学会などが認定している認定歯科衛生士制度。
専門性の高い臨床を行ったり、多くの人の前で発表をしたりと、そのような姿に憧れている方も多いと思います。
dStyleでは、いろいろな学会の認定歯科衛生士をご紹介。
ベテランの方から復職した方、新人の方まで、みなさんとってもいい方なので、学会で会ったらぜひお声がけしてみてくださいね。
今回の認定資格FILE
PROFESSIONAL CAREER HISTORY1996年 2006年 2007年 |
DH PROFILE
歯科衛生士歴: 23年
ペリオ歴: 20年
認定歯科衛生士歴:12年
休職年数: 0年
Interview
20年前にインプラント治療で有名な菅井敏郎先生と出会ったことが、歯科衛生士の役割について見つめ直すきっかけになりました。
菅井先生は、アメリカでインプラントやサイナスリフトを学んで帰国され、開業後は、毎日完璧な状態でインプラント手術に取り組んでいました。それは、ご自身の体調管理や術前準備だけでなく、常にプロとして、学ぶ姿勢でいるということも含めてです。
その背中を見て、自分に厳しいプロとしての志を学びました。
当時の私は、定時で帰り、遊ぶことやお買い物のことしか考えていなかったので、それがすごく恥ずかしくなりました。そして、ただのお口のお掃除屋さんではいけないことを、卒後3年目にしてやっと気づくことができました。
その後菅井先生には、インプラント治療における術前術後の口腔管理の大切さを教えてもらい、私は、歯科衛生士にしかできない役割である歯周治療について学びはじめました。
それからは、もう歯周治療に夢中になりましたね。
当時は、まだ日本歯周病学会認定歯科衛生士を目指している人が少なく、情報があまりなかったんです。
そのため、学会に所属する歯科医師の先生に相談しながら資料作成を行いました。先生とのディスカッション時には、私の知識が足りず、ご迷惑をおかけしたのをよく覚えています。
また、パソコンを使った資料作りにも慣れていなかったため、建築士の主人に手伝ってもらいました。「手伝ったおかげで歯科用語を覚えちゃったよ」と、今では主人と私の間で笑い話になっています。
当時の職場はオフィス街にあり、仕事が忙しいことを理由に適切なセルフケアが行えず、歯周病を悪化させてしまう患者さんがたくさんいました。そのため、「患者さんに口腔内の健康の大切さをお伝えできていなかったんだな」と、歯科衛生士としての自分にがっかりすることもありましたね。
日頃から患者さんのデータをとり、口腔内写真を記録するクリニックだったので、もともと自分の症例を振り返る習慣はありましたが、認定資格を取得しようと考えてからは、約半年くらいパソコンと向き合いましたね。
認定資格の取得を目標とする勉強会では、写真の良し悪しや、デンタルX線写真の評価ポイント、症例の選び方、学会用語にあった表現の仕方などを教えてもらいました。
プレゼンテーションを作成する際は、そのような勉強会に参加することをおすすめします。歯科医師の目線ではなく、同じ歯科衛生士だからこそ気づくことがあると思うからです。
私は、認定資格を取得するまでの道のりに魅力を感じました。
日々の臨床の振り返りができ、調べて学んだことは自分の財産になります。また、目標が同じ他院の歯科衛生士の方々とも出会うことができるので、大切な仲間もできます。
資格取得後は、資格に恥じないような知識や技術を身につけようという気持ちが生まれ、さまざまなことに疑問を持ち、本を読み、調べるなど、学ぶ習慣が身につきました。
また、患者さんに対しては、より正しい情報を提供できるようになったと感じます。日本歯周病学会の認定歯科衛生士だという責任感を持ち、インプットだけではなく、アウトプットも適切に行えるようになりました。
わかる!できる!と思うことで、歯科衛生士としての仕事にやりがいが生まれ、臨床がさらに楽しくなったと思います。
勉強方法を教えてください
歯科衛生士向けの月刊誌を、毎月3冊購読しています。新しい情報を得られるだけでなく、さまざまな情報について振り返ることができるため、自分の得意不得意がわかるようになります。
そして、インプットをしたらアウトプットをすることも大切です。
現在、いくつかのクリニックでスタッフ研修を行っています。スタッフの方々からたくさんの質問がでるようになると、私自身もとても勉強になります。
私は、今までたくさんの方々に助けられて歯科衛生士を続けてこられました。
今後は、その恩返しができるように、感謝の気持ちを忘れずに進んでいきたいと思います。
大きくいえば、歯科界や頑張っている歯科衛生士のみなさんに。身近でいえば、各医院の院長やスタッフに。また、今までお世話になった歯科医院や院長に対しても、なにかできないかといつも考えています。
以前はわからなかったことも、今ではわかるようになったことがたくさんあります。勉強をすることで、歯科衛生士としてだけでなく、人としても成長できたと感じているため、「また一緒に働きたいよ」と、いろんな先生方に言ってもらえるよう、活躍していきたいと思います。
資格取得を最終目標にせず、そこまでにたどりつく過程を楽しんでほしいと思います。その過程の中で、勉強方法や情報を得る方法、患者さんへのアウトプットの方法など、多くのことが学べると思うからです。
そして、仲間との出会いも楽しんでください。私は、歯科衛生士人生をともに歩んでいける生涯の仲間ができました。
患者さんのセルフケアや私たちのプロフェッショナルケアを、個々に合わせて処方することが歯科衛生士の仕事です。その中で、自分自身の技術や知識をバージョンアップさせることは、患者さんへの当たり前の礼儀ではないかと思います。
これは、私が尊敬する、テキサス大学のMin先生にいただいた言葉です。
僕は、世界一のペリオドンティストになることが目標です。
それはアワードをとることでも資格を得ることでもない。自分と同じ志や知識、技術を持つデンティストを育てることが、真の世界一のペリオドンティストなのです。
資格は通過点に過ぎません。
資格を得た先になにができるかを考え、スペシャルハイジニストになってください!
私自身もまだまだ学びの途中なので、大切な仲間とともに、インプットやアウトプットを繰り返し行っていくことが、日本歯周病学会認定歯科衛生士の役割だと思っています。
わたしの診療スタイル
診療中はポジショニングや姿勢、ミラーテクニックなどの基本を大切に施術しています。ゴルフもフィニッシュの姿が綺麗だと上手に見えますよね。診療室に入ってきた患者さんに「凛とした姿だな」と感じてもらえるように意識しています。
また、歯科衛生士だからこそ構築できる患者さんとのつながりや、コミュニケーションも大切な歯科診療だと考えています。
次の来院までに患者さんの好きなことなどを調べておくと、「また話しにくるわね」と言ってもらえる機会が増えるので、そうやって居ごこちの良い空間を提供できるように心がけています。
当院の理念は、“生涯を通じてお口の美と健康を望まれる方のための歯科医院であること”です。「長期的に考えてベストの治療」を提供することを第一に、診療を行っております。
そのため、治療前には資料を揃えて、患者さんにご納得いただけるまで説明しますし、その日の治療が終わると、録画した治療内容をかならずお見せします。何をしているか、どこにポイントを置いて治療しているかなどを説明すると、みなさん感動し、驚かれてお帰りになります。
私たち歯科衛生士の仕事も患者さんにお見せできるので、プラークコントロールのモチベーションアップや、自分自身の気付きにつながり、勉強になります。
そういった環境を与えてくれた先生にも、選んでくださった患者さんにも、感謝でいっぱいです。
FAVORITE TOOL
日々の臨床で使用する大切なアイテムのため、シャープニングはマイクロスコープを見ながら行っています。
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