日本の歯科業界にはたくさんの資格制度が存在し、その代表格が歯科医師免許・歯科衛生士免許・歯科技工士免許です。
これらの資格は「国家資格」といって、国で認められている認定制度です。しかしその他にも、「協会認定資格」「学会認定資格」など、自身のスキルアップのための資格がたくさん制定されています。
今回はたくさんある資格のうち、とくに「⽇本臨床⻭周病学会指導⻭科衛⽣⼠」について、徹底解説しますよ!
1.⽇本臨床⻭周病学会指導⻭科衛⽣⼠とは?
2.⽇本臨床⻭周病学会指導⻭科衛⽣⼠の業務
3.認定資格の申請に必要な条件
4.資格のとりかた・費用について
5.⽇本臨床⻭周病学会指導⻭科衛⽣⼠の働き方(coming soon)
1.⽇本臨床⻭周病学会指導⻭科衛⽣⼠とは?
⽇本臨床⻭周病学会指導⻭科衛⽣⼠とは、特定非営利活動法人日本臨床歯周病学会が設けている『学会認定資格』です。
歯科衛生士および認定歯科衛生士の教育や指導、育成を行い、臨床歯周病学の発展と向上を図ることを目的に制定された、歯科衛生士の認定制度です。
2.⽇本臨床⻭周病学会指導⻭科衛⽣⼠の業務
主に、歯周病の予防と治療のための専門的知識と技術を有する臨床歯科衛生士の育成を任されます。
歯周病とは、30歳以上の成人の約30%以上が罹患しており、歯を失う原因の第一位(37%)となっている病気*1です。
優れた技術と知識を有する臨床歯科衛生士を育成することで、国民の健康管理・地域医療に貢献することを目指します。
また、⽇本臨床歯周病学会が主催するContinuing Education course(CEC)のインストラクターになるためは、本資格を有していることが望ましいとされています。
3.認定資格の申請に必要な条件
認定資格の申請には、以下の条件を満たしている必要があります。
- 本会認定歯科衛生士
- 通算8年以上歯周治療に携わった者およびこれと同等以上の経験を有すると認められた者
- 認定歯科衛生士認定後継続して5年以上の学会会員である者
- 年次大会・支部教育研修会への参加が3年間で3回以上である者
- 日本臨床歯周病学会指導医もしくは日本臨床歯周病学会会員の歯周病専門医による推薦書
- 教育研修単位が50単位以上ある者
(特定非営利活動法人日本臨床歯周病学会指導歯科衛生士制度規則より抜粋)
教育研修単位は、日本臨床歯周病学会の正会員の歯科医師のもとで勤務することや、毎年開催される年次大会や支部教育研修会の演者となったり、学校歯科検診や保健センターなどの地域歯科医療に参加したりすることでも取得が可能です。
教育研修単位の詳細はこちら
4.資格のとりかた・費用について
上記の申請条件を満たせば、認定資格取得に必要な、書類審査を受けることができます。
また、申請時には申請料として10,000円、合格発表後には指導歯科衛生士登録料として10,000円を事務局に支払う必要があります。
書類審査
書類審査で提出する症例に関しては、6ヶ月以上のメインテナンスまたはSPTまで進んでいる歯周病患者の症例を提出する必要があります。
初診時から、メインテナンスまたはSPTまでの期間を通して担当した、中等度以上の慢性歯周炎もしくは侵襲性歯周炎、および特殊な歯肉炎患者を5症例提示しなくてはなりません。
治療途中やメインテナンスから引き継いだ症例については認められないため注意が必要です。
提出する書類は、以下の通りです。
- 日本臨床歯周病学会指導歯科衛生士資格審査表
- 履歴書
- 歯科衛生士免許証の写し
- 本会指導医または専門医一名の推薦書
- 本会指導医または専門医一名の検印を受けた治療に関する資料
(①指導歯科衛生士申請患者一覧表、②メインテナンスまでの治療を行った5名の患者に関する資料) - 5症例の口腔内写真とX線写真のデジタルデータ
- 5症例のポケット診査表
- 郵便振替払込金受領証のコピー
症例については、日本臨床歯周病学会が主催する年次大会や支部教育研修会で発表や講演を行うことで、最大4症例まで免除される制度があります。
(参考:特定非営利活動法人日本臨床歯周病学会 指導歯科衛生士審査施行細則)
申請についての詳細はこちら
資格の更新について
指導歯科衛生士資格の有効期間は5年間とされています。
更新には、更新には、認定期間中に規定する研修会への出席を50単位以上、また、学会や年次大会で演者や座長を務めることによって得られる単位を10単位以上取得する必要があります。
年次大会には、かならず一回以上参加しなければいけません。
また、更新時には以下の書類を用意し、更新手数料として10,000円を事務局に支払います。
- 更新手数料の受領証のコピー
- 指導歯科衛生士更新申請書
- 指導歯科衛生士生涯研修記録簿
更新単位の詳細はこちら
参考文献:
*1 歯周病を知っていますか?-日本歯周病学会
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近年ますます注目を集め、需要も高まっている予防歯科。歯周病の予防と治療について優れた技術と知識を有する⽇本臨床⻭周病学会指導⻭科衛⽣⼠は、これからの歯科医療において欠かせない存在です。
日々の診療のスキルアップとして、自信にもつながる資格なのではないでしょうか?まずはセミナーや講習会を受けたり、受講生の声を直に聞いてみたりするのもいいかもしれませんね。
応援しています!