dStyleではじめるインプラント基礎講座 第4回 インプラント治療全体の流れ

こんにちは!歯科医師の遠藤眞次です。

インプラント治療に関するあなたのモヤモヤを解消する、dStyleではじめるインプラント基礎講座。第4回は「インプラント治療全体の流れと手術方法」についてお話しします。

前回までの記事はこちら

第1回 インプラント治療への第一歩
第2回 インプラントの構造と仕組み
第3回 インプラントの固定方法とメリット・デメリット

[目次]

1.インプラント治療全体の流れ

2.インプラント体埋入手術

3.1回法と2回法の違い
① 1回法の特徴
② 2回法の特徴

インプラント体埋入手術では、術前のシミュレーションにもとづいて、埋入予定部位の歯肉を切開・剥離します。骨の状態を確認し、インプラント埋入予定部位に埋入窩を形成します。

埋入窩の形成は各メーカーの専用のドリルを使います。また、ドリルで埋入窩を形成することを「ドリリング」といいます。

ドリリングが完了したら、インプラント体を埋入していきます。予定した位置までインプラント体を埋入できたら、カバースクリューなどでインプラント体を封鎖します。

カバースクリューは各メーカーで呼称が異なり、「封鎖スクリュー」や「ヒーリングキャップ」、「ヒーリングアバットメント」とよばれることもあります。ストローマンでは、高さが低いものは封鎖スクリューとよばれ、高いものはヒーリングアバットメントとよばれます。

カバースクリューをインプラント体に締結したのち、インプラント体周囲に骨欠損がある場合は骨造成を行い、歯肉を縫合します

骨造成が必要ないケースでは、浸潤麻酔から縫合までの行程が30分以内に終わることも少なくありません。

スムーズな手術を行うためには、術前の機材準備と治療手順の理解が大切です。わからないことは手術が始まる前に担当医に確認しておくとよいでしょう。

1回法と2回法の違い

インプラント体の埋入術式には1回法と2回法があります。

1回法と2回法の縫合後の状態の比較
1回法と2回法の縫合後の状態の比較

1回法の特徴

1回法で必要な手術は、「インプラント体埋入手術のみ」です。主に骨造成が必要ない、単純なケースで用いられます。手術回数が1回だけなので、患者さんの手術侵襲が減ることが大きなメリットです。

一方で、手術直後からヒーリングアバットメントが口腔内に露出するため、咀嚼中に食べ物が当たってインプラント体に負担がかかったり、感染のリスクが増加したりするデメリットがあります。*1

2回法の特徴

2回法では、インプラント体埋入手術だけでなく「二次手術」が必要です。骨造成を行うケースや感染のリスクが高いケースなどでは、2回法が用いられます。

インプラント体埋入手術後に、一度インプラント体は歯肉の下に完全に隠れます。歯肉の下でインプラント体がオッセオインテグレーションを獲得するのを待ち、二次手術を行います。

二次手術では歯肉を切開・剥離し、カバースクリューをヒーリングアバットメントに交換します。二次手術を行うことで、1回法のインプラント体埋入後の状態と同じになります。

1回法と比べて感染リスクは少ないですが、手術が2回必要なことがデメリットです。二次手術の実際の手順は動画をご覧ください。

二次手術の実際の手順(0:23〜)

歯科インプラント埋入手術二次手術の手順(引用:公益社団法人日本口腔インプラント学会公式YouTubeチャンネル*2

まだまだ続きます!

今回はインプラント治療の全体の流れと手術方法について解説しました。

次回は「インプラントのシミュレーションと印象採得」です。

どのようにしてインプラントの埋入部位を決定したり印象をとったりするのか、動画も含めて解説します。お楽しみに!

参考文献:
*1 公益社団法人日本口腔インプラント学会. 口腔インプラント学学術用語集 第4版.医歯薬出版. 2020; p7.
*2 公益社団法人日本口腔インプラント学会. 口腔インプラント学実習書動画. 03歯科インプラント埋入手術二次手術の手順.

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第1回 インプラント治療への第一歩
第2回 インプラントの構造と仕組み
第3回 インプラントの固定方法とメリット・デメリット
第4回 インプラント治療の流れと手術方法