スカンジナビアンアプローチを学ぼう！Dr.弘岡に訊く、臨床的ペリオ講座レポート

WHITE CROSS Liveでは8月11日（木）〜11月30日（水）までの期間、弘岡秀明先生による『スカンジナビアンアプローチの実際』シリーズのセミナー動画を配信しています。

こちらのセミナーは2020年10月29日に配信されたペリオコース。当時から再配信を希望する声が非常に多く、受講者からの人気が高いセミナーでした。

そして今回満を持して、以下の全8回にわたる豪華なラインナップで再配信が実現！

今回は、第1回歯周病学総論のセミナー内容をレポートします。

歯科衛生士が歯周組織の生物学を学ぶべき理由とは？

はじめに弘岡先生は、重度歯周炎やインプラント周囲炎の症例や、歯科衛生士におすすめの書籍を多数紹介しています。

国内外における学会や海外の歯科雑誌についても解説しているので、学会に参加する意義なども知ることができますよ。

そして今回の本題である「歯周組織の生物学」についての講義がスタート。まず弘岡先生は、歯周組織の生物学について学ぶ理由を、以下のように述べています。

臨床的な歯周病学の理論的根拠や歯周組織の生物学を知らなければ、その病因論もわからない。すると治療目標にも達しない。そのためまず勉強しなければいけないのは、歯周組織そのものである。

はじめに健康で正常な歯周組織の口腔内所見やX線所見を説明し、歯周組織はどのように発生、発達するかといった解剖学について解説。

加えて、大臼歯によく見られるエナメルパールへの対応や、エムドゲイン®︎の作用メカニズム、エムドゲイン®︎を応用した症例を紹介。弘岡先生は、エムドゲイン®︎を使用すると軟組織の治癒も早いといいます。

セミナーでは、術後20年経過後も歯周組織が安定している症例が紹介され、エムドゲイン®︎の有用性を強く感じさせられました。

続けて弘岡先生は、歯周組織とインプラント周囲組織の違いについても言及。歯肉や口腔粘膜の特徴を詳しく説明し、付着歯肉や歯肉歯槽粘膜境に関する論文を多数紹介しています。

隣接面から歯周病が起こりやすい理由の一つとして挙げられる「コル（Col）」に関する解説は、歯周治療に携わる方ならかならず知っておきたい内容です！

また、生物学的幅径についての解説の中では、「クラウンレングスニング後の生物学的幅径の安定には少なくとも6ヶ月かかる」といい、実際に術後6ヶ月待ってから補綴物を装着した症例を紹介。術後10年を経過しても安定している様子が紹介されています。

弘岡先生は最後に、「私たちは歯や歯周組織、またはインプラント周囲組織の状態を近遠心的に見ることに慣れ過ぎてしまっている。そのため、今後はもっと頬舌的なことも考えながら治療にあたる必要がある。」と話し、このセクションを締めくくりました。

続いては、広汎型慢性歯周炎ステージⅣグレードCの症例に対し、実際に行ったアプローチを紹介。
（参照：歯周病の新分類への対応-日本歯周病学会）

まず論文をもとにSRPの臨床的効果について説明し、麻酔下のSRPだけで楔状の骨欠損がほぼ消失した症例を見ることができました。

初診からSPT期間にいたるまでの治療紹介においては、動的治療の一つであるブリッジの印象について取り上げ、補綴物のマージンをどこに設定するべきかを解説しています。

その後は歯周治療における目標や、論文で推奨されているブラッシング方法を紹介。SPT期間におけるセルフケアやメインテナンスの重要性など、歯科衛生士にとって知っておきたい情報が満載でした！

弘岡先生は論文を読む時のポイントとして、「確かにシステマティックレビューの論文は良いものであるが、治療内容についてまでは言及されていない。そのため、一つの論文を深く読むことも大切。」と伝えています。

今回弘岡先生が紹介した症例の患者さんは、治療終了後も25年メインテナンスに通い続けているとのこと。動的治療をやり直すことなく、安定した状態を保っているといいます。

予防大国、スカンジナビアンアプローチの偉大さを強く感じられる症例でした。

＊＊＊

弘岡先生の『スカンジナビアンアプローチの実際』シリーズのセミナーは全部で8回！

シリーズすべての動画を見ることで歯周治療に対する理解がグッと深まりますが、気になる内容だけを単回で視聴することももちろん可能です。

そしてなんとすべてのセミナーにおいて、講演時間は約120分！各回とも非常に充実した内容で、視聴後の満足度は高いこと間違いなしです。

本格的な歯周治療をはじめたばかりの方だけでなく、長年歯周治療に携わってきた方にもぜひおすすめしたいセミナーです♪