歯科助手ってどんな仕事?【2023年版】

歯科助手は、歯科医師や歯科衛生士のように国家資格はありませんが、資格や経験がなくても医療に貢献できるお仕事です。

専門学校を卒業して資格を取る必要がないので、誰でも歯科助手として働けるチャンスがあります。

この記事では、歯科助手の仕事内容や、歯科衛生士との違い、やりがいやキャリアアップまで、詳しく紹介していきます!

*この記事は2023年7月26日に更新しました

[目次]

1.歯科助手の仕事内容は?
2.歯科助手と歯科衛生士、どう違うの?
3.歯科助手としてのやりがいって?
4.歯科助手になるためにはどうすればいいの?
5.歯科助手の給料
6.歯科助手として働ける場所は?
7.歯科助手に向いている人は?
8.やりがいを見つけられないときは?
9.歯科助手のキャリアアップ

1.歯科助手の仕事内容は?

歯科助手の仕事は、医療行為を除く診療アシスタントや雑務、受付業務などが中心です。歯科医院のスムーズな診療におけるサポート役として欠かせない存在です。

他にも、一般的な受付業務に加えて、患者さんの話を聞く専門カウンセラーのような仕事(トリートメントコーディネーター)や、歯科医院の裏方としての経理や事務作業など多岐にわたります。中には、受付専門で勤務している方や、事務作業のみを専門で行う方もいます。
(参考:トリートメントコーディネーターってどんな資格?

では、歯科助手の仕事内容はどんなものなのか、具体的にご紹介します。

ただ、歯科助手は歯科衛生士のように職務内容が定められているわけではないため、勤務するクリニックによって仕事内容が大きく異なるということを覚えておいてくださいね。

歯科助手ってどんな仕事?歯科助手の仕事内容

診療アシスタント

歯科助手は、治療を行う歯科医師のすぐ横で、診療がスムーズに進むようにアシスタントすることが主な仕事内容です。

アシスタント業務には、患者さんの口腔内にたまった水や唾液を吸う「バキューム操作」、被せ物をつけるための接着剤を練る「セメントの練和」、型取りするための粘土を練る「印象材の練和」など、さまざまな業務があります。

また、歯科助手が患者さんを診療室まで誘導したり、症状を伺ったりする歯科医院もあります。治療が終われば、使用後の器具の片付けなども行います。

その他、歯科衛生士が基礎歯周検査を行っている横で検査結果の入力を行うこともあります。診察室では、歯科医師や歯科衛生士が業務をスムーズに進められるよう、先回りしてサポートします。

歯科医院では、多くの専門用語や略語が飛び交うため、まずは「この言葉は何を指しているのか」「この器具はどうよばれているか」ということを覚える必要があります。また、同じ材料や器具でも、勤務する歯科医院によって呼び方が違うことは多々あるので、勤務する歯科医院に合わせた表現表現をします。

それぞれの治療の目的や、先生の治療方針を理解していなければ、適切なアシスタントはできません。わからないことやできなかったことがある場合は、積極的に質問や相談をするようにしましょう。

姉妹サイト「WHITE CROSS」では、初めて歯科業界で働く方や、復職したばかりで歯科助手の仕事に不安がある方などのために、習熟度をはかる簡単なテストを用意しています。

まずはそこから少しずつはじめてみてもよいかもしれません。

WHITE CROSS「アシスタント教育」へ
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受付・会計業務

診療アシスタントと受付スタッフを分けて配置している歯科医院もありますが、歯科助手と受付を兼任で雇用している場合もあります。

受付は患者さんをいちばん最初に迎える場所にあります。「受付は医院の顔」といわれるほど、来院する方の印象に残る重要なポジションです。ここでは歯科助手が主体となり、仕事を進めていきます。

受付では、予約管理や会計業務、カルテ管理などの雑務も行います。また、処方箋やレセプト(診療報酬明細書)も扱うため、スピーディーでありながら正確な作業が求められます。

レセプトの作成

歯科医院によっては、歯科助手が「診療報酬明細書(レセプト)」を作成します。患者負担分以外の医療費を市町村や各保険会社へ請求するためです。

レセプト業務は専門的な知識が必要なため、有資格者が行うこともあります。しかし最近では、電子カルテの導入が増えたことから、以前に比べ請求が楽になったため、歯科助手が担当する歯科医院が多くなっています。

診療室の整備

歯科医院では清潔さが求められるため、患者さんに使用した器具については、その都度洗浄し、消毒または滅菌を行います。それぞれの工程に意味があり、正しい処理を行わなければ、院内感染という大きな医療事故に繋がります。

それぞれの歯科医院ごとに処理方法が定められているので、間違いのないよう的確に覚えましょう。

歯科助手の中には、器具の処理方法や感染予防について詳しく学び、「滅菌技師(士)」などの資格を取得する方もいます。知識を深めたい方にはおすすめの資格です。
(参照:滅菌技師(士)ってどんな資格?

在庫管理

診療中に使い切ってしまった材料や使えなくなった器具は、医院で決められたディーラーに発注します。材料や器具によって発注先が異なるため、まずは発注先を確認する必要があります。

また、ひとつずつ発注するものもあれば、いくつかまとめて発注するものや、セットで発注するものもあります。初めて発注するものについては、かならず先輩スタッフに相談してから行いましょう。

その他

歯科助手の仕事内容は歯科医院によってさまざまです。季節ごとに待合室の飾りつけを行ったり、お母さんが治療している間にお子さんの相手をしてあげたりすることもあります。

歯科医院で販売している物品のPOPや、患者さん向けのポスター作りといった、歯科医院だけでなく患者さんのためにもなるような仕事を行うと、多くの人から感謝されます。良いアイデアが思いついたときは、自分なりに提案してみても良いかもしれません。

歯科助手の仕事内容の一つが受付・会計業務

2.歯科助手と歯科衛生士、どう違うの?

歯科助手は「デンタルアシスタント(Dental Assistant、DA)」とよばれているのに対し、歯科衛生士は「デンタルハイジニスト(Dental Hygienist、DH)」とよばれています。歯科助手と歯科衛生士の大きな違いは、国家資格をもっているかどうかです。

歯科衛生士は、一般的に3年もしくは4年間、歯科衛生士養成課程が設置された教育機関(いわゆる歯科衛生士学校)に通う必要があります。歯科衛生士学校を卒業し、国家試験に合格することで「歯科衛生士」という国家資格が与えられます。
(参照:歯科衛生士ってどんな仕事?

仕事内容の違いは、大きく分けると医療行為ができるかどうか。歯科衛生士は専用のブラシや器具を使って患者さんの口腔内のお掃除ができるのに対し、歯科助手は患者さんの口腔内に触れることはできません。

アシスタント業務については、訓練さえすれば資格がなくてもできるため、歯科衛生士・歯科助手のどちらでもできるお仕事内容のひとつです。

歯科助手と歯科衛生士のちがい

3.歯科助手としてのやりがいって?

クリニックで働いているのに、医療行為ができないとなると「なんとなくつまらなさそう」「雑用係なのでは?」と感じる方も多くいるでしょう。

しかし、歯科助手は医療行為こそできないものの、歯科クリニック内ではとても大事なポジションにいるのです。

術者と患者さんの架け橋になれる

先ほどもお伝えしたように、歯科助手は診療アシスタントと受付業務をこなすことがあります。診療がはじまる前に、患者さんの体調をお伺いしたり、緊張をほぐしリラックスして治療に臨めるような環境を整えたりと、患者さんにいちばん近いポジションでもあります。

また、「先生の説明がよく分からなかった」「先生に聞くタイミングがなくて…..」といった診療室での不安や不満を、歯科助手や受付には話してくれることも。

そういった患者さんの声をしっかりとキャッチし、歯科医師や歯科衛生士に伝えることで、より質の高い治療を提供できるようになります。

スタッフと患者さんから「ありがとう」が聞ける

歯科治療は子どもから大人まで、年齢に関わらず苦手意識を持っている方が多いです。不安な気持ちを感じながら来院する患者さんが大勢います。

そんな患者さんたちの不安を解消して無事に診療を終えると、「安心できた」「ありがとう」などの感謝の言葉を聞くことができます。

また、歯科医師や歯科衛生士の仕事を先読みして準備をしておくことで、信頼を得られたり頼られたりすることにもやりがいを感じられます。

4.歯科助手になるにはどうすればいいの?

歯科助手になるために必要な資格は、とくにありません。求人情報を見て、面接を受け、採用されれば、あなたも「歯科助手」です!

歯科助手として働いている方の中には、高校生のときからアルバイトをして、高校卒業後は正社員としてそのまま働き続ける方もいれば、社会人になってから、まったく別の職業から転職する方もいます。

多くの方がはじめは未経験者ですが、歯科助手資格を取得できる学科を設けている高校や、専門学校もあります。
(参考:学校法人大淀学園 鵬翔高等学校 くらしの科学科 医療歯科コース

歯科助手資格を取得できる学校では、医療事務やパソコン技能検定、秘書技能検定といった資格を取得できる学校もあり、卒業後は幅広い活躍が見込まれます。

歯科医院で行われる診療内容をひと通り覚えれば、ほかの歯科医院でも働けるところも魅力のひとつです。さまざまな事情で引越しをすることになっても、歯科医院は全国各地にあるため、比較的転職しやすい職種といえるかもしれません。

中には、歯科助手になってから歯科衛生士という職業を知り、働きながら歯科衛生士学校に通う方もたくさんいます。

歯科助手としての誇りをもって働いている方や、キャリアアップのためにさまざまな資格にチャレンジする方、また歯科衛生士を目指す方など、さまざまな可能性にあふれる職業です!

4.歯科助手になるにはどうすればいいの?

5.歯科助手の給料

歯科求人・転職サイト「デンタルスタイル」に掲載された求人を見ると、歯科助手の平均的な年収は、およそ224〜292万円、平均月収は18.7〜24.3万円です。
(参照:歯科助手の給料はどのくらい?全国平均や他の職業との比較も紹介!

一般企業に勤める30代前半の女性の平均年収は315万円ですが、長く勤務することで昇給のチャンスが増えます。

また、歯科医院は全国各地に存在するため、引っ越し先でもすぐに歯科助手として勤務しやすく、パートタイムでの勤務や週数回の勤務も可能なため、女性にとっては働きやすい環境であるといえるでしょう。

6.歯科助手として働ける場所は?

主な勤務先は歯科医院です。歯科医療現場は専門用語が多く覚えるまでが大変なので、一度歯科助手として働いた経験は、再就職やいざというときの転職の際に、とても重宝されます。

全国の歯科助手の数は把握できていませんが、歯科医院の数は全国で約68,000軒あるとされ、歯科助手の求人もたえず掲載されています。今後も歯科医院がなくなることはないため、今後も安定した収入と求人が見込めます。

7.歯科助手に向いている人は?

歯科医院は“医療施設”ですので、ある程度の身なりの清潔さは必要です。そして歯科医師や歯科衛生士が診療しやすいようにサポートする能力が求められます。

歯科医院によっては、歯科医師や歯科衛生士よりも患者さんと長くお話する機会があることも。そのため、人と話すことが好きで、上手にコミュニケーションがとれる方にはとくに向いている職業です。

また、歯科医院は、健康であっても定期的に通う、唯一の医療施設(診療科)です。

定期的に通っている患者さんの名前や顔を覚えて声かけをすれば、患者さんが通いやすく、居心地が良いと感じてもらえる歯科医院になるのではないでしょうか。

歯科助手に向いている人は?

8.やりがいを見つけられないときは?

実際に歯科助手として働いているけれど、なかなかやりがいを見つけれず、なんとなく働いている方もいるかもしれません。

「毎日の仕事がルーティン化してつまらない」「患者さんのクレーム対応が大変」などの悩みを解消するためには、どのようにすればよいでしょうか?

お手伝いではないと意識する

歯科助手の主な仕事は診療室でのサポートですが、自分は単なる「お手伝い」ではないと意識してみましょう。

患者さんの声にしっかりと耳を傾け、歯科医師や歯科衛生士に伝達し、一緒に治療に取り組むメンバーだと意識してみると、見え方が変わるかもしれません。

知識を増やしてみる

歯科助手でも専門的な知識を増やすと、「なぜ痛みがあるのか」「なぜこの処置をしているのか」などが少しずつ理解できるようになります。

診療内容が理解できるようになると、よく分からないまま業務をすることが減ったり、ミスを未然に防げるようになったりと、毎日の診療がより充実したものになります。

9.歯科助手のキャリアアップ

歯科助手として働く方の中には、歯科医院の事務長や歯科関連企業など、歯科医院勤務時の知識を活かせる職種に転職する方もいます。

資格がなくてもはじめられるお仕事ですが、歯科助手が取得できる認定資格や歯科助手専門のスクールもあります。スキルアップや自信にも繋がるので、ぜひチェックしてみてください!

歯科助手が取得できる資格はこちら
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