、どのように感じるでしょうか。

  • 視線だけでなく体ごと相手の方を向いて話を聞く
  • 身を乗り出すようにして話を聞く

話に興味があり、しっかりと耳を傾けて聞いてくれていることがよく伝わりますよね。

では、反対に、以下のような態度の場合はどうでしょうか?

  • 机に肘をついている
  • 椅子に仰け反るように座っている

こちらの話を聞いてくれていないのではないかと感じたり、退屈そうに見えたりするかと思います。

相手の話を聞く時には、ぜひ自分の姿勢にも意識を向けてみてくださいね。

年齢に合わせた話し方のポイント

ここまで相手に合わせた話し方についてお伝えしましたが、他にも意識したいポイントがあります。それは、「相手の年齢」です。相手の年齢によって、伝わりやすい表現方法は変わってきます

ここからは、お子さんや高齢者の方に向けて話す時のポイントについてお伝えします。

お子さんの場合

簡潔に伝える

ダラダラと長く話してしまうと、お子さんの集中力が切れてしまいます。あれもこれもと欲張らず、要点を絞って結論から先に伝えたり、言葉を区切ったりして、できるだけ簡潔に伝えてみましょう。

大きな声と小さな声を使い分ける

お子さんが話を聞いてくれない時や騒いでいる時には「小さく落ち着いた声」、楽しそうにしている時には自分も「弾んだ声」で話すなど、シチュエーションに合わせて声の大きさに抑揚をつけてみましょう。

お子さんの反応を見ながらポイントごとに声の大きさを変えたり、メリハリをつけたりすることで、お子さんの注意を自分に向けやすなります。

わかりやすく具体的な言葉で伝える

抽象的な声かけは大人でも分かりづらいことがありますが、言葉をまだしっかりと使えないお子さんの場合はなおさら伝わりづらいです。

「あっちに行こうね」「早くやろうね」といったような漠然とした声かけは理解してもらえない可能性があるため、できるだけ使わないようにしましょう。

また、「向こうで楽しいことをするよ!」「いち、にの、さん、でやってみよう!」といったように、具体的な言葉を使ってイメージを促すことで理解しやすくなります。言い方を少し工夫するだけで、ゲーム感覚で楽しみながら行えるようになるので、お子さんが喜びそうな声かけを考えてみてください。

高齢者の場合

人は二十歳を超えると、少しずつ耳の機能が衰えていきます。

そのため高齢者の場合は、以下のように聞こえ方が変わっていきます。これを「加齢性難聴」といいます。

  1.  高い音(周波数)が聞こえない
  2.  音全体がくぐもってハッキリと聞こえない
  3.  小さい音は聞こえにくく、大きい音はうるさく感じる
  4.  早口だと聞き取れない
    (耳の機能が低下することで音の情報が少なくなり、内容を認識するのに時間がかかるようになるため)

この特徴を踏まえて、以下のことを意識してみましょう!

  • 大声ではなく、少し大きめの声でゆっくり、はっきりと話す
  • 声のトーンを低くする
  • パ行、タ行、カ行、サ行を明確にはっきりと発音する
  • 言葉のはじまり(立ち上がり)に力を入れて話す

また、相手の正面に立ち、唇の動きを見せることも伝わりやすくするためのポイントです。可能であれば、飛沫対策を行った上で口元を見せてお話ししてみてくださいね。

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いかがでしたか?

今回はなかなかボリュームがあったので、「たくさんポイントがあって悩んでしまう!」という声が聞こえてきそうです。

しかし、いちばん大切なのは「相手と会話のキャッチボールをしようと意識すること」です。

相手が話しやすくなるような「笑顔」と、話を聞こうとする「心の傾聴」を忘れずに、ぜひ日々の診療に取り入れてみてくださいね。

コツを学んで心を掴む!明日からできるコミュニケーション術

第一回 まずは自分を整えよう!
第二回 相手に合わせた話し方を知ろう!