チェアサイドの栄養指導 はじめの一歩 第6回 意外と知らないコラーゲンの基礎知識

みなさんこんにちは!歯科衛生士の山本典子です。

今回は、「コラーゲンサプリメントって効くの?」という疑問について解説したいと思います。

コラーゲンサプリメントは昔から販売されており、その形態もパウダー状のものやドリンク状のものなど多岐にわたります。

女性の方であれば、「美容に良さそう」と期待して使ったことのある人も多いのではないでしょうか。

そもそもコラーゲンとは?

厚生労働省によると、「コラーゲンとは、皮膚や腱、軟骨などを構成する繊維状のタンパク質で、人体のタンパク質の30%を占めており、ゼラチンの原料としても知られる」とあります。

つまり、コラーゲンはタンパク質なのです。タンパク質はアミノ酸が繋がってできていますが、このアミノ酸が3本のらせん状に寄り集まって構成されているのがコラーゲンです。

ちょうど、私たちが普段使っているデンタルフロスをイメージするとわかりやすいかもしれません。デンタルフロスのように、コラーゲンも細い糸が集まって一本の強い糸になっていると思ってください。

コラーゲンの主な役割

コラーゲンは、細胞と細胞の間を繋ぎ合わせる接着剤のような役割をしており、皮膚や腱、骨などに柔軟性や強度を与えています。

こうして考えると、コラーゲンは皮膚だけでなく、歯や歯肉にも大きな影響があり重要なことがわかりますね。

ちなみに、タンパク質は、英語で「protein(プロテイン)」といいますが、これはギリシャ語の「第一の」「もっとも大切な」という意味をもつ「prōteîos(プロテイオス)」が語源といわれています。

コラーゲンはリサイクルして作られる!?

大切なタンパク質が不足しないよう、私たちの体にはタンパク質をリサイクルする働きが備えられています。

私たちの体は、1日に約250gのタンパク質を必要としていますが、実は、そのうちの約70%はリサイクルで補っています

そうすると、「1日のうち50g程度を摂取すればよいのでは?」と思うかもしれませんが、リサイクルされているのは古いタンパク質なので注意が必要です。古いタンパク質は劣化しているので、これから作られるコラーゲンが弱いコラーゲンになってしまうのです。

これは、たとえば肌なら「シワ」の原因になりますし、腱なら「怪我」の原因になってしまいます。これらを防ぐためにも、できるだけ新鮮なタンパク質を補給していく必要があります

コラーゲンを摂取する方法

① コラーゲンを多く含む食材を食べる

コラーゲンを多く含む食材は、肉類では、鶏手羽先や牛スジ、豚白モツ、魚介類では、鮭(皮あり)やフカヒレ、うなぎなどがあります。

よく、魚や肉を煮たり焼いたりしたあとに冷やすと、汁の部分がプルプルしていることがあるかと思います。これは「にこごり」といって、立派なコラーゲンなので、煮汁もしっかりいただきたいですね。

② コラーゲンサプリメントを摂取する

サプリメントには、主に魚由来のコラーゲンが使われています。中には人間のコラーゲンに近い構造をしている豚由来などのコラーゲンもありますが、魚由来のものの方がアミノ酸に分解されやすく、体に吸収されやすいので、こちらがおすすめです。

以前は、コラーゲンサプリメントは分子が大きく消化・吸収されにくいため、摂取しても意味がないといわれていました。しかし現在は研究と技術が発達し、消化吸収されやすい「コラーゲンペプチド」という低分子化された形で販売されています。

ですから、コラーゲンサプリメントは「ペプチド化」されたものならば、効果が期待できるといえるでしょう。

コラーゲン

コラーゲンの合成を高める「ジペプチド」構造

タンパク質は、分解されるとアミノ酸になります。このアミノ酸が集まったものがペプチドです。

この中でも大事なものが「プロリン」「ヒドロキシプロリン」というアミノ酸で、この2つが繋がった「ジペプチド」は、体内でコラーゲンの合成に大きな役割を果たしています。

実は、このジペプチドが増えると体内の線維芽細胞が活発化します。線維芽とはコラーゲンのことなので、ジペプチドを摂るとコラーゲンの合成が高まるということです。

ドリンクタイプのサプリメントは糖質量に要注意!

コラーゲンサプリメントを摂取されている方の中には、ドリンクタイプのものを愛用している方もいるかもしれません。

ドリンクタイプは甘くて飲みやすく、カプセルタイプよりも吸収が良さそうに感じるかもしれませんが、コラーゲン特有の匂いを消すために香料や糖質がたくさん使われている場合があります。

糖質は体の糖化の原因となり、肌だけでなく歯肉や骨、血管なども脆くさせてしまいますから、せっかく健康のためにコラーゲンを摂取しても効果半減です。

ドリンクタイプにかかわらず、サプリメントを使用する場合は成分表に記載されている「糖質量」もチェックするようにしましょう

不足しがちなコラーゲンを積極的に摂取しよう!

私たちの体は日々アミノ酸からコラーゲンを合成していますが、年齢を重ねていくとその合成能力が低下していきます。

ですから、普段の食事からもアミノ酸のもととなるタンパク質の多い食材を積極的に摂取したいですね

また、コラーゲンの合成時には「ビタミンC」と「」も必要になるので、こちらも積極的に摂取すると良いでしょう。

参考文献:eヘルスネット「コラーゲン」-厚生労働省

チェアサイドの栄養指導 はじめの一歩

第1回 歯を守るための栄養指導
第2回 口腔内を診るときのポイント
第3回 口腔内症状と栄養素の関連性
第4回 サプリメントを効果的に使用するには?
第5回 なぜ口腔ケアに乳酸菌?
第6回 意外と知らないコラーゲンの基礎知識