口腔周囲筋ケアとは、歯科衛生士としてお口のトータルケアを行うために、歯科衛生士とエステティシャンの資格を持つ高見澤亜衣さんが編み出されたものです。
食いしばりのある患者さんや顎関節症の方に対して、包括的にケアしたいという思いから、3年前に口腔周囲筋ケアのグループセミナーを受講。それを皮切りに、さまざまなセミナーに参加しました。
(参照:歯科衛生士業務にプラスアルファ!口腔周囲筋ケアについて知るセミナーが開催)
- 山梨プレゼン大会
- プライベートレッスン
- 認定試験
- オンラインセミナー
- 気づきからの発展
今回は、プライベートレッスンのレポートをお伝えします。
プライベートレッスンを受けたきっかけ
高見澤さんの口腔周囲筋ケアセミナーをグループ受講したことは、私のターニングポイントでした。
長い間、歯ぎしりをしてきた私が、口腔周囲筋を触られたときの衝撃。肩が凝った時にマッサージを受けると痛みを伴う心地良さを感じるのと同じような感覚を得ました。
翌日、歯科医師である夫の口の周りの筋肉を触らせてもらいました。歯ぎしりと口腔周囲の筋肉に関連があることを伝え、患者さんの筋肉を触らせてほしいと伝えました。
スタッフの口も借りました。人によって異なる感触と口腔所見との関係を、必死にメモして探ります。
今まで力という観点から口腔内を見たことがありませんでしたが、これを機に見方が変わりました。
歯だけではなく粘膜を観ます。舌もじっくり見ます。さらに歯肉の状態と咬耗の関係やポケットが局所的に深い場所などをじっくりと観察。その原因がそもそもなんであるかを紐解いていくようになりました。
過去にどんな生活習慣があったかをお聞きし、そこから現在の口腔内をチェック、今後どんなリスクが考えられるかを読み取りお伝えしていく。
口腔周囲筋ケアを学ぶことで、噛む力から歯を守る提案ができるようになったのです。(セミナーを受けたからと言って、すぐに翌日から何でも理解できるというわけではありません。少しずつ繋がりが見えてくるという感じで、現在なお学び中です。)
口腔内の見方が変わり面白くなってきたある日、通勤のための信号待ちをする車中で自分の上下の歯が噛み合っていることに気づきました。
食いしばり癖があることに気づいた最初です。この気づきは大きなことでした。食いしばらないように意識して1ヶ月ぐらいの頃、電車での移動中に姿勢が良くなったような気がしました。
それまでは、自分の身体の不調は交通事故による頚椎捻挫由来だと思ってきました。しかし、歯を食いしばっていることと関係がありそうだ、エステに行くとデコルテがいつもコリコリだったことも、食いしばりのせいな気がする。
だからもっと口腔周囲筋について学びたい。自分の身体が良くなるかもしれないし、同様に困っている方に伝えることができるかもしれない。
光を見出したそんな思いで、山梨までプライベートレッスンを受けに行くことを決意しました。
プライベートレッスンを受けて
当日は、今まで経験したことのない特別な手技を覚えて帰る気満々でした。
ところが、それが想像以上に難しい。初日は自分のできなさ加減に打ちのめされました。宿泊先に戻り、撮っておいた動画でイメージを掴み、翌日に挑みました。
ところが二日目も、頭で考えれば考えるほど思うように手は動きません。情けなさが込み上げます。たとえていうなら、着付けの練習をする感覚。
行程を覚えた=着られるようになったではありません。頭で思い出そうとするより、手を動かす感覚も大事。着付け教室同様、とにかくできなかった…。
そんな私を見て、レッスンに居合せた「おもてなし薬膳せっちゃんごはん」のせつこさんが、軽やかな甲州弁で明るく温かい言葉をかけてくださいました。
昼食には、鮮やかな薬膳料理が目の前に運ばれます。この時の研ぎ澄まされたお料理は、私の元気の源となりました。
あの時、五感で感じながらいただいた料理の味が、忘れられない貴重な体験と共に蘇ります。年末には薬膳おせちを注文し、お正月に家族とその思いを分かち合いました。
「なんのために」を明らかにすることの大切さ
話はレッスンに戻ります。
結局、私はやり切った感を得ることなく山梨を後にしました。「ゆっくり食えし」と、電車の中で食べられるようなものをせっちゃんは持たせてくれましたが、電車で食べる気持ちにはなれません。
別れ際も高見澤さんは厳しかった。
「大切なこと忘れてるよ。マッサージが目的になってる。」
電車の中でも半泣き状態でした。
今になって思えば、指の動きとか、何回回すのかとか、指の方向とか、作業工程を確認するような質問ばかりしていました。
なぜそれを行うのかを考えれば、理屈ではなく手は動くはずなのですが、その時の私は頭で行程を思い出してマネをしようと空回りでした。
泊まりがけで学びに行ったのに、自分の不甲斐なさをイヤというほど味わいます。
そんな中でも、高見澤さんが引き合わせてくださったせっちゃんの薬膳により、中医学という新たな観点からの健康へのアプローチを知り、身体を整えることのおもしろさに覚醒した感じはありました。
「このまま終わらない!」
「食べる」を支える歯科衛生士になりたい…。
歯をきれいにすることがゴールではない。
なんで歯を守るのか。
食べるため!話すため!笑うため!飲んで楽しく過ごすため!
ここにきて、「なんのために」ということが明確になりました。この時から、『学びは遊び、遊びは学び』と考えるようになり、肩の力も抜けたような気がします。
***
プライベートレッスンを受講するにあたり、「何のために口腔周囲筋ケアを学びたいのか」を高見澤さんから聞かれ、それに答える。さらに深く問われる。考える。というやり取りを繰り返しました。
それは「誰のために」ということも含めて、自分がしたいことを見極め言語化することが重要だったのだと思います。
現に、その頃と今とでは働く環境がまったく違うため、軸に自分がなければ思い半ばで折れていたかもしれません。今にして思うと、そこを試されていたように思います。
自ら編み出した、かわいいかわいい口腔周囲筋ケアだから、中途半端な思いのままに伝えられないということだったのでしょう。
口腔周囲筋ケアセミナー 参加レポート
第1回 山梨プレゼン大会
第2回 プライベートレッスン