チーフ歯科衛生士のおすすめアイテム集 No5.『まるごと図解 糖尿病看護血糖コントロール』

みなさん、こんにちは。歯科衛生士の一之瀬です。

この連載では、歯科衛生士として長く働く中で見つけた、私の愛用品をご紹介させていただきます。

私事ですが、実は昨年末に在籍する歯科衛生士6名で『糖尿病療養支援士(東京CDS)』の認定試験を受け、無事に全員で合格することができました。
(参照:糖尿病療養指導士・支援士ってどんな資格?

今回は、認定資格取得に役立った書籍をご紹介させていただきます。

おすすめアイテムNo5.『まるごと図解 糖尿病看護&血糖コントロール』(照林社)

『まるごと図解 糖尿病看護&血糖コントロール』はこちら
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近年では、糖尿病と歯周病の関連性についてご存じの患者さんも多くいらっしゃいます。「糖尿病だからちゃんと口腔ケアしないとね」「糖尿病の先生に歯医者を受診するように言われた」というお声を聞くことが増えました。

歯周病は糖尿病の慢性合併症の一つであることから、歯科医療とかかわりが深い糖尿病について、みんなで勉強することにしました。

そして、せっかく全身疾患の勉強をするなら資格を取ろう。と思い、最終ゴールの設定を歯科衛生士全員での「糖尿病療養支援士(東京CDS)」取得としたのです。

全身疾患を学ぶことの目的は、患者さんに安心して歯科医療を受けていただくこと、医療従事者として適切な処置やアドバイスを提供することです。その目的を達成するためには、多くのことを勉強しなければなりませんし、定期的なブラッシュアップが必要です。

そのため、目的を達成するための一つの手段として、資格取得を設けました。

久しぶりの試験勉強となり…勉強の仕方さえも忘れてしまっていました。まずは教本を購入し、意気込んでページを開きました。

めくれど、めくれど、文字ばかり。頑張って読み進めていきますが、予想通り途中断念してしまいました。しかし、最終ゴールの資格取得のためには勉強しなくてはなりません。

私は休日を利用して書店に行きました。文字だらけの専門書を理解するために、まずは一般書で概要を理解する必要がありました。

そんな中、探し当て出会えたのがこの書籍でした。

『まるごと図解 糖尿病看護&血糖コントロール』のおすすめPOINT

  • オールカラーで糖尿病を一から学ぶことができます
  • 糖尿病を学びはじめる入り口として、最初に手に取る一冊としておすすめです
  • 写真や図解など気になるところから読み込みましょう
  • 太字や文字色の部分から学ぶと理解しやすいです

まず、そのカラフルさに目を引きます。また、表題に“まるごと図解”とあるように、図や表がメインのため、飽きずにモチベーション維持ができます。

わかりやすい図解はこちらをご覧ください(版元ドットコムHPへ)

episode talk

6月に入り関東は例年にない早さで梅雨入り、梅雨明けしましたね。今年も我が家の庭には紫陽花や菖蒲が咲き、きれいに色づきました。

一方で、毎日天候が落ち着かず、雨の中ご来院される方の足元が心配です。

梅雨を迎えると、昨年の今頃にあった出来事を思い出します。「グラグラと揺れている歯がある」という主訴でご高齢の初診患者さんがご来院されました。

レントゲン室に移動した際にそれまで座っていたチェアユニットに血液がついているのに気が付きました。

患者さんにどこか怪我をされていないか伺ったところ、当医院に来る途中で雨に濡れたタイルの上で滑り転倒してしまったそうです。「少し痛かったけど血も出てないし予約時間に遅れてしまうと思いそのままきた」とのことでした。

許可を得てズボンの裾を捲ると、想像以上にひざ下が大きく擦りむけており出血していました。洗浄し、止血をしましたが傷が大きく痛そうでした。

問診表を確認し再度詳細を伺うと、患者さんは糖尿病を患っていましたが、転居をきっかけに病院への定期的な通院や内服が途絶えており、視力も低下しているとのことでした。

口腔環境も悪化しており、抜歯が必要な部位が数ヶ所、歯周ポケット検査からは浸潤麻酔下での歯石除去が必要なことが予測されました。先生から現状と治療方針を患者さんに伝え、対診の依頼状を渡し、近日中に病院を受診するようにと促しました。

その後、この患者さんは糖尿病専門医院を受診され、今では医科、歯科ともに継続通院されています。

治療の進行やセルフケアの向上もあり、現在の口腔環境は良好です。定期的なメインテナンスごとに血糖値やヘモグロビンA1c値や服薬状態を確認させていただいています。

筆者の自宅前に咲いた紫陽花、菖蒲
筆者の自宅前に咲いた紫陽花、菖蒲

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糖尿病は2019年にWHOが調査した死因のトップ9位*1を占めています。また、2019年(新型コロナウイルス感染拡大前)に厚生労働省が実施した『国民生活基礎調査』*2では、通院者の疾患上位に「糖尿病」と「歯の病気」がきており、その数は2016年よりも増加しています。

このような背景からも現在の社会情勢からも、医療に携わる者として糖尿病を学ぶことは欠かせないのではないでしょうか。

参考文献:
*1 The top 10 causes of death-World Health organization
*2 2019年 国民生活基礎調査の概況-厚生労働省

チーフ歯科衛生士のおすすめアイテム集

No1.予防歯科の教本『クリニカル カリオロジー』
No2.歯周治療の基礎を網羅『歯周病学』
No3.感染管理の基礎を学べる3冊
No4.新人スタッフを迎える時に読むべき2冊
No5.『まるごと図解 糖尿病看護血糖コントロール』